末の契 作曲  三絃 松浦検校(〜1822)
     尺八 鶴の巣籠 入り
2003年12月5日二人会
   白波の、かかる憂き身と知らでやは、わかにみるめを恋すてふ、渚に迷ふ海女小舟(合)
浮きつ沈みつ寄る辺さへ(合)荒磯伝ふ芦田鶴の、鳴きてぞともに(合、手事)手束弓。春
を心の花とみて、忘れ給ふな、かくしつつ、八千代ふるとも君まして心の末の契り違ふな。

地歌、手事物である。前歌、ツナギ、マクラ、手事、後歌となっている。
歌の大意は、ままならぬ恋を荒波に漂う小舟にたとえ、苦しみに耐えて後の契りを約束
しようというものである。
旋律は品位があり、渋みを含んでいる。「浮きつ沈みつ寄る辺さへ」までの深い静かな
味わいと、それに続く、豊かな高まりとを感ずる事ができる。
 鈴慕記・・・大正末期、名人・荒木古童師が「末の契」前歌のあとに琴古竜本曲「鶴の
巣籠」の一部を挿入して演奏されたことがあったと、父・初代鈴慕に聞いてありました。
本日はその形で聞いていただきます。