まだまだ先は長いけど、とりあえず7月に入ったもんね(^^)
●7/5 ミルバ タンゴ「ピアソラ」 at神奈川県民ホール
ミルバ(vo)
ダニエル・ビネッリ アルゼンチン五重奏団
ダニエル・ビネッリ(バンドネオン)、フリオ・グラーニャ(vl)、
セルヒオ・バルデラーバノ(p)、ウーゴ・サセル・アスリン(b)、
マルティン・バスケス(g)
曲目 (青字はダニエル・ビネッリ作曲、他はピアソラ作曲。*は楽団のみの演奏)
*天使の死/ブエノスアイレスで私は死ぬだろう/
*タンゲディア〜メトロポリス/
女ブエノスアイレス/遙かなる大地
/*プレリュードとカンドンベ/孤独の歳月/
ロコへのバラード/*ムムキ/ミケランジェロ'70/行こうニーナ/忘却/
*フーガと復活/チェ・タンゴ・チェ/*アディオス・ノニーノ/
3001年へのプレリュード/ブレヒトとブレルの間で
アンコール:2曲(byビネッリ)+チェ・タンゴ・チェ
多分あれは酒場のステージを模したセット。粗くニスを塗った感じの壁をしつらえて その前に楕円形の山台を置き、左右に木の扉。
ミミズがミルバと出会ったのはギドン・クレーメル(vl)の2枚目のピアソラ集 El Tango(Nonsuch 7559-79462-2)。このCDの中で彼女は2曲しか歌っていないの だけれど、その戦慄の歌声がもの凄く衝撃的で、以来すっかり、 ピアソラのボーカルと言えばミルバがスタンダードということに なってしまっている。もっとも、ミミズはまだミルバ自身のCDというものを持っていない。 たまに探してみると意外と無いんである。まあ、こういうことはミルバに限らないけど。
さて、コンサートはまず楽団の演奏でスタート。曲は天使の死 。いやあ、
出し抜けにこれだもんなあ。緊迫感のある演奏に、これは今日は終わるまで
気が抜けないぞ、と覚悟を決めたわけで(笑)。案の定、次の曲で登場したミルバが
歌うのがブエノスアイレスで私は・・・でしょ。夜更けにひとりウィスキーの
グラスを傾けながら、刻々と近寄ってくる死を見すえる孤独な女の独白。
黒のロングドレスに身を包んだミルバはまさに夜の女王という雰囲気。そして
生で聞く彼女の声は、背筋のぞっとするような、身をすくめ息をのんで
聞かずにはいられない凄みと艶があって、やっぱり恐かった。
(いや、家で前述のCDを聞いていてミルバが出てくると、必ず妹と2人で
「ミ、ミルバ、恐いよ〜」と言いながらげらげら笑ってしまうので。凄いんだもの。)
・・・と、ここまで書いた2日前、駄目もとでレコード屋に出かけ、 グッド・タイミングで念願のCD、EL TANGO - MILVA and ASTOR PIAZZOLLA (King Record KICP641) を入手。 やった!v(^^) (コンサート当日は、売り切れてたのよ。)ミルバと ピアソラの五重奏団の共演で1984年パリでのライブ録音。 今、ミルバが展開しているピアソラ公演のオリジナルということになる。
封を切るのももどかしくCDプレーヤーにかける。驚いたのは、 コンサートの時に初めて聞いた曲目が、私の中ですっかり既知の曲になっていること。 電光掲示板で見た詩の内容、ミルバの堂々たる歌い方、芝居気たっぷりの動き... が鮮明に蘇ってくる。訳詞を読まなくても私は、Balada para Un Loco が ナンセンス童謡のように狂気をはらんでいることを知っている。 Vamos Nina(行こうニーナ) のミルバは、死神と格闘しニーナを死神から引き離そうと 激しく荒々しく歌うことを知っている。
飲んでいた缶ビールの2本目が空になる頃、CDは8曲目の Che Tango Che に差し掛かった。舞台を所狭しと駆けずり回り片時もじっとしていない ミルバの躍動感溢れる歌声とか、最後に「チェ、タンゴ、チェッ!」と囁くように 締めくくる時のコケティッシュなしぐさ。もの凄く楽しかったあの時のステージを 思い出したら、つい涙が出てきてしまった。(まったく酔っぱらいは!(苦笑)) のめり込むこと、かくの如し。
実際、罪作りですよ、あーたは!>ピアソラさん?