6月19日(木)

 昨日も山下さんのコンサートだったのだ v(^^) 。あまり知名度が 高くないようですが、山下洋輔DUO PLUSというやつです。場所は 新宿ピットイン。

 山下洋輔(p) 堀越彰(ds) 津上研太(ss、as)

 本来山下・堀越の2名がDUOの部分、PLUS(つまりゲスト)が津上さんですが、 津上さんはもう殆ど(限りなく完全に近い殆ど)レギュラーメンバーでありまして、 これは山下洋輔Newest トリオとでも呼んだ方が当たってる気がします。

 最近、デュオプラスに限らず山下さんがバンマス(バンドマスター)の場合、 まずソロピアノでコンサートを始めるのが通例になっていたのですが、 のっけから3人ぞろぞろと出てきてしまった。この辺からしてもう何かが違う。

 p・dsでスタート。何か陰謀渦巻く感じの曲調。さんざんやり合って いい加減ガチャガチャになり始めた頃合いに、津上さんが登場。これが リズム陣のやってることとは全然裏腹のもの悲しいバラード。両者まったく かみ合わない状態が2コーラス分位(ちゃんと数えられない!)続き、 saxが細かい動きを見せ始めたのにpがついて、やがて渾然一体に。 一応ピアノソロらしきものもあり、saxが戻ってきてバラードっぽい フレーズが再度現れたので終わるのかな?と思ったら....。
 音が途切れる前に、今度はpがゆっくりと和音の羅列をはじめて一挙に 全体がクールダウン。堀越さんブラシに持ち替えている。ところが続く saxのソロはかなり勢いのあるもので、pソロもそんな感じ。pとdsの 絡みが面白くなってきたところで、sax再び参入。もとのテーマ(だった のだろうか?)に戻ることなく、どうやら次の曲(???)に進んだらしい。

 こーんな状態でどんどんテーマをはしごしていき、何と延々45分間 やりっぱなし。これは凄いことになりました。
 曲後山下さんいわく、 「えー、今日は'やりたい!'ということで、突然、『ピットイン組曲'97』 というものが出来てしまいました。」
 組曲というからには、やっぱり テーマはあったんだろうけど、最後の方は何がなんだか。

 春、ソロツアーをやっている間に、全然関係ない曲を数曲、組曲風に 引き続けるという手法を開発した山下さんですが、それを応用したのかも しれません。
 たった1回聞いただけであまり確実なことは言えませんが、山下さんの フリー演奏がまた新しい局面を迎えたのかもしれない、とか思います。 旧山下トリオの場合、間がどんなにフリーになっても、最初と最後を決める テーマというか合図、は共通していて、それが曲らしさを決めていました。 (しつこいですが、この辺分からない方は、 CDリストをご参照の上「グガン」とか「ミナのセカンドテーマ」などを ご購入あれ。)ところがこの晩のやり方だと、途中モチーフを呈示して即興の ネタにはしても、曲の一貫性は問わないということになります。 よりフリー度が増す可能性を秘めているわけですね。
 10年前NYトリオ結成以来、わりにきちんと守ってきた演奏上のフォーマットを、 デュオプラスを使ってぶち壊しにかかった。そんな印象があります。 凄く面白いので、しばらく続けてみて欲しいですね。

 1部は、津上さんのファンキーな感じの曲「ミモミモ」というのをやって終わり。
 2部は「J.G.バード」「Behind Red」「Echo of Gray」「Kurdish Dance」と、 いつもの調子に戻りましたが、この3人、2年近く聞き続けてきたところでは、 かなりいい感じになってきたと思います。堀越さんのドラム、 私の耳が慣れてきたせいもあるのですが、ただの力技だけではない色々な ニュアンスが聞き取れて、これまた面白い。

 私の舌足らずな筆力ではとても書き尽くせませんが、 今、山下洋輔DUO PLUSが面白い!


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