放送作家 |
■仕事の内容
放送にたずさわる者として、そして東京での大学時代に、以前放送作家をしていたというフリーライターのもとで少しだけ働いた経験などから言いますと、どちらも大変な職業だと思います。資格試験があるわけでもないし、「ボクは放送作家です」「私は脚本家です」と名乗ったその日から誰にでもなれる職業ですが、かといって収入がすぐにあるわけでもなく、きょうのゴハンはどうしよう・・という時期を過ごしながらこつこつと目標を持って努力をしなければ、人から「放送作家」「脚本家」として認められることは決してないでしょう。 と、おどかしてばかりでもかわいそうですね。放送作家から考えていきましょう。
たとえば秋本康さん。とんねるずとの放送作家としての仕事で名をあげ、現在は作詞家、小説家、映画監督などとビッグな肩書きをいくつも持つ秋本氏ですが、最初はラジオ番組の構成作家からスタートしたのではなかったでしょうか。他に、バラエティ番組の構成のチーフにいつも名前を連ねている鶴間政行さんも、欽ちゃんのラジオ番組の常連投稿者から、欽ちゃんの事務所に出入りするようになり、小さなラジオ番組の仕事をこつこつとこなしながら今の地位を築いていったのです。
ただ、放送作家といってもバラエティの方面だけではありまん。NHK教育の小学生向け科学番組にも構成作家さんがいますし、私たち長崎のローカル局がドキュメンタリーの構成やナレーション台本をつくっていく際にも、主に福岡で活躍している「放送作家」の方にアドバイスを求めることがしばしばです。秋本康、景山民夫、古くは大橋巨泉、永六輔といった「有名」な放送作家もごく一部にはいますが、大多数(たぶん99.9パーセント以上)はそうした形で放送にたずさわっている「作家さん」です。
では具体的に放送作家になるためにどうすればいいのか。放送作家に求められるのは、たとえばバラエティなら、湯水のようにアイデアを次々と生み出す能力を持っていることでしょうし、他の分野も含めて、ディレクターの求めるように番組を形にしていく構成力がなくてはなりません。もちろん、文章力やボキャブラリーはそれ以前に持ち合わせていなければお話にならないでしょう。不規則な生活の中で文章をキチンと、早く書いていくための体力も不可欠です。
■なるには(資格や適正)
放送作家になるための方法は人によって様々なのですが、ラジオや雑誌の投稿コーナーで腕を磨いて、という人も多いようです。かくいう私も、中学・高校時代は、ラジオや週刊少年ジャンプ、また月刊誌などの投稿コーナーに月々200枚ぐらいギャグのハガキを送っていました。(鶴間さん構成の「ラジオはアメリカン」というラジオ番組にも投稿していて、ファン集会に参加したとき鶴間さんから、先ほどのような放送作家になったいきさつを聞きました。)そうした時期を経て、私も番組や投稿コーナーの構成作家の人たちとつながりができ、大学時代にフリーライターの人の事務所に出入りするようになったのです。(ハンパな考えで行ったので半年ほどでクビになりましたが・・・)
マスコミでの実際の仕事がプロ野球だとすれば、雑誌やラジオの投稿コーナーは少年野球。ここで練習をかさねて、簡潔な文章の書き方を学んだり、気の利いた言葉づかいを学ぶのです。逆にいえば、ここでモノにならなければ、やめといた方がいいのかも知れません。(わたしはモノ書き方面ではなく、しゃべりで出直したワケです)
東京近郊に住んでいるのなら、アルバイトなどで放送局に出入りするうちになんとか番組構成グループに潜り込む、という手もあるかも知れませんが、実際はむずかしいでしょうね。あと、首都圏には「放送作家養成! ○○専門学校」なんてところもあるようですが、どうでしょうか。私はあまり知らない世界なんですが・・・。
「文系の方がいいのか」「学歴は」との質問もありましたが、資格試験も何もない世界だというのは最初に書いたとおりで、別にそれが影響するようなものではないでしょう。要は「なりたい!」と思っているあなたが、どれぐらい豊富なジャンルの知識を持ち、仕事が早く、文章力があり、人脈をもっているか、あるいはそうなるために努力を重ねているか、また辛抱して努力を続けられるか、ということです。
■その他
サラリーマンと違って生活保障のない職業ですし、モノになるかどうかは神のみぞ知る、ですから、保護者にもかなりの精神的負担を与えますよ。ご両親にもちゃんと理解を得ていないといけないと思います。
解説:山本耕一さん
■質問と回答
Q 僕は、今度高校生になる少年です。それで、将来は「放送作家」になりたいと思っています。自分のなりたい職業なのだから、少しでも知識が多い方が良いと思い、いろんな人に聞いて回ったのですが、「放送作家」という職業を知らない人が大半で、全く情報が入ってきません。そんな時、このホームページを発見し、今質問しているわけです。 この夢を達成するのはかなり大変なことだつは思うんですけど、どうしてもなりたいので、なんでもいいですから、情報を下さい。具体的には「どうやったらなれるのか」という事と「やはり作家と名がつくのだから、文系のほうがいいのか」「学歴は、重視されるのか」の3点を教えて頂きたい。
A
当社の元プロデューサーに聞いて次のようにお答えします。学歴などは一切関係なく、やる気と感性が大事のようです。
■勉強は、まず第一に放送台本の約束事をマスターすることから始まります。参考書か使用済みの台本を入手して勉強すること。
■一口に放送作家といっても作品によっていくつかのジャンルにわかれます。たとえばドラマ(文芸、推理、児童)バラエティーショー、芸能番組、ゲームなど。このほかに漫才、コントもあります。東京に数校ある養成学校に入るのも一方法。優秀な人材は局に紹介してくれる場合もあるでしょうが、レアケースです。既成の作家に売り込んでゴーストライターになるのもレアケースですし、将来性はありません。作品を局の演出担当部局に持ち込んでみてもらう手もありますがよほどの優秀作でないと、まず採用されますまい。漫才、コントの場合、大阪の吉本興業に送ってみるのもよいでしょう。この世界は、実力とコネと運です。こつこつと努力する以外に道はありません。(NCC長崎文化放送)
A 放送作家について詳しくは返事が出来ませんが、「どうやったらなれるのか」というご質問は、ドラマの場合、ドキュメンタリーの場合、とでは少し違うかもしれません。ドラマなどは放送局などが行うコンクールなどに応募して実力をつけていく場合もあります。文学・理系は問いませんが、かなり努力が必要です。学歴は問われません。日本脚本家連盟という団体があって「ライターズスクール」という学校をもっています。・放送作家教室 ・作詞教室 ・フリーライター養成教室の3つの教室です。資料等又は、くわしくお知りにんりたい場合は03-3404-6761 日本脚本家連盟までお問い合わせ下さい。(KBC九州朝日放送)