9月23日(水)

 ミミズに気狂いが生じていた7月のあの頃...(何のことかって...まあ、 あと何回か日記をアップした暁に分かるでせう。)

●7/17 木下伸一&林英哲プロジェクト'98 at大宮市民会館

  木下伸市(三味線)、クリヤマコト(key)、土井啓輔(尺八)、
  海沼正利(prc)、川崎洋(三味線)、池田達也(b)
  ・・・プログラムには他に中浜美佐緒の名前がありますが、この方が何をやられていたか
   全く記憶にない(^^;) それから、太鼓でなるこま(鳴駒?)さんという方もいました。
  ゲスト:林英哲(太鼓)

  曲目
   1部 じょんから/さひわひへの道(木下伸市)/嫁ぐ日(木下伸市)/
      南部牛追い唄/北海盆唄
   2部 津軽即興曲/和太鼓ソロ/海流(木下伸市)/SHI-BU-KI(木下伸市)


 大好きな木下さんと英哲さんが、何故か大宮に突如出現!? ポスターを見かけて慌ててチケットを取りましたが、幸い本物でした(当たり前か。)

 1部は木下さんが日頃取り組んでいる、バンドでの演奏です。
 このグループ、今回は木下さんが中心のコンサートになってましたが、もともとは、 クリヤ・マコトさんの邦楽器と一緒に演奏をするプロジェクトなのだそう。
 もっとも、木下さん自身も長いこと、こういうロック調の三味線に取り組んできた訳です。 子供の頃、三味線が大好きだったのに恥ずかしくて友達に言えなかった、という体験から、 多くの人に民謡の格好良さを知ってもらえるよう、こういう形の演奏を続けている。 これ、MCの時の木下さんの弁。いやいや、民謡に限らず、日本の伝統芸能を 馬鹿にしちゃいかんですよ。ミミズもジャズを聞くようになって初めて、 邦楽の人たちの底力の凄さを思い知ったクチですが。
 この日のバンド演奏、じょんから とか北海盆唄とか、威勢の良い 曲調に8ビートがぴったり重なってきて面白かったです。クリヤさんの出番に なると、なんかピアノがJazz になっちゃたりして(笑)。それでも、違和感ないんだから、 何がどうなってるんだか? それから、嫁ぐ日 は、静かなイントロの部分に小鼓が使われていて、 これもなかなか。

 とはいえ、内心「英哲さん早く出てこ〜い」などと叫んでいたりもして(^^;)

 さて2部は、嬉しいことに木下さんと英哲さんの一騎打ちでした。 まず、木下さんの即興によるソロでスタートです。 調弦をしながら少しずつ曲に入っていく独特のオープニング。あれよあれよと言う間に どんどん勢いを増し、これでもか!の激しいバチさばき。 周りに共演者がいっぱいいるより、余程凄みがあるというものです。 まったく、お客さんの啓蒙活動なんかしなくても、十分に格好良いって!

 そして、いよいよ林英哲の登場です。場内一際大きな拍手、「待ってました!」の声も かかります。(この日、お客さんは6分の入りでしたが、さすがにこの人のことは 皆さんご存じだったようで。)
 で...いやあまったく...何度聞いても惚れ惚れしますねえ、この人の太鼓! 騙されたと思って一度聞いて欲しいものです。あまりの大音響に、 場内の扉だの機器だのがビリビリ鳴ってしまうんですが (あれを無くそうと思ったら野外でやるしかないんでしょうけど)、 すぐに気にならなくなります、何しろ演奏が凄いから。 文字通り息をのまずにはいられません。演奏後深呼吸して初めて、 息を殺しっぱなしだった自分に気付くという。

 続く、木下&林の2曲も素晴らしかったです。あんな華奢な楽器一本で、 あの巨大な英哲さんの太鼓のセットに対抗できるというのは 実に不思議な話しなんですが、これが全然負けてないというか。
 むしろ、これを戦いに例えるのが間違いで、これは2人が共同で作り上げる 完璧な音楽作品と言うべきでしょう。相手の見せ場から自分の見せ場に移るときの 鮮やかな対照、自分の出番での華麗な演奏もさることながら、相手が頑張っているときの さりげないサポートが、まさに職人芸。
 厳しくも暖かくでもやっぱり凄まじい2人の姿に、感動しない人がいるでしょうか?

 とにかく三味線と太鼓だけという、余計なものが一切入らず 両者の技をたっぷり堪能できる、素晴らしいステージでした。 英哲さんも含め全員集合の場面をプログラムに入れたいという誘惑も あったでしょうに、よくぞ我慢してくれました、と言うべきかもしれません。 (ああ、それにしても、お客さんがあんなに少ないなんて! ううう、勿体ない(TT))


人に見せる日記 目次
ホームページ
製作者=水のなおみ
All Right Reserved by Naomi Mizuno.