−−−−−−−−−−−−−−−− 2000・9・17(記事16日付け)・聖教新聞 −−−−−−−−−−−−−−−− わが友に贈る −−−−−−−− 絶対に 交通事故をなくせ! 睡眠 安全運転 幸福のために 一日一日を! −−−−−−−−−−−−−−−−−− 池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に、ノルウェーの首都オスロに本 部を置く「非暴力と平和を目指すマハトマ・ガンジー財団」から「ガンジー・ミレ ーラム(千年紀)賞」が贈られた。授賞式は十五日午後、未来部総会・二〇〇〇年 会記念大会・第十四回ドクター部総会に引き続き、創価大学記念講堂(東京・八王 子市)で行われた。式典の席上、財団のアマレンドウ・グハ総裁は「池田博士の非 暴力の闘争は、釈尊とガンジーの平和思想を受け継ぐものである」と語った。       (二・三面に関連記事、SGI会長の謝辞の詳細は後日掲載)  四千人の友の熱気でいっぱいの創大記念講堂。  池田SGI会長とグハ総裁が、がっちりと抱き合った。  「非暴力の闘士」の魂が響き合った。長年、ともに戦ってきた同志のように。 ともに語り合ってきた親友のように。  インド出身のグハ総裁は、高名なガンジー主義者であり、平和学者であり、 ノーベル経済学賞候補に何度も推薦された最高峰の経済学者。  南アフリカのマンデラ大統領、ソ連のゴルバチョフ大統領ら二十世紀を代表す る指導者と交流を結びながら、人類社会に真の平和と繁栄をもたらす知の探究を 続けてきた。  その総裁が「紛争を解決し、平和を実現する方法 は、ガンジーの非暴力しかない!」と、八九年、ノルウェーに創立したのが「ガ ンジー財団」である。  この財団では、傑出した 平和指導者に例年、「ガンジー賞」を贈り、平和の連帯を広げてきた。  経済学者のボールデイング博士、カーター元アメリカ大統領、ブルントラント 世界保健機関事務局長(ノルウェー元首相)、ゴルバチョフ氏、マンデラ氏、ア ウン・サン・スー・チー女史、平和学者のガルトゥング博士という錚々(そうそ う)たる人物である。  そして本年、財団では、新たな千年紀の開幕する二〇〇〇年の受賞者を、池田 SGI会長に満場一致で決定したのである。   今回の投賞式を前に 関西創価学園を訪れた総裁は感激を語った(十二日)。  「池田博士の学園には、仏法の精神が、そしてガンジーの非暴力の哲学が脈打って います。  博士が、単なる平和学者ではなく、平和の行動者、平和の体現者であることの 証明です。  『人類史の遺産』である哲学を実際に異体化したのが創価教育です。それを知 ることができた私は、何と幸せ者でしょう。生きていてよかった! 絶望しない でよかった!そう心から喜べる一日でした。  あの学園の生徒たちは、平和に尽くす人間に育つでしょう。池田博士は、新た な世界に向けて、″人材″という、人間が成し得る最も崇高な″芸術作品をつ くり出しておられる。この生徒たちは必ず新世紀をリードする存在になるにちが いありません」  今世紀、人類が生み出した最強の武器は一体、何だろう。それは、核兵器でも ない。生物化学兵器でもない。「ガンジーの非暴カの実践」である。  アジアでも、アフリカでも、アメリカでも、強大な国家主義を打ち破る闘争に は、いつもガンジーの非暴力思想が息づいていた。  そして新たな千年の幕開けの今、世界のガンジー主義者たちは、その闘争の最   良の継承者を、青年の教育に全生命を注ぐ池田SGI会長に見だしているのであ る。  グハ総裁は、授賞の辞で強く訴えた。  「池田博士が築かれた草の根の平和運動は、ガンジーの非暴力の哲学と一致し ています」  「貴殿の宇宙的ヒューマニズムのなかにこそ、人類を結ぶ新たな文化が築かれ るのです」  謝辞に立ったSGI会長は、贈られた栄誉に心から 感謝するとともに、「最も苦しんでいる民衆のために、自ら、足を運んでいっ た」ガンジーの偉大なる闘争について語った。  −だれよりも青少年を愛し、信じたガンジーは、インド独立の前夜、「だれ が新しい大統領にふさわしいか」と問われ、「たくましい、水晶(すいしょう) のように純粋な少女を、庶民の中から選んで大統領にしたい」と答えた。  またある時、ガンジーは、紛争が起きた現場に飛び込み、農民との膝(ひ ざ)づめの対話を通して、「五万五千人の警備軍によって達成できなかった平和 を、たった一人で実現した」と言われるほどの劇的 な勝利を成しとげた  これらのエピソードに触れつつ、「非暴力の平和運動が勝利する」ためには、 @闘争の目的に対して、誠実であれ! A敗北主義を排し、勝利に対する疑いを遠ざけよ! B最後の勝利まで、闘争を続けよ! Cたとえ迫害にあっても、意気軒高であれ!との、ガンジーが示した四つのポイン トを紹介した。  そして、西暦二〇三〇年 の学会創立百周年を絢爛(けんらん)たる大勝利で飾り、「平和」と「非暴 力」の世紀の建設を、創価学会がリードしていきたい と力説。ガンジーの言葉「戦いの目標は、ただ一つしかない。それは勝利であ る!」を参加者に贈り、スピーチを結んだ。   −−−−−−−−−− 池田博士にはガンジーの勇気が グバ総裁の授賞の辞 −−−−−−−−−−−−−   池田大作博士、この厳粛(げんしゅく)な場にご臨席の皆さま、そして、若き 有望な未来部、友人たる青年の皆さま!  ノルウェーのオスロに所在する「非暴力と平和を目指すマハトマ・ガンジー財 団」を代表し、日本の著名な人物である池田大作博士に栄誉を授け、「非暴力に よる平和のためのマハトマ・ガンジー・ミレニアム賞」を投与するこの厳粛かつ優美 な儀式にご列席の皆さまを、心より歓迎申しあげます。  池田博士は四十年以上にわたり、平和学者、また平和活動家として活躍してこ られました。  博士は、物事への取り組みと実践にあたって、釈尊とガンジーの平和思相の真 髄(しんずい)を融合(ゆうごう)させておられます。  仏法とガンジーの掲(かか)げる非暴力恩相は非常に近い。ガンジーは釈尊か ら非暴力の原理を受け縦いでおり、釈尊の思想は、ガンジーの実践のなかに見い だすことができます。  ゆえに、ガンジーが釈尊を引き継いだのと同じように、池田博士は、平和、人 間開発というメッセージを説くことにより、釈尊とマハトマ・ガンジーの双方を 安け継いでおられます!(大泊手)  池田博士が築かれた「草の根の平和運動」、「平和の文化」の促進、平和教 育、そして平和学の堆進は、ガンジーの非暴力の思想・哲学と一致しています。  「非暴力こそ戦争と暴力の否定である」 「人間生命 の尊厳と平和は守られるべきである」との池田博士の信念と献身には、平和を構 築するための智慧(ちえ)の真髄があります。  池田博士の掲げる内なる人間革命の概念は、食欲(どんよく)や利己主義を 回避)し、人間の平等と友愛を実現するための心と思考の変革を意味し、これによっ て地球規模で人間秩序を開拓することができるのです。  ガンジー主義の非暴力は、公正と平等、あるいはそれらが融合した「公正な る平等」に基づいております。  「構造的暴力」は無力な人々に力を与えることによって解決するとガンジーは 考えました。なぜなら、直接的な暴力よりも、非暴力による防衛のほうが効果的 だからです。  非暴力は貧(まず)しい者を強くし、強い者を弱く します。  暴力は暴力を生み出す一方、非暴力は非暴力を生み出します。  ガンジーの掲げる非暴力の理想は、だれでも実桟できます。非暴力において上 下関係というものは存在しないのです。  池田博士、あなたはガンジーの平和主義が勇気に基づく静かな力の上に築かれ ているものであり、決して弱い者による臆病で卑屈(ひくつ)な非暴力ではな いということを知悉(ちしつ)しておられます。  ガンジーの真髄は、「理相を追求することへの確信」と「精神的な強さ」に あります。  