雲井の曲 作曲 八橋検校 作曲年代 1600年頃
1991年12月12日リサイタル
一歌 人目忍の仲なれば、思ひは胸に陸奥の千賀の塩竃名のみにて、隔てて身をぞ焦がるる
二歌 忘るるや忘らるる、我が身の上は思はれで、仇名た憂き人の末の世いかがあるべき
三歌 たまさかに逢ふとても尚濡れまさる袂かな、明日の別れをかねてより思ふ涙の先立ちて
四歌 雨の中の徒然、昔を思ふ祈りから、哀れを添へて草の戸を、たたくや松の小夜風
五歌 身は浮き舟の楫緒絶え、寄る辺も更に荒磯の、岩打つ波の音につれて千々に砕くる心かな
六歌 雲井に響く鳴る神も落つれば落つる世の慣ひ、さりとては我が恋の、などか叶はざるべき

この曲の作曲者である八橋検校は今日一般的な生田流や山田流の筝箏
曲の基である八橋流筝曲を樹立し、「筝組歌」として伝えた。この
「筝組歌」は、表組七曲と裏組六曲の十三曲あり、この「雲井の曲」は
裏組の一曲である。曲名の「雲井」とは他の組歌十二曲はすべて「平
調子」であるのに対して「雲井調子」によって演奏される所に由
来している。
 *本日は第四歌を省略させていただきます。