ぬ、ぬ、ぬ〜。これも長くなりそうなネタじゃのう。
8/20 前田祐希CD「JAZZ AGE」発売記念Vol.2 at新宿PIT INN
前田祐希(vo)
志津、黒田京子、フェビアン・レザ・パネ、大口純一郎、山下洋輔(以上p)
ライブのVol.1はミミズは行きませんでしたけど、6/5に 佐藤允彦・板橋文夫・大口純一郎・南博というピアノの面々を迎えて、 相当盛り上がったらしいです。何と、打ち上げの宴会が 夜中の3時まで続いたそう。
JAZZ AGE に関しては、 紹介ページがありますので ご参照下さい。ライブのVol.1・2 には参加していないピアニストを更に4人加えて、 総勢12人のピアニストと共にガーシュインを歌いまくったCD2枚組みです。
で、Vol.2です。このような構成になってまして、
一部:志津−黒田京子−パネ−大口純一郎 /2部:黒田京子−志津−パネ−山下洋輔
まあ、盛り沢山だったこと!全部書いてると、またまた日記が2部作になっちゃうので
端折りますけど、それぞれのピアニストのガーシュイン及び前田祐希の料理の仕方、
というのが本当に各人各様です。別に対抗意識燃やしてる訳じゃあるまいに、ね。
(いや、そういう面もあるのだろうか?)
とにかく、CDだけ聞いているとこれほどとは想像がつかない賑々しさ。
多分、志津さんとやったのが一番普段の前田さんに近いんでしょう。
そりゃ何と言っても姉妹ですし、誰よりも長く組んでいるピアニスト。出てきた音は
ストレートな素のままの、「歌曲」という感じのガーシュイン。Of Thee I Sing が
歌い込んでる感じで良かった。
曲の合間、気安さが出たのか、ニューヨークで前田さんが事件にあった時の
エピソードを話して、「地球最後の日には貴女(=志津さん)と一緒にいたくない」
なんていう発言が飛び出してましたが(苦笑)。...何もそこまで言わんでも(^^;;
最も異彩を放って(本人もそれを自覚して)たのが黒田さん。口笛は吹くは
アコーディオンに玩具ピアノと鳴り物入り、彼女らしい仕掛けがいっぱいです。
CDにはない、2人の掛け合いが多かったですね。I Found A Four Leaf Clover では
黒田「何を見つけたの?」 前田「四つ葉のクローバーを見つけたの」 黒田「その次は?」
前田「あなたに会ったわ!」(全部英語です)という会話を挿入したり、そうそう、
この曲はCDに無いんだけどThe Babbitt And the Bromide は楽しかったですね。
曲の後ろの方に似たメロディが出てくるのを拡大解釈して、2人で「オ・ブレネリ」を
大合唱してしまうというもの。
あと、これもCDにはないIt Ain't Necessarily So 、
前田さんは100曲ものガーシュインのレパートリーがありながら、こういう頽廃的な曲は
歌ってないそうで、是非やらせてみたかったと黒田さん。これ良かったと思います。
いっそ、クラシック的歌唱法をかなぐり捨てたほうが面白い、と思う場面はこの時を始め
何回かありました。
パネさんは、冒頭にソロでPreludes for Piano をやってこれもこの人らしい アレンジが素晴らしかった。ピアノのメロディに自分の声を重ねて、 「そう来たか!」と前田さんの度肝を抜いたりしてましたが、 何と言っても本領発揮はSummer Time 。凪いだ海の夕日にきらきら輝く 水面という風情。この人にこの曲はあまりにはまり過ぎです。
前田さんが「まったく違う世界に連れていってくれる」と紹介した、大口純一郎さん。 CDの方も午前中に収録したとは思えない出来だとか。歌い手をさりげなく リードしてくれるピアノ、なんでしょうか。 Nice Work If You Can Get It が結構乗ってる感じで良かった。次の I've Got A Crush on You はメローでスローな曲でしたが、 ボーカルの調子が出てないみたいで、もうちょっと...。
大トリで山下さん登場。まずソロでEmbraceable You 。NYトリオで録音も
してますがああいう穏やかなことにはならず、一曲入魂が行きすぎて少々凶暴に(笑)。
そもそも前田さんが志津さん以外の人とガーシュインをやったのは、山下さんが最初
なのだそうです。カザルスホールでのリサイタルだったそうですが、
その時の印象を語って山下さん「帰国子女の大胆さを感じた」って???
前田さん応じて「やっぱり私って常識がないのかしら」!?
一緒にやったのはCD収録曲He Loves and She Loves 、The Man I Love 。
このピアノがもうね(^^) 歌を引き立てるように、さりげなく流れるパッセージが
紛れもなく山下節のエッセンス、間奏部分になると「これがジャズというものじゃ、
これが俺のピアノじゃ!」と言わんばかりの、でもあくまで歌の間奏だから抑えめのソロ。
これが聞けただけで、この夜は出かけていった甲斐があると言うものです。
アンコールは、「山下さんがソロでやって下さったEmbraceable You を ア・カペラで」。確かに大胆かもしれない(^^;)
前田さんが引っ込んだ所で、突如黒田さんがステージに上がり「祐希さんに捧げて
みんなでI Got Rythm をやりたいと思います!」と、どんどん出演者を
呼び上げ始めました。「曲が分からない!」と悲鳴を上げるパネさん(爆笑。
始まったら分かったみたいです)。もちろん前田さん自身も交えて、大セッション大会になりました。
黒田さんが使ってた玩具ピアノもこの際動員して!黒田さん自身はアコーディオンです。
大口さん、山下さんが連弾、なんてのもあったな(笑)。志津さんはボーカルでも参加。
粋な計らいで、本当に楽しいエンディングでした。
しっかし、これだけのピアニストが集まってくるというのは、ガーシュインの魔力と 前田祐希の魅力、なんだろうなー。この晩だけではその辺の秘密が今一つ解明されず、 まだまだ修行が足りないミミズでございます。