月刊
98パンフレットマガジン
2000年2月,3月号(第二十六,二十七合併号)
懐かしの名機シリーズNo.16(EPSON 98互換機特集 最終回)
i486SX(25MHz)を搭載し、128,000円の定価を実現したのがPC-486FE、i486SX(33MHz)で148,000円がPC-486FR、i486DX2(66MHz)で198,000円がPC-486FSで、本家NECの第二弾98FELLOW(BX2等)の対抗機種として登場しました。オーバードライブプロセッサによるアップグレードの正式対応や32bitローカールバス(内蔵型)の採用、640×480ドット16色のサポートと高速ビデオ回路等、第二弾98FELLOWを超える性能が特徴でした。ただし、前シリーズSE/SRとの違いとして、
FDDドライブインターフェイスが省かれ、前面にあったキーボードコネクタやボリュームつまみが背面に設置されたり、SE/SRではCPUクロックを前面スイッチで切り替えができましたが、システムメニューによる切り替えに変更される等、結局、本家NECと同様なコストダウンが行われました。ただし、FM音源はまだ搭載されているのでゲームユーザーにはうれしい限りです。しかしながら、今回のラインナップでは上記の様なコストダウンにより、NECとの差別化がより無くなり、EPSON98互換機を購入する意味が無くなってきました。SE/SRでは価格が安くても、FDDインターフェイスが搭載されていたり、CPUクロックを前面スイッチで容易に切り替えができる等、付加価値があった為に、98FELLOWのライバルとして人気(当時のOh!PCでも特集があった位です)がありました。でも、この様なマシンでは、EPSON98互換機の衰退期をより早める結果となりました。その頃には大ヒットした初代98MateXが登場し、EPSON98互換機の命運を決定付けました。なお、2枚目のパンフレットは第三弾98FELLOW(BX3等)が登場した時に対抗して価格改定したものです。ですが、98,000円を実現した本家NECのBX3には到底及びません(BX3はファイルスロット搭載!)でした。
本家NECの超大ヒットとなった、新98MATE Xシリーズ、PC-9821Xa10/Xa9/Xa7の対抗シリーズとして登場したのが、EPSON最後の主力シリーズとなるUpGradeWinDESKRシリーズ、PC-586RX、PC-586RT、PC-486RSです。
グラフィックチップは、PC-486RSはGD5428でVRAMは1MBです。全体的にRSはPC-486MU/MR/MSと類似している機種でした。ところが、PC-586RXとRTはRSと異なり、当時としては最高速クラスのVision964を搭載。VRAMをさらに2MB増設して合計4MBにする事が可能でした。サウンド機能は全機種ともPC-9801-86ボード相当を搭載していましたが、MIDI&ジョイスティックインターフェイスが付いていて、本家NECより一枚上手の仕様でした。が、お気付きかもしれませんが、全機種ともPCIバスアーキテクチャーでは無いのが最大の弱点なのです。そのため、CPUは現在でもRXとRTに限ってはMMXODPは対応機種ですし、K6-2等に換装できる様ですが、グラフィックはパワーアップさせる事ができないのです。唯一の頼みのCバス用グラフィックボードでは、逆にパワーダウンしてしまいます。残念ながら、32ビットバス(独自の内部専用)で接続された各機種の内蔵グラフィックチップが最強という事になります。本家NECのPC-98でさえパワーアップに制限があって厳しい現状なのに、より厳しいEPSON98互換機をこよなく愛している方々が大勢いて、秋葉原でもEPSON機種の在庫が品薄になっています。EPSON98互換機ファンの熱心さには感服します。最後に、この頃のEPSON98互換機は新98MATE Xシリーズの大好調に対抗できず、ほとんど売れませんでした。なお、2枚目のパンフレットは、RXのPentium100MHzを120MHzに1ランクUPさせ、RJとして販売された時のものです。これが事実上、最後の主力機種となりました。
PC-486MUの後継機として登場したのが、Pentium(60MHz)搭載のPC-586MV、i486DX2(66MHz)搭載のPC-486MVです。
これらの機種の最大の特徴は、オールインワンモデルであり、Windows3.1は全モデルインストール済み、MS-WorksモデルやビデオCD対応(ハードウェアデコード)モデルも存在しました。今となっては当たり前になったモニターも付属されており、当時としては割安感がありました。ただし、性能や価格面では特に問題はありませんでしたが、オールインワンPCでは、
本家NECのCanbeの方が圧倒的に人気だったため、結局、このシリーズでも名誉挽回する事はできませんでした。
EPSON98互換機の全シリーズにおいて事実上、最後の機種となったのがPC-486MVの後継機、一体型のPC-486MEです。
まず、パンフレットを見るとわかると思いますが、シリーズの顔となる芸能人の写真が無い事。これはPC-586RJと同じ扱いで、EPSONが98互換機に経費をかけなくした状況がわかりました。一体型Canbeに対抗した製品であるのが一目瞭然ですが、既に時は遅く、EPSONはこれにて、98互換機のラインナップに終止符を打ちました。PC-486ME自体も、ODPに対応していない等、EPSONらしくない仕様になっており、EPSONの焦りが感じられました。本当にEPSONには8年間お疲れさまでした!!と言いたいですね。ちなみに、このMEはほとんど出荷されていないので、中古で手に入れるのが非常に困難です。最後の機種という事もあり、プレミアモデルと呼べる機種です。