「SCENE 24」


横殴りの雨と風
関東直撃のハリケーン
たいして被害も出せないまま
今は僅かの雨を残すだけ

海岸線をたどる国道
もうどれくらい走っただろう?
熱帯夜の続くこの季節
もう少し濡れてみたい

幾人かのクレイジーとすれ違い
その都度そっと微笑んでみた
ヘルメットのシールドごし
すれ違うほんの一瞬・・・
いったい何人と語り合えただろう?

本当さ
何にも欲しくない
たとえばこんな夜だけで
今夜は何もかも
静かに満たされてる

エンジンを止めたら
急にしんと静まりかえって
打ち寄せる波と風の音だけが
やけに大きく聞こえてきた

波打ちぎわを歩くカップルもいないし
花火を上げる人達もいない
どっからか走り出てきたズブ濡れの犬が
足元でジャレついているだけ

シーズン最中というのに
誰もいない海岸
今夜は総てが
ひっそりと眠っている

部屋は少し散らかしたまま
帰る気配を残したまま
誰もいないビーチハウス
今夜はここで眠ろう

台風一過の海岸は
少し荒い波だけがその名残を残して
明日の喧騒を予感しながら
夜に満ちている

(1986.3.)

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