新聞記者

■仕事の内容

 政治や経済、社会の動きを取材して、読者に伝える仕事です。世界のすべての出来事が対象で、その中から、最新のニュース、記者が読者に伝えた方がいいと考えたこと、人々の生活に必要な情報、びっくりするような珍しい出来事などを記事にし、新聞に組み上げます。取材する記者のほかに、紙面のレイアウトをする編集記者もいます。
 取材記者は国会や役所、企業、警察などで情報を集めます。殺人事件や交通事故、飛行機墜落などの現場に行き、最前線で出来事を取材します。戦場に行くこともあります。最近は科学技術、医療、生命などさまざまなニュースがあるので、正確に出来事をとらえ、評価する力が要求されます。
 編集記者は取材記者から送られてきた原稿を見て、「どのニュースが大事か」「何をトップの記事にするか」を考え、読みやすくレイアウトします。ニュースの重要性を正確に判断する力、読者のを興味を引くレイアウト、ニュース選択のセンスが必要です。

■なるには(資格や適正)

 資格は大学卒業くらいです。毎日新聞では学歴を問いません。
 年齢制限はあります(毎日新聞では28歳まで)が、「100bを10秒で走れ」とか「そろばん1級」とかいう資格制限はありません。
 適正−−これが大事だと思います。といっても「文章がうまい」とか「だれとでも仲良くなれる」とかいうのではありません。その方がいいことはいいのですが、新聞記者に必要なことは「好奇心」と「前に進もうとする意欲」だと思います。もちろん、それだけではありませんが、私はその2つが大事だと思います。いろんな出来事に興味を持って、自分で確かめて、隠されていること、なかなか分からないことも、徹底的に取材して明らかにする。そんな元気が必要です。でも、元気だけではだめです。正確に事実をとらえ、読者に正確に分かりやすく伝えるためには、知識や判断力が必要です。

■その他

 私は文章を書く仕事をしたかったので、その1つとして選んだので、あまり参考にならないでしょう。スミマセン。
 新聞記者は好奇心があって、元気で、自分で学ぼうとする意欲が必要です。といって難しいことではありません。きちんと目的と方法を意識して勉強すれば身につくことです。最初から何でも知ろう、勉強しようと思わず、まず自分の関心のあることを勉強して、詳しくなって下さい。すると、関連したほかのことにも興味が出てきます。そうして、自分の知識の貯金を増やしていくのが、いいと思います。新聞記者は広い知識が必要ですが、これからは専門性がさらに重視されていくでしょう。何か得意な分野を持つことが大事です。
 そして、世の中の出来事に常に、関心を持て下さい。新聞を毎日読んだり、テレビのニュースを見たりして、今、私たちが、世界がどこに行こうとしているのか、どの方向に進んだらいいのか、それを考えるようにして下さい。自分のことだけでなく、自分を包んでいる大きな世界を常に考えて下さい。

質問と回答

Q 何人のグループで調査をするのですか

A 特に人数は決まっていません。扱う事件の大きさや内容によって変わります。例えば政治家のからんだ汚職事件など、関係者が多く、複雑な事件では多くの記者が関係します。警視庁や検察庁など捜査機関を担当する記者、国会議員やその秘書など事件の関係者やその周辺を取材する記者、関係する業界人などを取材する記者など社会部、政治部、経済部など多くの記者がそれぞれの持ち場で取材し、集めた材料を付き合わせます。東海村の核燃料製造施設で起きた、臨界事故のような大規模な災害の時は現地の動きを取材する社会部や地方部、政府の対応を取材する政治部、科学技術庁の対応や、放射線がどのような影響を及ぼすかなど科学的な問題を取材する科学環境部、また原子力発電を担当する通産省を取材する記者、住民の健康問題を担当する厚生省を取材する記者などたくさんの記者が取材にあたります。それほど大きくない問題では、2人から数人で取材します。この程度のチームが実際の取材では一番多いです。例えば、高齢化とバリアフリーの問題の取材では、生活家庭部の記者や社会部び記者が数人でチームを組むといった具合です。最近はいろいろな事件や出来事があるため、1人が複数のチームに入ることもあります。


