平成16年の税制改正 の概要
法人税関係
l 平成13年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金につて、繰越期間(現行5年)が7年に延長されました。これに伴い、帳簿書類も改正前5年保存とされていた書類は7年間保存することに延長されました。
l 欠損金額に係る更正の期間制限(現行5年)が7年に延長されました。
l 脱税以外の場合の過少申告に係る更正の期間制限(現行3年)が5年に延長されました。
注、更正とは、税務署側が申告内容を正しく修正することを言います。
個人所得税関係
l 住宅ローン控除制度が、平成17年以降段階的に縮小されることになりました。従来借入金上限5000万、控除期間10年、控除率1%であったものが、平成20年には、対象金額2000万、控除期間10年、控除率当初6年間1%、残り4年間0.5%に変更されます。
l 5年超保有しているマイホームを平成16年1月1日から平成18年12月31日までに他人に売却して譲渡損が出たときで、かつ、住宅ローンの残債が残ってしまう場合には、翌年以降3年間まで、その住宅ローンの残債相当の譲渡損失を繰り越すことが出来ることになりました。
l 所有期間5年超のマイホームを買替えのため他人に売却して生じた譲渡損失の3年間繰越控除について、従来は、ローン未済残高があることが条件でしたが、これがなくなりローン完済物件の譲渡損失も適用対象となりました。
l 平成16年1月1日以降行う土地建物の譲渡損失は、上記のケースを除き、譲渡所得以外の他の所得とは損益通算が出来なくなりました。
l 平成16年1月1日以降行う所有期間5年超の土地建物の譲渡所得の税率は現行26%(所得税20%、住民税6%)が、20%(所得税15%、住民税5% )になりました。
l 平成16年1月1日以降行う所有期間5年以下の土地建物の譲渡所得の税率は39%(所得税30%、住民税9%)になりました。ただし、国などに売却するときは20%です。
l 平成16年1月1日以降の譲渡に係る長期譲渡所得の100万円控除が廃止されました。
l 公的年金等控除のうち65歳以上の人に対して優遇していた部分の控除が廃止されました。
l 年齢65歳以上で、かつ合計所得金額が1000万以下の人には老年者控除として50万の所得控除がありましたがこれが廃止されました。
l 正規の簿記の原則に従って記録している事業者について、青色申告特別控除額が65万に引き上げられると同時に、簡易な簿記の方法で記録している者は10万になりました。
上記3項目の適用開始は平成17年分からです。
相続税関係(平成16年4月1日以降から適用)
l 相続した株式を発行会社に売却した場合、みなし配当課税をしないこととなりました。
その他
l 中小企業が高額な機械などを購入した場合7%の税額控除か30%の特別償却が受けられますが、特定の器具備品の要件が120万以上、リース総額160万以上に変更され、適用期限が平成16年4月1日から2年間延長されました。
以上ポイントを抜粋致しました。従来、譲渡損失は他の所得と損益通算が可能でしたが、今年から不可となりました。また特に高齢者に増税する内容となったようです。
尚、詳細についてのご質問は、当事務所にお問い合わせ下さいます様お願い致します。
平成16年4月1日 作成 増田潔税理士事務所