本代を棒引きにした話

日本の近代演劇に大きな功績を残した小山内 薫は生前、丸善を通じて演劇関係の書物を大量に購入した。その頃は学者や作家の上得意はツケが出来た。小山内薫もその一人であった。どんなに機嫌が悪くても、丸善から注文していた本が届くと、途端に上機嫌になった。昭和3年、47歳で死去した時、丸善は香典として、その多額の本代を棒引きにしたという。

その丸善が第二次世界大戦で、空襲にあい壊滅的打撃を蒙った。戦前からの長い取り引きがあったイギリスのマクミラン社では戦後、それまでの売り掛け金を棒引きにして、改めて取り引きを再開したという。