「ニュー・ヒューマニズム」、あるいはヒューマニズムを伴った開発という博 士の概念は、「宇宙的ヒューマニズム」の槻念であり、その中にこそ、人間 と人間の心を結びゆく新たな文化が築かれるのです。  わが財団審査委員会は、平和の文化と哲学、「ニュ ー・ヒューマニズム」とグローバルな人間・社会の安全保障と秩序に対する多大 な貢献を評価し、博士への二〇〇〇年度「マハトマ・ガンジー・ミソニアム賞」 の授賞を決定いたしました(大拍手)。  わが財団は一九八九年に、アルフレッド・ノーベル平和賞を投与する国・ノ ルウェーのオスロで創設されました。 一般的に、ノーベル平和賞は暴力、戦争や緊張状態から平和を構築するために 尽力した方々に贈られるものです。     一方、ガンジー主義の非暴力は、物事の解決に当たって、初めから平 和的な方策をその方法・手段として取り入れます。これが二つの平和賞のアプ ローチと手法の基本的な違いであります。  よって、この″ガンジー平和賞″は、本質的にこれまでの著名な受賞者からも 見受けられるように、地球上の他の多くの平和賞よりも実質的かつ道徳的で平和 的な価値があるといえるのです。  池田博士は、これまで同賞を受賞しているアメリカのジミー・カーター元大統領 、ミハエル・ゴルバチョフ元ソ連大統領、南アフリカのネルソン・マンデラ前 大統領、ミャンマーのアワン・サン・スー・チー女史、ノルウェーのグロー・ ハーレム・フルントラント元首相(世界保健機関事務局長)、バングラデシュの シェイク・ハシナ・ワゼド首相、アメリカのケネス・ポールデイング博士、ノル ウェーのアルネ・ナエス博士ならびにヨハン・ガルトゥング博士、韓国のチョー・ヨ ンシク博士等々   これら著名な人物に「その名を加えることになります。  池田博士は、長期間にわたり、地球規模で創造的な平和を復興させるための見事な 平和活動ならびに道徳家として尽力してこられました。  当財団の審査委員会一同、この賞を授賞し、今後とも先見性のある平和活動を展開 さ れる博士に対し、心よりお祝い申し上げるものです(大泊手)。  最後に、この式典に参加してくださった前途有望たる若き皆さまにも心より御礼申 し上げ、私の投賞の辞とさせていただきます(大拍手)。 平和の悲願を21世紀へ継承 「夢」は実現する! 世界の青年の「団結の力」で !! 逆境こそ勝利のチャンス  キング博士は まっ先に「最も困難な所」へ   拡大のカギは「小さな会合」 一人また一人と「大誠実の対話」を 米モアハウス大学「最高学識者」称号 授与式での池田SGI会長の謝辞 第49回本部幹部会(第2回全国壮年部幹部会)  一、あと百十六日で、二十一世紀が開幕します。〈授与式の行われた九月七日から 数えて〉  いま、あらゆる次元で、過ぎゆく二十世紀の総括(そうかつ)がなされております 。  それでは、社会的、政治的、芸術的に見て、二十世紀に輝く最高の演説は、一体、 何であったか?  アメリカの学識者たちが選んだ、今世紀の第一位のスピーチ。それこそ、モアハウ ス大学が生んだ「人権革命の大指導者」キング博士の不滅の魂(たましい)の名演説 だったのであります(大拍手)。  私には夢がある  時は一九六三年の八月二十八日。ちょうど、あのリンカーン大統領の「奴隷(どれ い)解放宣言」から百年後に行われた、歴史的な「ワシントン大行進」の集いであり ました。  場所は、リンカーン記念堂の前の階段であります。  若きキング博士は、二十五万人の大聴衆を前に、あの有名な言葉――「私には夢が ある!」と叫(さけ)ぴました。三十四歳の青年の獅子吼(ししく)であります。  獅子吼してこそ青年である。邪悪と戦ってこそ青年であります。そして、私たちに は「広宣流布」という夢があります。  キング博士は呼びかけました。  「わが友よ、私は皆さんに申し上げたい。きょうも、あすも、きっと、いろいろな 困難や挫折(ざせつ)に直面するだろうが、それでもなお、私には夢がある!」  