MONK’S MOOD / 林栄一

(CRCJ-9134 / NIPPON CROWN)
personel:林栄一(as)
     伊藤啓太(b)
     角田健(ds)
     ゲスト 渋谷毅(p)(M1,M2,M3,M4)
date:1995年11月23・24日
place:Tokyo FM R Studio

1.Monk's Mood(T.Monk)
 ・・・林、渋谷
7.Inside of the Earth
 ・・・林、伊藤、角田(林栄一)
2.Misterioso(T.Monk)
 ・・・林、渋谷、伊藤
8.Cross Ball(林栄一)
 ・・・林、伊藤、角田
3.Pannonica(T.Monk)
 ・・・林、渋谷
9.Improvisation #1(林栄一)
 ・・・ソロ
4.Body and soul(Jonny Green)
 ・・・林、渋谷、伊藤、角田
10.White Noise(林栄一)
・・・林、伊藤、角田
5.Donna Lee(Miles Davis?)
 ・・・林、角田
11.Improvisation #2(林栄一)
・・・ソロ
6.Four in One(T.Monk)
 ・・・林、伊藤、角田
12.Monk's Mood(T.Monk)
・・・ソロ

ミミズのコメント

 山下洋輔のCDに匹敵するくらい、頻繁に聞いているCDです。 特に、疲れているときやめげそうな時に聞くと、まず落ち着かされ、 聞き終わったときはかなり元気になるという、どういう訳かそういう 構成なんだな。これ、安心して聞ける演奏じゃなければあり得ない ことなのは、ご承知の通り。

 タイトルに採用されてるように、セロニアス・モンクの曲が多く(計4曲 5演奏)入ってます。ああ、モンクの曲っていいよなあ、としみじみ思い ます。ピアニストの作曲ですが、モンクのバンドにはもともとサックスが 入っていることが多いせいか、管楽器によく馴染むみたいですね。

 モンクのオリジナルの演奏と何が違うかといえば、すごく優しい 渋谷毅のピアノが聞こえてくること。ライブでの渋谷さんの風情を彷彿と させるものがあって、とても心温まる感じ。

 で、モンクを3曲続けた後に、Donna Lee Four in One と 元気な感じの曲を持ってきて、いよいよ疾風怒濤の林栄一オリジナル。 この辺の持って行き方がうまいと思う。自然に林さんの世界に引き込まれていって ああ面白かった、で終わるのは全くライブそのものの感覚です。

 最近、すっかり林さんのお家芸になった観のあるノン・ブレス奏法 (ライナーを書いている悠雅彦氏はサーキュラー・ブリージングと 呼んでいます。もともとオーボエの奏法で、鼻で息を吸いながら 途切れることなく音を出し続ける奏法。)が随所で聞かれるのも良いですね。 Improvisation #1・#2 ではかなりたっぷり聞けますが、その他にも、 アドリブのそこここに現れます。それが、さあこれからやるぞという 力みがなくて、聞いている方が、あ今のノン・ブレスだ、と後で気づく くらいさりげない。良いんだよねえ。

 今私は、山下洋輔プロデュースで林さんがスタンダードばかり 吹きまくっているアルバム MONA LISA を心待ちにしているところです。 がまた私は、今更山下さんに、林栄一にはスタンダード吹く才能もあるんだ、 と力説されなくたって、このアルバムだけでも明々白々じゃないか、 とも思います。皆さんはいかが思われるでしょうか?

(1997年6月13日)

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