11月24日(月)

●11/15 新日本フィルウェルカムガラコンサート    atすみだトリフォニーホール

 とにかく、とてつもないガラコンサートでした。まあ、見て下さいよ、 このプログラム! まる写しするだけでくたびれてしまいました。

 10月末にオープンしたすみだトリフォニーホールの会館記念公演です。 フランチャイズ契約した新日本フィルに対して「ようこそ!」という意味を込めたのが 第1部。第2部はその新日本フィルが、かねて懇意の東京交響楽団や綺羅星のような ソリストを我が家にご招待しての交歓会。で、第3部はその新日本フィルと東京交響楽団 による合同ステージ。そのような構成になっとりますが、いやはや。一体これの どこがちょっと長めのコンサートなのでしょうか? だって、5時開演で終演9時半過ぎでっせ?

 と言う訳なので、ごくごくかいつまんで感想など。

〜第1部〜
 さくらさくら の澤畑さん、客席暗転したとたんスポットを浴びてのソロで、 ざわついている観客を一気にコンサートに引きつける、という大役を見事に乗り切りました。 あと、二胡の空山鳥語。これ、多分、空を飛び交いながら鳴く鳥の声を模した曲 と思われます。雅で朗らかで素晴らしい演奏でした。
 でも、圧巻は最後の向島四季賑(むこうじましきのにぎわい)。 総勢13人の囃子方(謡・三味線・笛・小太鼓・小鼓・大鼓)と5人の芸子さんの舞い。 こんなもの、庶民のミミズは目にする機会がないじゃありませんか。面白くて面白くて。 日本舞踊の瞬間瞬間の立ち姿・ポーズの美しさ!男舞と女舞と役割分担ができてて、 着物の気付けも髪の結い方も違うんですねえ。(男舞の人は着物がお引きずりじゃないし、 髪も島田じゃなくて、もっと髷も鬢も小さいの!)

〜第2部〜
 2オーケストラの金管パート合同のファンファーレは感動的でした。そのあとは、 何しろオペラを2本見たばっかりなので(笑)、アリアには耳をそば立ててしまいました。 やっぱり「魔笛」はすぐにでも見たい!カルメン3曲の中ではハバネラ が 一番印象的だったかなあ。たった1曲の出番なのにカルメンになりきってました。
 協奏曲の中では、ダヴィド・ゲリンガス(Vc)のが一番好きでした。 チェロの音色もそうですが、大友直人の指揮が堂に入ってるなあ、と。終始、穏やかな笑みを 浮かべて、しかも、凄く演奏しやすそうな指揮だという気がしました。
 あと、ホルンの千葉馨さん。とてもご高齢の方とお見受けしましたが、朗々とした音色が 素晴らしかったです。演奏後、指揮の石丸さんとお互いを讃え合っている様子が 何か古強者同士という感じで、いい雰囲気でした。

〜第3部〜
 1曲目と3曲目は、パイプオルガンを使いたかったというのも選曲の理由じゃないかと 思うんですけどねー。違うのかな。
 それは良いとして、ステージ上、大変なことになってます。なにしろ二つのオーケストラが 同じステージ上にいて、合唱団も入るってんで。バイオリンなんぞは今にもステージから こぼれそうです。その状態で、2曲目はピアノも持ち込むんですよー。わたしゃ ステージマネージャーにブラボーの声を送りたい。
 威風堂々 は訳もなく感動できる曲ですが、こんなど派手なことされたら感動が3倍に 膨れ上がります。

 で、やっとここに来て、ようやく山下洋輔のラプソディ・イン・ブルー です!!! 待ってましたっ!!!(曲紹介の時、司会者曰く「オーケストラが二つですから、音の大きな ピアニストを呼ぼうと....」いうことで山下さんに白羽の矢、だったというのですが、 案外、本当かもしれない (^^;))
 出だしのクラリやトロンボーンは、ここまでやるか?というほどJazzyで、お、よしよし、 というスタートでした。で、ピアノ。なんだ、以外とスコア通りに弾くんだな、 とはじめは思ったのですが、そんなはずはないですね(笑)。 多分、そういう作戦なんだと思いますが、徐々に徐々に逸脱行為が甚だしくなっていって、 ピアノの完全ソロが出る辺り(小節番号を調べようと思ってスコアを探したんだけど、 み、見つからない (TT))ではすっかり山下節です。もとの小節数の優に3〜4倍はありそうなソロで、 最初はにこやかに聞いていた指揮の大友氏、その内指揮台の手すりにもたれかかって 鍵盤をのぞき込むような体制になり、その顔からいつの間にか笑みが消えていたという....。 呆れたのか恐れをなしたのか??? あ、場が保たないというのもあったかなー? 終盤、スコアを無視してオーケストラに絡んでいくところなど、実に爽快でした。 時には腰を浮かして、文字通り全身全霊で弾くピアノです。敵(?) は少なくとも120とか140人とかの楽団ですからねえ。いやー、へっへっへ。

 トリが1812年 ねえ。確かに祝典序曲だけど、よーするにあれ革命賛歌ですよねえ。 曲調は、まあフィナーレに相応しいっちゃあ相応しいのかな。少なくとも、あれだけ、 目一杯ティンパニを叩ける曲というのはあまり無いでしょう。もともと大砲の音を模しているから でかくて当たり前だけど(確か、本当に大砲ぶっ放すこともあると、聞いたような)、 何しろ今回、オケ二つ分に見合うだけの音を出して良いわけだから(笑)。

 何はともあれ、こんな壮大なガラ・コンサートは二度と経験できないに違いない。 よくもまあ、こんなものを実現したものです。何が何でも成功させなければ! という 墨田区の並々ならぬ決意を見せつけられた気も致します。


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