「私には夢がある! いつの日か、この国が立ち上がり、真に、その信条のままに 生きるようになる夢が! すなわち『すべての人間は平等につくられている――これ は自明の真理だ』と考えるようになる夢が!」  〈さらに「私には夢がある! いつの日かジョージアの赤土の丘の上で、かつての 奴隷の子孫と、かつての奴隷主の子孫が、いっしょに兄弟として同じテーブルに着く という夢が!」等と続く〉  キング博士は、この崇高(すうこう)な夢に生き抜き、壮絶に殉(じゅん)じてい ったのであります。  そして、夢を受け継ぎ、、夢の実現のために、命をかけて戦い続けておられるのが 、きょう、ここにお越しくださった、お二人の偉大な知性の先生なのであります(大 拍手)。  心から尊敬申し上げるカーター所長ならびにミラー教授、私たちは深い感動と敬意 をもって最大に歓迎申し上げます(大拍手)。  一、ここ東京牧口記念会館は、キング博士と同じように「平和と正義の夢」を掲げ ながら、獄死していった牧口初代会長を記念する殿堂であります。狂いに狂った国家 主義が死に至らしめた牧口会長こそ、二十世紀の日本が世界に誇るべき「最高の学識 者」でありました。 ただ今、貴大学より賜(たまわ)りました栄誉を、私は、この誉れの先師に、「創価 学会創立七十周年の栄光の象徴」として、つつしんで捧(ささ)げたいのであります (大拍手)。  一、きょうは、世界四十五カ国・地域から、SGI青年研修の二百五十人の皆さま が参加しております。  遠いところ、経済的にも大変なところ、本当に、よくおいでくださいました。あり がとう!(大拍手)  求道の心強き皆さまは、日蓮大聖人から「善哉(よきかな)、善哉」と最高に賛嘆 される方々であります。真の仏法者であります。  偉大なる仏の直弟子の集い。広宣流布の闘士の集い。それが創価学会であり、本日 も、その象徴であると申し上げたい(大拍手)。  皆さま方、一人ひとりのことは全部、私の生命の奥深くに入っております。  私は、「まさに起(た)って仏を敬(うやま)うがことく」、若さ指導者の皆さま を心からお迎えし、賛嘆申し上げたい(大拍手)。  どうか、二十世紀の「キング博士の夢」を、そして「牧口先生の夢」を、わが世界 の青年部の団結の力で、二十一世紀に断固として実現しゆくことを、私は心からお願 いするものであります(大拍手)。  新しき世紀は、一切、青年部にお願いするしかない。新しい人材にバトンタッチす るしかない。 青年部、よろしく頼む!(大拍手)   キング博士の師・メイズ学長  よい宗教を見極める 試金石とは、一番低い立場 の人にどう振る舞うかだ 祈りの力  一、カーター所長は先日、ある大学でスピーチしておられます〈アメリ力・ジョー ジア州のメーサー大学〉。  「今や、科学者たちは『“祈りはDNAをも変える”ということは、ほぼ、証明さ れうる』と考え始めています」と。  〈DNAは、デオキシリポ核酸のことで、遺伝情報が組み込まれている〉  「祈りの力」が、どれほど偉大か。それを科学が証明しようとしている、と。  二十一世紀の科学と宗教を考えるうえで、まことに示唆深い発言であります。  一、カーター所長は、「師弟」という最も気高い「精神の継承の道」に光を当てて こられました。  所長は、キング博士の師匠である、モアハウス大学のメイズ学長を宣揚する名著も 編纂(へんさん)しておられます〈『ウォーキング・インテグリティ(歩く高潔の人 )』〉。  そこには、大教育者の珠玉(しゅぎょく)の哲学がちりばめられています。  例えば、メイズ学長の、こんな言葉がある。  「よい宗教を見極める試金石とは、何か。それは、一番高いところにいる人ではな く、一番低いところにいる人に対して、どう振る舞っか。また、教育を受けた人では なく、自分の名前すら書けない人に対して、どう接するかである」 おめでとう創価世界女性会館! ようこそ海外の友! SGIはどこまでも 女性を尊敬 同志を賛嘆  じつに、奥深い慈悲の目線であります。  