8月18日(月)

 あーあ早いなあ。もう最終日だ。

●8/16山下洋輔NYトリオ at神奈川県民ホール

 山下洋輔(p)・Cecil McBee(b)・Pheeroan akLaff(ds)
 ゲスト:Ravi Coltrane(ts・ss)

 1部 1)4th Step 2)10th Theme 3)J.G.Bird 4)Spider
 2部 1)Double Sides 2)Double Rainbow 3)Soul Eyes 4)Kurdish Dance
 アンコール:Drum Boogie '86

 前回とはうって変わって最前列であります。後にこれが吉と出ます。

 ご覧の通り曲目は8/11と同じ。8/13-15に録音をこなしてきたせいか、なーんか それぞれの曲の印象が微妙に違うような....?
 オープニングはやはり3人です。山下さんのがむちゃくちゃ暴れて ました。顔はというと相好を弛めっぱなし。しょっぱなから相当飛ばしてます。 bが最高にスイングして、こりゃ今日は期待できるぞ。

 10th Theme は今まで山下さんがカウントをとっていたのをフェローンに交代。 でもちょっとスタートがぐちゃぐちゃしたかな? tsソロがとてもソフトでよかった記憶があります。 そのtsソロの終盤はテンポも何もない完璧フリー状態。何とも気持ちの良い 混淆状態で、あ、やっと4人の有機体の完成だあ、と思いました。
 ミミズはNYトリオの持ち味って、3人が誰にも寄りかからずに 自分の音を出しているのに、結果的にそれが一つにまとまっているという 一種の共生状態だと思っています。ラヴィが入ってももう大丈夫。

 J.G.Bird はやっぱりレコーディングしたようです。秋には発売って、 いつもよりスケジュールがタイトでないかい? 天下のVerveとポリドール だから大丈夫か....。静かな曲なので、フェローンのシンバルの音が 生きてます。あれがまた良い音なの。
 Spider はノリノリでした。最初にソロをとったp、拳固肘打ちの連続技。 あまりの凄まじさにセシルとフェローンが顔を見合わせて ニヤリと笑っていたという。ちなみにピアノはベーゼンドルファーです。 時々山下さんがエッセイで色々書いてましたっけねー。拳固で叩こうが 肘で弾こうがびくともしません。bソロがやっぱり素晴らしかったですね。 右手を使わずに左手のスライドだけの上行フレーズ、 なーんてものを見せつけられて、う、上手い! とか唸っておりました。

 2部はちょっと大変なことになったんだよなー。

 Double Sides でスタート。変拍子って妙な高揚感がありますよね。何でかな。 私の乏しい合奏経験から言うと、演奏者の側はとくにそうなんです。 ころころ変わるリズムがばしばし合うと、何やら連帯感のようなものも生まれて。
 山下さんが曲紹介で、「サイズというのは服のサイズではなくって、 サイドのサイズ」と何度言っても焦ったような言い方で説明。思うにDouble Sighs というのもありえたりして。うーんすっごいメランコリックな曲になりそう。

 事件があったのは次の Double Rainbow。tsのソロが、時折、壺の中から 蛇が出てきそうなエスニックな音色が凄く良くて、で続くピアノソロ。 またしても轟音が響き渡り始めたその刹那、プツッと....。
 一瞬何が起こったのかと思いましたが、ステージ暗転、客席半照。あれっ? ピアノの音量はちょっとだけど、ベースがかなり小さくなって? PAも 落ちちゃったのか....。思わずどっと笑い声があがり、 山下さんも笑いながらソロ続行。すかさずフェローンが太鼓の音量を抑え気味に していたのはさすがですね。
 したがって、次の Soul Eyes は完全な生音でした。こんなことは2度と あるまい! 何しろ音が柔らかい。もともと残響が長めのホールなんでしょう。 音響装置がなくてもしっかり聞こえるピアノの響き。 あのこだまするようなサックスの音色。めっけものだったなあ。

 後ろの方のお客さんはつらかったかもしれないですね。でも、 演奏者と観客の一体感が急に高まったのは確かです。

 しきりに照れるセシルをラヴィの隣に引っぱり出して、Kurdish Dance。 幸い、ピアノソロの途中で音が戻ってきました。またしても思わず客席から 拍手! この間、スタッフは裏であたふたと走り回ってたに違いないですね。 セシルがずるずると後退。ベースソロに間に合って良かった。

 盛んなアンコールの拍手。軽快なテンポの Drum Boogie。ともかくドラムに 頑張らせる短めの曲です。大拍手。

 ほっと満足のため息をついて腰を浮かしかけたところ、 ホール関係者が出てきて陳謝していたのには笑いました。 しきりに謝る営繕課長さん(だっけ?)の冷や汗の量の割には、 客は怒っていなかったようで....。「いやいやかえって良かったよ」 といいながら出口に消えていったおじさまの言葉が全てを物語っていました。


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