「立志の部屋」とは...

■「立志の部屋」と名づけた理由

 私が大学4年生のとき,自由単位として専門,必修以外の単位を取らなければいけないことを知り,楽そう(簡単に単位が取れそう)だと人から聞いて受講したのが「職業指導概論」(たぶん)でした。この講座の教官はすでに退官され非常勤講師として来られている田島信一先生(福岡教育大学名誉教授)でした。毎時間とても熱心なお話をされ,進路指導に対する情熱を感じとることができました。その授業の中で「みなさんが教員として学校へ勤めるようになったら,進路学習のための教室をつくってほしい,名前は『立志の部屋』でも何でもいいから。」というお話をされたことがありました。私も進路指導には関心をもつようになり教員として中学校に勤めてから,学級活動では進学指導だけでなく本来の進路指導を行おうと努めていましたが,学校全体の進路指導には携わることもなく,「立志の部屋」の実現はできませんでした。平成9年,今の学校への転勤を機会にインターネットを始めました。その学校のホームページをどんなものにしようかと考えているときに,インターネット版「立志の部屋」を思いついたのです。もちろんホームページのタイトルは「立志の部屋」です。平成9年冬に「立志の部屋」は誕生しました。

■「立志の部屋」とは

 中学校の進路学習には,身近な職業調べ,職場見学,職場体験などがあり(すべての学校で職場見学,職場体験を実施しているわけではない),働く意義などを学習します。しかし,自分が実際に就きたい職業についてその情報を得られるとは限りません。今日では社会の変化が激しく,日々新しい職業が生まれていると言ってもいいぐらい多様化しています。そういう中で,学校でそれらすべての職業について子どもたちにその情報を与えることは不可能です。しかし,インターネット上には多くのホームページが開かれ,コンピュータを利用してそれらの中から知りたい職業についての情報を検索することができるようになりました。インターネット版「立志の部屋」では,E-mailを利用して,実際にその職業についていらっしゃる方に質問をして答えていただくことができるホームページにしようと考えました。

■これまでの「立志の部屋」

 「立志の部屋」では,多く職業人の方に協力していただかなければなりません。まずはこちらからお願いをしてみました。最初は大学時代の先生。次に転勤する前までかかっていたお医者さん。私は転勤するまではひどい偏頭痛に苦しんでいました。最後の診察のとき離島へ転勤することになったことを伝えると,「インターネットでもやってみれば」とおっしゃいました。その先生は病院のホームページを作ったりと熱心にインターネットをやっていらっしゃったようです。その先生にもお願いしてみると,快く協力して下さいました。また,学校のホームページを通じてお知り合いになった方々にもお願いをしてみました。このようにして少しずつですが協力して下さる方が増えていきました。
 最初に来た質問は「獣医」についてでした。しかし「獣医」について答えていただく方はまだいませんでした。せっかく来た最初の質問ですので,何とかしたいと思い,とりあえず病院の先生(神経内科)にお願いしてみました。その先生がお知り合いの「獣医」の先生に質問を送って下さって,その「獣医」の先生から回答が届けられました。お二人の先生のご協力に感謝するとともに,インターネットのすばらしさに感動したのでした。
 このようにして,それからのいくつかの質問にみなさんの協力を得て答えていくことができました。その中には,質問をくれた子のお父さんからのお礼のメールや,どうしても調べることのできなかった職業が「立志の部屋」のおかげで知ることができ,夢を持ち続けることができたというメールも頂きました。しかし,協力いただいていない職業についての質問も少なくなく,また,興味を持ってホームページを見て下さった方にとっても充実していない内容のためまだまだ利用しにくいホームページではないかと考えるようになりました。そこで今回新しい「立志の部屋」をつくることにしました。

■今後ともご協力を

 今までの「立志の部屋」はとりあえずホームページをつくっただけというものでした。これからの新しい「立志の部屋」は多くの子どもたちに利用してもらえる「使えるホームページ」にしていきたいと思っています。それにはみなさんにご協力して頂けなければ運営は不可能です。3年前,私が担任した中学1年生のクラスで「身近な人々の職業調べ」を行い,それを冊子にまとめました。その中であるお父さんの「中学生へのアドバイス」で,「親がどうして働いているのかを考えてほしい」というコメントがありました。お父さんやお母さんがどんな喜びをもって,またどんな苦労をしながら仕事をしているのか知らない子どもも多いのではないでしょうか。自分の子どもに自分の仕事のことについて語るという気持ちでこの「立志の部屋」にご協力いただけたら幸いです。今後ともご協力をお願いいたします。

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