広布の指導者も、すべての人に対して、このように接していただきたい。  どこまでも謙虚に、また謙虚に、会員に奉仕し抜くことである。断じて増上慢にな ってはならない。  虐(しいた)げられ、苦しんできた人々の味方になって戦う――これがキング博士 であります。創価学会であります。  ここに学会の最高の誇りがあり、強さがあります。  一、メイズ学長は、こうも言われる。  「大学は、スピーチや議論がうまい、利口な卒業生を送り出すだけでは、十分では ない。むしろ、我々が育てるべき人間は、公私にわたって信頼できる誠実な人間、そ して、社会の邪悪と不幸と不正を鋭敏に感じ取り、その悪を正す責務を進んで引き受 ける人間である」  まさに、人間主義の根本であり、仏法の真髄(しんずい)に通ずる言葉であります 。  この理念の通り、モアハウス大学は、キング博士をはじめ、無数の「人材」を育成 してこられました。  一世紀を超える正義の闘争の伝統に、私たちは心からの尊敬を表したいのでありま す(大拍手)。 ソロー、トルストイ、ガンジーへと  一、私が感嘆(かんたん)するのは、異文化に対して広々と開かれた貴大学の「学 識の力」によって、インドのガンジーの「非暴力」の思想が、アメリカの人権運動に 大きく生かされていったという史実であります。  キング博士を中心とした「非暴力」の実践は、近年では、ヨーロッパに伝播(でん ぱ)し、「東欧の民主化」の原動力ともなった。  さかのぼれば、ガンジーの「非暴力」の思想は、ロシアの文豪トルストイに触発さ れている。 さらに、トルストイは、アメリカ・ルネサンスの哲学者ソローから感化 された。  そして、このソローは、大乗仏教の精髄である「法華経」のフランス語訳から、深 く学んでいたのであります。  まことに遠大なる、世界的な精神の連鎖であります。  青き地球を包みゆく、こうした壮大なる「生命の尊厳の連帯」を、私は、新世紀に 、いよいよ広げ、強めていきたいと願う一人であります。  わがアメリカ創価大学は、この大いなる人間主義の使命を担い、新たな人類の価値 創造を成し遂(と)げていく大学となっていただきたい。  今、その「栄光の第一期生」には、全米、全世界から続々と優秀な青年が志願して くださっております。  二つの教室棟は「ポーリング夫妻棟」「ガンジー夫妻棟」と命名されました。  これも、兄と仰ぐモアハウス太学の「開かれた精神」のように、「世界の偉大な平 和の魂」から限りなく学んでいこうとする、一つの象徴であります。  一、今、アメリカSGIの前進も、まことに目ざましい。  アメリカは、まさに「世界の要(かなめ)」であり、「広布の要」の天地でありま す。  この十月には、私のアメリカ初訪問四十周年を記念して、ロサンゼルスでの一万人 集会をはじめ、全米各地で盛大に総会が行われるとうかがっています。  心から、ありがとう!おめでとう! と申し上げたい(大拍手)。  〈ここで、アメリカSGIのナガシマ理事長が「新しい偉大なアメリカSGIをつ くるために一緒に戦いましょう!」と英語で力いっぱい呼びかけると、会場のアメリ カ・メンバーが大歓声で応じた〉  一、ところで、カーター所長との光輝ある友情の第一歩は、じつは、アメリカSG Iの一人の真執(しんし)な女性教育者との対話から始まったと、うかがっておりま す。  いずこの国、いずこの地域にあっても、生き生きとした創価の女性の活躍が、新し い希望と信頼の道を切り開いております。本当に、女性の力はすごい。  日蓮大聖人は、すでに十三世紀に、「男女はきるふべからず」(御書一三六〇?) 等と、男女をはじめ、すべての人間生命の本源的な平等を高らかに宣言しておりまし た。  「三世を知るを聖人と云(い)う」(同九七四?)の御金言のごとく、はるか未来 まで見通しておられたのであります。  そして明日(八日)は、各国の女性リーダーの代表が出席し、晴れやかに「創価世 界女性会館」がオープンします。おめでとう!