残 月 峰崎勾当(1780〜1800頃大阪で活躍)作曲  作詞 不明
2001年10月24日筝曲古典演奏会
18世紀後半から19世紀中頃にかけて、地唄三弦と筝の組み合わせで、いわゆる地唄手
事物が、充実期をむかえる。「残月」はこの中で名曲の一つに数えられる大曲である。
 峰崎勾当の門下の松屋某の息女が夭折したのを追善した曲とされ、曲題は、その法名
(残月信女)にちなんだものといわれている。前歌は手数も少なく、肉親を失った気
持ちを、淡々とした飾付けでうたっている。手事五段の妙を尽くした各々の手法に、
残された者の心理の起伏を織り込んだように思われる。
 本日は筝と尺八のみの合奏である。

(前弾)磯辺の松に葉隠れて (合)沖の方へと入る月の、光や夢の世を早う (合)
覚めて真如の明らけき (合)月の都に住むやらん (手事五段)
今は伝てだにおぼろ夜の (合)月日ばかりや巡り来て