正義と勝利の座談会 54 不祥事の撲滅こそ国民の『厳命』 04/04/05 急務の「公設秘書制度改革」 「秘書の寄付」への罰則規定に 共産 民主が反対 弓谷 前回は、国会議員の公設秘書制度について語り合った。いま、与野党間で見直 しが論議されている問題だ。 杉山 そのポイントの一つは「公設秘書の親族採用」だ。「親族秘書」が不正の温床 になっている現状があるからだ。 姑息な言い逃 れを許すな! 弓谷 もう一方の焦点になっている「公設秘書からの寄付」の問題。これも与野党間 で「秘書から議員の所属政党・政治団体への寄付を禁止する」と合意した。 杉山 これは秘書給与の流用がバレると秘書から自発的に寄付を受けたと姑息な 言い逃れをする議員が多いからだ。 秋谷 議員と秘書というのは上下関係だ。それが実態だ。議員に「自発的にやっ た」と言えと命じられれば、秘書は従うしかない。寄付の禁止は当然だ。 青木 だいたい秘書が本当に自分の意思で議員に寄付をしたかどうかなんて、どう やって調べるんだ?真相は誰にも分からないじゃないか。 弓谷 ところが、これに唯一、猛反対したのが共産党だ。 杉山 共産党は事実上、秘書給与の一部を党に献金させることを制度化している。そ れで「秘書からの寄付禁止」に反対しているんだ。 青木 共産党にしてみれば、公設秘書の給与は大事な財源政治資金というわ けか。 しかし、これは大多数の国民の支持は得られないよ。 原田 それに与党案では「秘書の寄付禁止」に違反した場合の罰則規定を盛り込むこ とも主張していた。 秋谷 当然だ。そうでないと形骸化する。 弓谷 ところが民主党が、この罰則規定に反対したんだ。 青木 おかしな話だ。罰則がなければ、ちっとも歯止めにならないじゃないか。 原田 だいたい秘書制度の罰則規定が一番、必要なのは民主党だろ。皆が言ってる よ。 杉山 それどころか民主党は「秘書給与のプール制」の導入を主張している。 弓谷 これは国が議員に秘書の給与を一括して支払い、秘書の数や給与額などを全 部、議員の裁量に任せる方法だ。 原田 それじゃあ、ますます議員の権限が拡大するだけじゃないか。 杉山 実際、プール制は「違法行為を追認するだけ」という批判が強い。 弓谷 衆議院の秘書協議会が猛反対しているほか、衆院議長の諮問機関「国会議員秘 書に関する調査会」も「導入すべきではない」と結論している。 秋谷 当たり前だ。結局、政治家自身の「お手盛り」じゃないか。 不祥事第1党 4年間で24人 もの逮捕者 青木 とにかく「不祥事」といえば、いまや民主党の代名詞だ(笑い)。議員、秘書の 問題は、民主党ばっかりじゃないか。 弓谷 最近の民主党の秘書をめぐる事件を見ても、ひどいもんだ。給与ピンハネ、覚 醒剤・大麻所持、出資法違反、駐車違反の身代わり出頭、傷害、住居侵入、痴漢、贈 賄、選挙買収……もうキリがない。 杉山 公明新聞にも出ていたが、民主党の議員・秘書の刑事事件の逮捕者は、この4 年間で24人にも上っている。 原田 そんな体たらくだから、民主党の支持率も昨年の衆院選直後の半分にまで急降 下だ。毎日新聞でも報じていたよ。 青木 他党や支持団体の悪口を言う前に、民主党の菅代表は、もっと「内部改革」を すべきじゃないのかね。 政権獲得など 夢のまた夢 弓谷 そういえば菅氏の側近と言われる東京の長妻昭衆院議員にも、秘書給与疑惑が 報じられているな。 原田 秘書給与のピンハネで実刑判決を受けた山本譲司元衆院議員も、菅氏の元公設 秘書だった。 青木 なんで菅氏に近い人間ばかりから、秘書給与の疑惑が多発するんだ。不思議だ な(大笑い)。 杉山 山本元衆院議員といえば、昨年2月に公表した「手記」の中で、秘書時代に自 分の給与の一部が菅事務所の経費になっていたと暴露していた。 弓谷 これに対して菅氏は、大慌てで「調査中」と答えていたな。 杉山 しかし1年以上も経つのに、菅氏からの「調査結果報告」は、いまだにない。 全然、音沙汰なし、だ。 青木 党首自身が、そんないい加減じゃ、どうやって党内の不祥事の調査ができるん だ? 弓谷 もっと真剣に取り組むべきだ。民主党といえば、先月31日にも、昨年の衆院 選挙での選挙違反事件で、支援組織幹部に有罪判決が下ったばかりじゃないか。 杉山 宮城県選出の衆院議員二人にからむ事件だ。このまま有罪が確定すれば、両議 員も連座制の適用を求められると見られる。議員を失職する可能性も強まった。 原田 党幹部、執行部の責任は重大だな! 秋谷 とにかく本来、政権を監視すべき野党第1党が不祥事を続発している。国民の 「政治不信」が高まるのも当然だ。 杉山 政権獲得なんて夢のまた夢――そう言われたって、しかたがないよ。 原田 7月の参院選を控え、有権者も政治家・政党の一つ一つを厳しく、鋭く見てい る。 青木 何よりも、まず政治家の「不祥事の撲滅」だ。与党も野党も、総力を挙げて取 り組むべきだ。 弓谷 まったくだ。それこそ国民の「厳命」だ。