Kawasaki ZXR 250


もう乗らないというので知人から引き取ったZXR 250。修理中の様子は以下です。

まずはカウル類の取り外しです。サイドカウルは最下部のパーツでつながっているので、これを最初に外しておくと割らずに済みます。
カウルを外すと、さすがにフレームの溶接部分等に錆びが見られましたが致命的なものはありませんでした。1年半程エンジンをかけていないとのことなので、ガソリンコックをRESにすると、予想通りガソリンが床に落ちました。

とりあえずタンク内に残っているガソリンを別の容器へ移した後、タンクを外します。するとバッテリーとエアクリーナが見えます。エアクリーナの蓋を外すと、いきなりキャブレタの口が見えます。このキャブレタの8mmボルトは3/8(9.5mm)角のソケットでは入らないので、1/4(6.35mm)角ソケットと専用ドライバを組み合わせて外します。

いよいよキャブレタの分解です。ZXR250の場合、キャブレタ本体が4連であることと、フロート室だけであればこの状態でも取り外せそうだったので、キャブレタは取り外さずに作業をすることにしました。


しかし、フロート室の4箇所のネジを外すには、ドライバが長すぎて入りません。そこで、電動ドライバ用ビットが使えるというVESSELの小型ドライバ(\600-)を購入しました。もちろん電動ドライバ用ビットのセット(\900-)も。
電動ドライバ用のビットには45mm、65mm、110mmの長さがありますが、ちょうどよい長さのものがないので、セットに2本ある110mmのものを、グラインダでカットして使用しました。
2番と3番のフロート室のネジは、冷却水循環用のホースがすぐ前にあり、この小型ドライバでもグリップ部があたるため、オフセット(L字型)ドライバ(\600-)を購入しまた。

こうして4つのキャブレタすべてのフロート室を開けてみると、2番のキャブレタ以外はメインジェットがワニスで真っ黒でした。フロートピンを止めている錆だらけのネジを外し取り外します。


各ジェット類を外してみると、見事に穴が塞がっていました。きれいな2番のキャブレタに付いていたジェット類を参考に、他のキャブレタのジェット類を手持ちのキャブレタクリーナに30分ほど漬けておき、エアーを吹いてみましたがワニスは強力で、穴は貫通してくれません。
穴が貫通しなければ再度組み上げる意味はないので、さらに強力なヤマハ製ME-2キャブレタクリーナ(\1500-)を購入し、漬け込んで様子を見る事にしました。
...4時間後、見てみるとワニスはすっかりなくなっており、エアーを吹くとちゃんと穴が貫通しました。

清掃するジェット類は3種類あります。
・メインジェット(高速系)
 マイナスドライバで外します。比較的大きな穴なのですが塞がっていました。
・ニードルジェット(中速系)
 メインジェットを外すと、8mmソケットでニードルジェットを外します。
・パイロットジェット(低速系)
 メインジェットのすぐ横の穴の中にあるため、マイナスドライバも細いものが必要です。


取り外しに苦労した2番と3番のフロート部の取り付け用ネジは、次回分解し易いようにキャップタイプに変更することにしました。これならL字の6角レンチで外せます。

プラグも見たかったのですが、これもラジエータとファンを外さないと工具が入りそうもないので保留としました。バッテリーは電解液を見ると、1/4ほどしか入っていませんでした。

さて、キャブレタも元に戻し、エアクリーナを取り付けると、いよいよ始動です。
ガソリンを少しだけ購入し、タンクに入れます。タンクを組み付け、フュエールホース類を接続し、ドレンコックをRESにまわします。オーバフローはないようなので、とりあえず一安心。すっかりイカれたバッテリーを組み付け、自動車のバッテリーとつなぎます。
キーをONにすると、ランプが光りました。しかしセルスイッチを押してもセルが回らない。というより何も音がしない。

とりあえず電装系の回路図を見ながら、セルモータからスイッチまでを追っていくことにしました。テスタでヒューズやリレーをあたっていくと、結局セルスイッチの接点がONになっていないことが判明。試しにコネクタの接点をリード線で直接短絡してやると、セルが反応しました。

アクセル側スイッチ部を分解してみると、セルスイッチの接点は錆びてはいなかったが、曇っていて接触不良っぽいと言えばそう見えました。コンパウンドで接点を磨き、CRC-556を吹いた後、再度組み上げました。
再び自動車とバッテリーを直結し、セルスイッチを数回押し続けると、一回り、二回りと動き始めました。

そして5分程経った午後11時30分、1年半ぶりにエンジンは始動したのです。数分後にはアイドリングも1000rpmあたりで落ちつきました。

レーサーレプリカということで、フルカウルなんですね。個人的にはネイキッド派なのですが、デザインは嫌いじゃないです。タコメータの針がアクセルに合わせて気持ちよく跳ね上がります。
さすがレーサーレプリカです。

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