097  国家の品格  藤原正彦著  平成18年02月18日

  今話題の、国家の品格を一読しまたが、なかなか良書と思いましたのでご紹介します。

  著者は、新田次郎氏の次男で、お茶の水大学理学部の教授をされているようですが、ユーモアのある文章で、武士道精神や、教育問題をからめて意見を述べています。

  資本主義が共産主義に勝利したとするのは幻想で、共産主義が机上の空論だったから勝利してしまっただけのことで、決して弱肉強食の資本主義が良いものであるということではない。大きいものが小さい者と戦いやっつけることは、武士道精神からすれば卑怯なことで、市場原理主義を貫くことは、武士道精神に抵触する。

  小学生に英語を教える必要はない。きちんと国語を教えるべし。母国語がしっかりしないのに英語までやる必要はない。(同感です)

  経済合理的理論からすれば、お金を持っているものが、法律に触れなければ弱いものをいじめようが、卑怯な手を使おうが、かまわないことになりますが、これは、武士道精神に反する。
 
  などと著者は述べています。

  会津藩の白虎隊を教えていた日新館という藩校の「什の掟」というのがあり次のように書いてあるそうです。

1つ、年長者の言うことに背いてはなりませぬ
2つ、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
3つ、虚言を言うことはなりませぬ
4つ、卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ
5つ、弱いものをいじめてはなりませぬ
6つ、戸外で物を食べてはなりませぬ
7つ、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ

  ならぬことはならぬものです。

  7つめを除いて著者は非常に納得できるものと共感し、
要するに、理屈ではなく、問答無用に、いけないものはいけないということが重要であると述べています。

  自由という言葉も、人に迷惑をかけなければ何をやってもいいという理論だと、援助交際も良いとなってしまいます。やはり、理論ではなく、ダメなものはダメと問答無用が必要なのだそうです。


  日本人一人一人が品格を身に付けることで、結果として日本が品格のある国家になっていくものと思います。

  卑怯を憎む心を問答無用に教育し、理論でなく感性や情緒で判断することも場合によっては重要であると考えました。