最近、現代音楽づいてます。(近々現代音楽じゃないクラシックも登場する予定。)
●10/14メレディス・モンク at 彩の国埼玉芸術劇場 音楽ホール
例によって、殆ど予備知識無しで乗り込みました。久しぶりの彩の国埼玉芸術劇場 であります。音楽ホールという室内楽用のホールです。 (非常によい劇場です。企画も充実しています。それに、以外と都心から近い。 機会があったら是非足を運んでみて下さい。)
今回のメレディス・モンク、彩芸ではパフォーマンス付き・ 無し両方の公演がありまして、私が行ったのは無しの方、 「メレディス・モンク・イン・コンサート」というタイトルでした。 パフォーマンスありのは「ボルケーノ・ソングス」です。これも行きたかった! 本来、パフォーマンス主体に活動している人なんです。
一人の人間が、こんなに色々な声を出せるものなのか、という驚異と
感嘆のひとときであり、一方で心地よく清涼感に満ちたひとときでもあり。
人間の声に勝る楽器は無い、という話はよく聞きますけど、まさにそれを実感。
音域はもの凄く広いです。朗々と歌うのではなく、どちらかといえば語りかけるような
雰囲気です。様々な発声法を使い分けてニュアンスを変えていきます。
それこそ、舌打ちの音からハミングまで。そうそう、口琴も使ってた。
あとホーミーとかも。
1部は無伴奏で2部はピアノ(ヌリット・ティルズ)入り。
声に寄り添うような、音数控えめのピアノですが、
メレディス・モンクの優しい声と相まって、音楽に透明感を与えます。(音は控えめでも、
実はテクニックは凄かったりします。ああ、あんなに弾けたらねえ....)
一曲だけ、ヌリット・ティルズも声で参加して2重唱を披露しました。これもなかなか。
全編、言葉というもののない、ひとえに「声」だけの演奏です。だから、
すごく抽象的な訳ですが、逆にイマジネーションをかき立てられる音楽で、ミミズ好み。
彼女の身振り手振りが目に入る分、CDで聞く時よりはもうちょっと
手がかりがありそうですけど。何か大地に根ざした音楽という感じがして、
とても親しみを感じます。
最初にやったSongs from the Hill からの2曲は、鳥になって空を旋回しつつ、
山の彼方に消えていくこだまの行方を追っていくような....それが、
急に天地が逆転、こだまの声の主=人間のいる大地に降りて来て、広がる農村風景....
なんぞという、かなり具体的な情景が浮かんできてしまいました。って、
繰り返しますが音楽中の言葉による注釈は一切ないんですけど。
曲に入る前に簡単な説明をしてくれるんだけど、
早口の英語だったのでほとんど聞き取れなかったし。
室内楽用のホールですから、小規模のオケが入っていっぱいいっぱい、 程度のステージです。が、そこに小柄な女性が一人で立って伴奏もなしに歌い出す のですから、最初は無闇やたらと広く感じました。 やがて空間と頭の中が音に満たされていくにつれ、物理的な空間の広さはまるで 気にならなくなりました。あとは、ただただ、山の頂で風に吹かれているような、 暖かい日差しの中で寝ころんでいるような、時には闇の中にじっとたたずんでいるような、 とにかく意識が解放されていく感覚を楽しむだけです。
CDを買いました。ベスト・セレクションといった構成の1枚です。
Meredith Monk/Volcano Songs (ECM NEW SERIES 1589 453 539-2)
他にも沢山出てます。このページ読んだだけじゃ音が全然想像できないと思いますので、 隔靴掻痒状態のあなたはCDでも聞いてみて下さいね(苦笑)。