雑談その13 敗北を抱きしめて  ジョン・ダワー 平成15年12月26日

この本は、1945年8月15日の敗戦の日から主に1952年頃までの戦後の
日本の様子を事実に基づいて克明に記載した歴史書です。
戦後の悲惨な食糧難の箇所などを読むと、今の日本の現状が、不況で大変だ
などと言っていたら、ばちが当たるような感じになりました。
 東京裁判が、事後法によるもので不当だと日本側の弁護士が主張したことや
天皇が、最高責任者である戦争犯罪人として当時裁かれなかった事情など興味
深い内容でした。
 特に、日本の戦後が終わったのは、1989年に昭和天皇がなくなったときまでの
44年間であったとの指摘には、ウ−ンと唸ってしまいました。
印象に残ったフレーズは、
「どの文化においても、どの時代においても、人々は自分たちの戦死者を神話化
してきた。その一方で、自分たちが踏みにじった相手については、多少なりとも
思いを致すことがあっても、すぐに忘れてきた」
「日本は、脆弱であるという、絶え間のない恐怖感」が戦後貫かれていた。
「最大の経済成長を遂げるには、国家の上層部による計画と保護が不可欠だという
考え方の存在があった。」
「マッカーサー統治の特徴の一つとして、日本の官僚に対して、無作為であったために、
結果として官僚が強大となった。」

お勧めの1冊です。