2007.12.08  「主語を抹殺した男」評伝三上章 金谷武洋著

  深夜のTBSのラジオ番組で、講談社ラジオブックスという本の朗読を聞かせる

番組があります。これを毎日録音していて、早朝ウォーキングの時に聞いていますが、

今週は、「主語を抹殺した男」という本でした。

  日本語と英語の構文の決定的違いを明快に解き明かした、三上章という国語学者

の理論を紹介していました。

  日本語で  「食べます」  ということを、フランス語に直してみてください。と生徒に

質問すると、主語がないので、訳せない。誰が主語なのかと聞いてくるそうです。

  S+V+O の文法形式の国の言語構造は、主語がないと、文章が出来ない弱点がある

ようです。主語が、私なのか、あなたなのか、彼なのか、皆なのか。

 ところが、主語のいらない言語である日本語は、 「食べます」 で一応文が完成し、

だれが食べるかは、前後の文脈で分かるわけなので、必要がないということなのです。

決して、省略しているわけではないということなのです。学生のころは、日本語は、主語を

よく省略しています。と教わったように記憶していますが、主語を省略している訳ではなく、

はじめから、主語が必要ない言語だったという理論のようです。

 「 I Love you 」 を日本語に訳すと、「私は、あなたが好きです」となりますが、

この文章は、最悪の、悪文であると述べています。確かに、日本人なら誰でも、目の前の相手に

向かって、「私は、あなたが好きです」などとは言いません。「好きです」と言うに決まっています。

日本語は、述語だけで文になる。動詞さえあれば、文になるという構造だからです。

  ところが、英語では、どうしても、主語がないと、文章が出来ないので、「 I Love you 」としなければ

ならないのだそうです。

  天気が良いね。と当たり前に言っていることを英語に直すと、どうしても主語が必要なので、

  「 It is good wether 」 のように It を付けなければ文章にならない訳です。

  一つ勉強になりました。

  この本を、早速読んでみようと思います。