(大拍手)  〈開館式では名誉館長の池田SGI会長夫人と代表がテープカット。SGI会長は 九日、初訪問した〉  ともあれ、学会のリーダーは、どこまでも女性を尊敬し、大切にしていっていただ きたい。  男性の幹部は、敵と戦う時は、毅然(きぜん)とした態度で臨むべきである。しか し、純真な婦人部や女子部に対して、威張(いば)ったり、叱(しか)ったりするこ とは絶対にあってはならない。そついう傲慢(ごうまん)な幹部は追放される時代に 入ったことを知っていただきたい。  一、さて、幾多の危険と障害の連続にあって、キング博士の運動も、苦渋(くじゅ う)の敗退を余儀(よぎ)なくされたことがあります。  しかし博士は、そこから猛然と、反転攻勢(はんてんこうせい)の行動に打って出 ていきました。  一番、苦境の時にこそ、反撃に打って出る――これが名将軍の手の打ち方である。 たいていは、いったん負けると、臆病(おくびよう)になり、愚痴(ぐち)をこぽし たりする。しかし本当は、その時が「変毒為薬(へんどくいやく)」のチャンスなの である。  キング博士は、当時、最も人種差別が激しかったパーミングハムに、あえて乗り込 んでいきました。  「最も困難な場所で勝ち抜くことが、一切の流れを変え、全部、勝つ方向へと転じ ていける」「自由と正義の全闘争を逆転勝利させゆく推進力になる」と信じたからで あります。  最も困難なところへ――ここに急所がある。  何か問題が起きたり、大変な場面にあうと、多くの人は逃げ出す。  しかし、あえて、一番大変なところへ乗り込んでいくのが一流のリーダーである。 偉大なる人間である。  キング博士は、それを身をもって証明されました。ここに私は、博士の強さを感じ るのであります。  私自身、この行動を、ずっと貫いてきました。だから、勝ち続けてきた。どんな戦 (いくさ)も、そうであります。   「牧口先生、戸田先生がつくられた学会を、何があっても守り抜くのだ。そのため なら、あらゆる難は、私一人が受ける。どうか、ほかは、だれ一人として、難にあい ませんように」――会長になって以来、私は、そう祈り続けてきた。 率先して現場へ  一、キング博士は、一番大変な、最も厳しい地盤で、「嵐のような拡大運動」を起 こしてみせると、固く固く決心しておりました。  そのために、博士自身が率先(そっせん)して現場に飛び込み、街々の「小さなグ ループ」を訪ねて回っては、あらゆる人々と対話を繰り広げていったのであります。  深く心に刻むべき一点です。  「大きい会合」だけでは、一人ひとりが見えてこない。心が伝わらない。  「小さな会合」が大事である。「一対一」の対話でこそ、固く強い連帯を築いてい ける。  行く先々で、キング博士を待ち構えていたのは、たいてい、硬直した、冷ややかな 反応でありました。  しかし、それで、たじろぐような博土ではなかった。賢明な博士であった。偉大な 博士であった。  博士には、闘争から遠ざかっている人々にも新しい活力を吹き込み、皆を、正義の 陣列に大結集させていくのだという、烈々(れつれつ)たる闘魂(とうこん)が燃え さかっていたのであります。  博士は、率直に問題の急所に言及しながら、懇切丁寧(こんせつていねい)に、そ して何よりも、誠意を尽くして語り抜いていきました。  リーダーは、何を言ってるかわからないような、あいまいな話ではいけない。  パッと急所を押さえ、「何を悩んでいるのか」を明快につかむ。そして、「今、何 をすべき時なのか」を具体的に語っていくことである。 「忍耐」こそ勝利  一、キング博士の、忍耐強い、徹底した対話の積み重ね――それは、やがて、疑い や誤解にとらわれて感情的になっていた人々の心さえもつかんでいった。 「善人が沈黙する時、悪がはびこる」(メイズ学長) 語れ! 正義の勢力を結集せよ!  一人また一人と、「そうか! じゃあ一緒に戦おう!」と、奮(ふる)い立ってい ったのであります。  「忍耐強い」ことが「勝利」であります。