紙の話し

絵手紙は基本的には葉書に描いてこそ「絵手紙」と言うべきでしよう。描きな
れてくると、とかく大きな紙に描くようになります。私はあまり大きな紙に描
かないようにしています。何故かといいますと実用的ではないからです。伝え
ることはそれ程に時間を必要にしないからです。
思いついたら描かないと、新鮮な気持ちが時間とともに逃げるからです。逃げ
てしまう気持ちなら描かなければいいのではと思いますね。そうです、逃げて
しまうような気持は描いてはいけません。思いつきにインパクトがなくてはい
けません。そこには安定した情調がなくてはいけないのです。
紙はpaperですね、paperの語源は古代エジプトが発祥で「パピルス」からきて
いるようです。絵手紙を描く葉書の素材は「画仙紙」とよく呼ばれています。
その「画仙紙」とは、書画を書くための大型の紙の総称といわれています。中
国からの画仙紙を「本画仙紙」と呼んでいるようです。
日本での紙の産地は、山梨県の西島紙、鳥取県の因州紙、愛媛県の伊予紙、高
知県の土佐紙、福井県の越前紙島根県の石州紙が代表的です。これらの紙は価
格が高く流通量が伸びないといはれています。
中国の宣紙は、繊維がしなやかでかつ長いので、にじみの先端がノコギリ歯状
になって現れる。画仙紙は腐らせた稲わらや、竹などを使い繊維の隙間が大き
いのが特徴で、その隙間に水や墨の粒子がにじみやすくなります。
絵手紙用の葉書は種類も多くあり選択する側としては大変な作業です。大分類
しますと、にじまない→少しにじむ→多くにじむに分かれます。そして葉書表
面の滑らかさと色合いでしょう。でも最近は手作りの葉書が多く出回わってい
ます。それはいいのですが品質管理に問題があるようで、微妙に風合いが違っ
ているようです。
紙を白く見せるために胡粉(貝をくだいた白い粉)を加えている。胡粉を加えた
紙は紙の目を詰まらせ、表面は滑らかで描きやすいが墨色がよくでない。ドー
サ引き(土砂引き)の紙は、にじみを止める効果がある。
画仙紙の全紙は、大きく分けて小画仙(70×135cm)→中画仙紙(84×153cm)→大
画仙紙(97×180cm)」の三種類があります。一般的に全紙と言うと「小画仙紙」
のことです。中画仙紙はほとんど流通していない。
全紙を縦半分に切ったものを「条巾または半分にきることから半切(はんぎり
とはいわないでね)、半裁」ともいいます。
半紙のサイズは、昔の手漉き和紙の基準寸法(1尺6寸×1尺1寸)を半分に切った
サイズ(8寸×1尺1寸)です。
聯落ちサイズとは、全紙の巾を1/4を裁断したものです(53×136cm)。長さには
規定がないようです。一反とは100枚を意味する。
葉書の選択は極めて重要である。それは経験的に探さなくてはいけない。何故
ならば品質の安定したものを見つけなくてはいけないからです。
手元にはにじみ具合が異なる数種類の葉書を用意し、モチーフによって使い分
けたいものです。使い分けることによって、さらに表現が豊かになるからです。

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