骨を折りました(4)

 翌朝、目がさめてみると、さあ大変だ!右ヒザは見るも無惨に腫れ上っていた。北九州で内科医をやっている友人の手配で早速、整形外科へ行った。若い医師は「ああやりましたね」といってすぐレントゲンを撮った。

 右ヒザは、半月板の下の内出血。左手首は骨折、だった。

 それから一ヶ月以上、11月末になってやっとギブスがとれた。リハビリに入った。

 今12月の半ば、やっと正常な状態に戻ったようだ。

 私は今、あの時のことを思い起している。赤間神社のご祈祷のおかげもあってこの程度ですんだのだ、と思っている。

 又、あのシ−ンとした場所で、皆を笑わせようとした私の「ダジャレ」、あの不謹慎な行為に功山寺の石段は、私を転倒させて軽い罰をお与えになったのだ。

 そしてやはり考えなければならないのは、年齢のことである。75歳はもはや若くない。あとしばらく生きるにしても、もはや昔のように元気には生きられない。

 大切に大切に、一瞬一瞬を大切に生きるムリをしない。能力以上のことをしない。

 それが本当の生き方だと思う。

 かって昭和天皇ご健在のころ、赤坂御苑での園遊会で柔道の山下との微笑ましいやりとりを思い出した。

 天皇「骨は折れましたか?」

 山下「ハイ、骨を折りました」

 まわりがドッと笑った。いい雰囲気だった。

 今、私も人に聞かれたら「骨が折れました。何しろ75年生きましたから、、、、、。私の骨も折れる時期だったんですよ」と答えよう。

 そしてもうこれからは骨を折るようなブザマな不注意きわまることはやめよう。

「骨が折れる」ってことはやはり大変なことなのだ。