さらに博士は、リーダーの中に一人も無 駄な動きがないよう、互いの連携を密にし、切磋琢磨(せっさたくま)していきまし た。  「静かなる闘争」によって、「少人数」を“核”としながら、運動の機運を大きく 、強く盛り上げていったのであります。  大きな会合で立派そうに話すだけで、自分は責任を負わず、何もしない――そんな 「人気とり」のリーダーになってはならない。  真の「将軍学」「指導者学」を身につけていただきたい。そうでなければ、人はつ いていかない。  一、キング博士が築いた人々の結合は、奔流(ほんりゅう)の勢いで加速し、やが て、百千万の民衆に支持を広げながら、ついに劇的な大勝利をもたらしていったので あります。  「宇宙は正義に味方する!」――これが博士の揺るぎない大確信でありました。  私たちも、博士と同じ確信でいきましょう!(大拍手)  狭い日本にとどまらず、宇宙全体をも味方にしていくような壮大なる行進を、そし て壮大なる勝利を勝ち取ってまいりたい。 若々しく壮年革命を!  一、今、わが創価の同志もまた、意気軒高であります。きょうは、元気な壮年部の 記念の大会、おめでとう!  先ほど、藤原関西長が「壮年革命」を呼びかけていた。いい言葉である。やりまし ょう、「壮年革命」を! 若々しく、胸を張り、行動して、境涯を広げてまいりたい 。  壮年部は、全員が「二十一世紀のキング博士」との自覚で、勝利と拡大の名指揮を 頼みます!(大拍手) 善の民衆よ、叫べ   「善人が沈黙する時のみ、悪ははびこる」とは、貴大学のメイズ学長の信念であり ました。  仏法者の信念もまた、同じであります。  キング博士の命を奪(うば)い、マハトマ・ガンジーの命を奪い、牧口先生の命を 奪った、恐るべき闇(やみ)の力が、人間社会には、今も、宿命的にうごめいており ます。  正しき人に嫉妬(しっと)して、讒言(ざんげん)という言論の暴力で抹殺(まっ さつ)しようとする魔性が、いまだに、はぴこっている。  また、日本の反動的な国家主義の台頭を危惧(きぐ)する、アジアの識者も実に多 い。危険な日本の流れを憂慮(ゆうりょ)する声は絶えません。  だからこそ、善なる民衆が沈黙を破って、思う存分、声をあげ、「正義の光の勢力 」を断じて拡大していく以外に、人類史の悲劇の流転(るてん)は、絶対に転換でき ない。  日蓮仏法では、「善と悪との勝負を決していかない限り、時代社会の災難はやまな い」と説いています。  ここに私たちは、明年、千載一遇(せんざいいちぐう)の二十一世紀の緒戦(しよ せん)を、断固として、一千万の「平和」と「人道」の未曾有(みぞう)の連帯で勝 ち取っていくことを、約し合いたいのであります(大拍手)。 我々は必ず勝つ  一、キング博士も、また マハトマ・ガンジーも、どんな苦しい戦いに臨んでも、 その周囲には、楽しい笑いが絶えなかったといわれております。  いつも、不屈の希望に燃え、気取らない笑顔で皆を勇気づけ、励まし続けていった からであります。  挑戦の人生は明るい。理想に向かう前進は、朗らかです。「勝ち戦(いくさ)」へ の行進だからであります。  さらに、キング博士の行くところ、向かうところ、あの有名な「我々は必ず勝つ( ウィ・シャル・オーバー力ム)!」との歓喜の合唱が響きわたりました。  この歌を歌える人はいますか?  〈SGI会長の呼びかけに応(こた)え、代表が「ウィ・シャル・オーバーカム」 を合唱〉  ありがとう!(大拍手)  我々は必ず勝つ!――この決心で、私たちもまた、二〇〇一年五月三日へ向かって 、堂々と勝利の大前進を行ってまいりたい。  終わりに、尊敬申し上げるカーター所長はじめ、すべてのご出席の皆さま方の限り ないご健勝、そして、アメリカをはじめ、四十五カ国の限りないご繁栄を心の底から お祈り申し上げ、スピーチを結びます。  サンキユー・ベリーマッチ! (大拍手)                        (二〇〇〇・九・七)