脚本家

■仕事の内容

 最近だと内館牧子さんとか、三谷幸喜さんなどが有名脚本家でしょうか。三谷さんの例で言えば、彼はコメディー劇団の脚本家として人気を確立したあと、フジテレビの深夜番組のプロデューサーに見いだされて、その後「古畑任三郎」や「王様のレストラン」といった傑作を書いたのでした。 脚本家に求められるものは、物語を創作する力です。ドラマや映画はフィクション(作り物)です。現実にある出来事を参考にしたり、ヒントにすることはありますが、現実の世界にはいない人物を作り上げ、現実ではない世界のなかで生き生きと動かす力が必要です。最近は人気コミックをドラマ化するものが多くありますが、それは、すでに登場人物たちの性格や住む世界などの設定ができあがっており、イチから作り上げるよりも楽だからです。
 脚本家になりたいなら、そうした世界を作り上げる能力を充分に身につけないといけないでしょう。はじめはあなたの好きなコミックのキャラクターを自分の作った世界のなかで動かしてみるというのはどうですか。好きなキャラを自分の設定した事件に巻き込み、彼らがどんなふうにそれを解決していくのか、ドラマの進行につれて彼らをどこに動かそうか、このキャラだったらこんなしゃべり方をするんじゃないか・・・。そんなふうにして物語を何本か書いたら、今度はその中にオリジナルのキャラをからませてみる、そして次は全員オリジナルのキャラにして物語を書く・・・。そうして何本も何本もドラマを作っていくうち、自分の好きなキャラや、キャラを動かしやすい世界が見つかってくるかも知れません。また、すぐにネタが尽きてしまうでしょうから、教科書や新聞に載ってたあの出来事を舞台にキャラを動かしてみようとか、そんな事も覚えていくのではないですか。脚本家も放送作家と同じく、「モノ書き」なのですから、とにかく文章をたくさん書かなくては訓練にならないと思います。
 さて、ドラマや映画の脚本は普通の小説とはちょっと違う書き方をします。せりふがなく映像だけの部分や、ナレーション、場所が変わったときの説明など(専門用語で「ト書き(とがき)」といいます)を書き込む必要があるのですが、それは前に書いたような訓練がすんだ後に身につけても全く問題ないと思います。物語を作れるようになってから、映画の台本などを探して(東京・神田神保町の古本屋街にはそんな本ばかりを置いてあるところもあるといいます)みてください。「キネマ旬報」といった映画専門誌にも、台本の通信販売の広告が載っていたような気がします。

解説:山本耕一さん(KTN)

■なるには(資格や適正)

 脚本家になるには、今現在大きく分けて三つの道があります。
1つは、シナリオスクールに通い有名な脚本家にみとめてもらう方法。
 現在、以前のような弟子になって修行する師弟制度はありません。シナリオスクールが、たくさんあるのでそこに通い勉強するのが一般的です。現役の脚本家が、講師としてくるので作品をみせたりします。
2つめは、コンクールで賞をとる方法。
 テレビ局が主催しているコンクールで賞をとるとその作品は、テレビドラマ化されます。それがきっかけになってプロとして活躍している人は、たくさんいます。今をときめく野島伸司は、コンクール出身です。
3つめは、テレビ制作会社のプロット書きを勉強しながら、チャンスを待つ方法。
 プロットとは、ドラマのあらすじのようなものです。このあらすじを何本も書きます。必ず採用されるとは限らない厳しいものです。この際シナリオは、別のプロの脚本家が書きます。自分でシナリオを書ける日まで書き続けます。
 テレビ脚本家は、この3つの方法で誕生します。とにかく作品を書けることが前提です。一時間ものだと400字原稿用紙60枚程度。

■労働条件など

 

■その他

 今から、たくさん映画を観たり、本を読んだりすることが必要です。そして、何より人間を好きになるのが、大事です。他人をよく観察してください。
 少しえらそうですが、私がいつも言われていることです。どの程度のことを書けばいいかわからなかったので、何かあったら質問してください。

解説:木山直子さん

 最後に。放送作家も脚本家も、ひとに夢を与え、情報を与える仕事です。でも、自分の胸のなかにたくさんの情報や夢、空想がなければ、すぐに与えられるものがなくなってしまうでしょう。これから大人になって夢を実現していくまでに、たくさんの人にあい、友達になり、本を読み(コミックでも構わないんです)、いろんな経験をしてください。そうすれば、友人があなたの脳みそをおぎなってくれるでしょうし、本で得た知識があなたの書くものに厚みを与えてくれるでしょうし、経験がキャラクターに命をふきこんでくれるでしょう。 夢を持ち続け、あきらめないで努力して下さい。また、なれなくってもきっと他にあなたにすごく向いた人生が待っていると思っています。がんばってください。(山本さん)

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