Q 仕事に慣れるまでの期間はどれくらいですか。

A 「10年記者」という言葉があります。1人前の記者になるのに10年かかるという意味のようです。10年選手なら、大体どんな取材でもこなせるようになり、一番脂が乗った時期ということでしょう。といっても、会社は10年待ってくれるわけでもないし、10年間に十分な経験と知識の積み重ねがあって初めて、1人前になるのです。入社して、研修が終わるとすぐに取材に出されます。警察を回って事件の取材をしたり、街を歩いて面白い話を集めたりします。先輩はあまりあれこれ教えてくれません。取材相手が先生です。どうしたら話を聞かせてくれるか、誰も知らない情報を教えてくれるか、相手の立場や人柄などによって、いろいろアプローチを変え、時には一緒に考え、ある時は相手の良心に訴え、友達になったり、いろいろな付き合いをして、情報源を増やしていきます。最初は叱られたり、邪魔にされたり、いやなこと、苦しいことも多いですが、助けられたり、励まされたり、仲良くなったりすることも多いです。面白い仕事です。慣れる期間は人によって違います。すぐに人の懐に入って行ける人もいるし、とっつきは悪いけれど、1度仲良くなったら、すごく深い付き合いをする人もいます。警察取材が得意な人もいれば、行政の取材が好きな人、スポーツの取材が向いている人もいます。どの仕事でも、その対象のことをよく知り、相手とすらすら話せるようになる必要があります。それにははじめ、数ヶ月はかかります。でも、それも人によると思います。また、取材したことを原稿にするのにも訓練が必要です。必要な事柄を間違いなく、しかも読みやすく書くには、毎日毎日書いていかなければなりません。書くことも取材も「これで慣れた」という「終り」はないのでしょう。


Q 新聞記者になるための勉強は。

A 新聞記者になるための特別な勉強はありません。新聞記者が大学で勉強したことは、政治経済から文学,法学、科学、哲学などさまざまです。みんな新聞情報学科を出ているわけではありません。どんな勉強がいいかを考えるに、新聞記者の仕事を考えればいいでしょう。新聞記者の仕事は、世の中の動きをいち早く、正確に伝え、読者がそれらの事実を知り、判断し、行動できるようにすることです。そのために必要なニュースを伝え、時には隠された情報を明かにするのです。また楽しい話題、悲しい出来事、許せないことなど、世の中の姿を伝えます。十分な情報をもとにみんなが自分の判断をできるようにという考えからで、決して覗き見や噂話や特定の人をいじめるためではありません。さて、そういう仕事だとすると、新聞記者は世の中や人間に興味のある人、世界の出来事に感心の強い人でなければなりません。ごちゃごちゃした世の中を見つめ、私たちの世界、社会がどうなるのか、あるいはどうしたいのかを考えていける人、そのことに興味のある人が向いています。そうなるには、普段から新聞やテレビのニュースに関心を持ち、それがどういうことなのか自分で考える訓練が必要です。また、どんなことも、その背景や歴史があります。そうした知識があれば、出来事をより確かに理解でき、必要不深みのある記事を書くことができます。また記事を書くには言葉や文章についての力が必要です。正確に伝える力がなければ、いくらいいニュースでも読者に伝わりません。いろんな人に取材するので、できるだけ多くの知識があった方がいいでしょう。同時に「自分はこれは得意」という専門も持っていた方がいいでしょう。それから、外国に取材に行く機会がもっと多くなるでしょうから、最低英語くらいは話せた方がいいでしょう。と、ここまで読んでいやになりました? そんなことはありませんよね。要は社会、世界の行方に関心を持った心も知識も豊かな人になるのが、新聞記者になる方法であり、楽しく仕事をするポイントだと思います。


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