尾上の松 作曲 不明  作詞 不明  箏手付 宮城道雄
2002年12月5日二人会
(前奏)やらやら芽出たや、芽出たやと、唄ひうちつれ 尉と姥。(合)その名も今に高砂の
尾上の松も 年ふりて 老いの波も 寄り来るや。 この下蔭の 落葉かくなるまで 命な
がらへて 猶いつまでか 生きの松。 (合)千重に栄えて 色深み、(合)箏の音通ふ松
の風 太平楽の調べかな。 (手事三段)豊かにすめる日の本の 恵みは四方に (合)照
り渡る 神の教えの跡垂れて 尽きじ尽きせぬ 君が御代 萬歳祝ふ神かぐら みしみんの
前に八乙女の袖振る鈴や振り鼓 太鼓の音も笛の音も 手拍子揃えていさぎよや。(手事)
あら面白や面白や 閉さぬ御代に相生の松の緑みどりも春来れば、 (合)今ひとしほに
色勝り、深く契りて 千歳経る (合)松の歳を今日よりは 君にひかれて萬代を 春に栄
えん君が代は 萬々歳と 舞ひ唄ふ。

九州系の地歌三弦曲として伝承されたもので、作曲者、作詞者は不明である。歌詞は、
謡曲の、「高砂」より取り、播州加古川の、尾上の松に寄せて、御代の泰平と長寿を祝
う内容となっている。
宮城道雄により、古典としての収まりを持ちながら、現代に息吹を感じさせる細かい箏
の手が付けられ、三曲合奏となり、この後普及した。
小橋師の、他の追随を許さぬ抜群のリズム感を改めて納得し、この孤高の技に生涯をか
けて少しでも近づく所存であると伺っている。
                                       (解説 守山 子)