12月28日(月)

 今年も残すところあと数日。いや早いこと。それ師走じゃ急げ急げ。

10/20 シンシナティ・ポップス・オーケストラ at Bunkamura オーチャードホール
  指揮:エリック・カンゼル  ピアノ・ソリスト:山下洋輔

 開演間近に着席してまず不審に思ったのが、ステージの目の前の客席ががら空きなこと。 まったく空席な訳じゃないけど、前から3列、殆ど客がいない。どーゆーチケットの 売り方してるんじゃ! が開演してすぐに、やっぱ最前列は避けて正解だと確信。

 とにかくど派手できらびやかなのだ!

 え? 別に楽団員がいきなり全員立ち上がって踊りだしたり、 紙吹雪やスモークが舞い飛ぶということじゃないですよ。(まあ、オーケストラは 全員赤いジャケットを来てるし、舞台後方には巨大ネオンサイン、照明もカラーの ライトがばしばしで、十分派手だけど。)そうじゃなくて、音が。
 「音がアメリカしてる」、殆ど唖然としてそう思いましたね。音が金ラメ銀ラメで 着飾って星条旗かかげつつ、スーパーマンよろしく客席めがけて飛んでくるのだ。
 えーと、1部の曲目は、渓谷を行く とかウェスト・サイド・ストリート・ メドレー (メドレーの締めくくりがアメリカ と来たもんだ)等々。 めくるめくゴージャスな(本当に音量も凄くて、残響の長いホール中を飛び交っている) 演奏に、ほとんど目眩が。

 そこで思い至ったのが、うっかりしてた!そうだこれポップス・オーケストラ だった、ということ。小難しいごたくは抜きにしてエンターテイメント最優先。 目指すは、お客さんを気持ちよ〜く夢見心地に、もしくは興奮させる音。 まず、一枚岩の圧倒的迫力。でもって小気味の良いテンポ。 お馴染みの美しいメロディをこれでもか!と言うほど朗々と響かせるアレンジ。 フォルテの音の出し方ひとつとっても、いきなり頭からガツンといかず、 ぶわぁんと、上下にうねるジェットコースターに乗ってて腰が一瞬浮くようなことをやる。 間違いなくハイ・レベルな数十人の団員が、一丸となって徹底的に こういうことをやるんだから。これは凄い。

 2部、いよいよガーシュイン特集。

 パリのアメリカ人 が良かった。やっぱりガーシュインってのは大変な 作曲家だったのだなあ、と。いや、けなす訳じゃないけど1部のミュージカル・メドレー 聞いたあとで、このコミカルで仕掛けのいっぱいある曲を聞くと、いやお見事。 ガーシュインがオーケストレーションに苦手意識持ってたなんて、とても信じられない。 次から次へと、リズムがハーモニーが曲想が変わっていく手並みの鮮やかさ、面白さ。 うーん、わたしゃentertainされるなら、こういうやり方の方が好きだなあ。

 さて次が本日のお目当てRhapsody in Blue だっ。と思ったら、何と指揮台を 降りたエリック・カンゼルが自らピアノの蓋を開けて準備してるじゃあありませんか。 こういう、肩の凝らないステージ・マナーはさすが。

 オーケストラがこってりしてます。クラシックのオケとはひと味違います。 音という音が分厚く聞こえて、基本的には情緒よりもパワーなんですが。 途中、ワウワウ・ミュート付けたトロンボーンの演奏に、思わず山下さんがニヤリと したのを目撃しました(余裕ですねえ)。そういうところが何か違う。
 さすがの山下さんもちょっと勝手が違うのでは?と、オープニングちょっと (テンポが合わなかったりして)はらはらしたのも束の間。 あれよあれよと言う間にいつもの、いやいつも以上の山下節、パワーで押してくるのに パワー以上のもので反撃するというんですか。サポーターは大いに溜飲を下げました(笑)。 聞いている団員の反応は、面白がる者あり完全無視を決めこむ者あり。
 最後、またまたテンポが合わずひやりとしましたが...。ああいう時の作法が ミミズ、よく解らない。ソリスト優先なのか、ソリストと言えども指揮者に従わなきゃ いけないのか。場合(曲のつくりとか)にもよるのでしょうけど、ね。 ま、どうにか切り抜けて大団円に持ち込んだようで、ほっ。

 アメリカ というものを音でもって見せつけられ、 あてられっぱなしの一夜だったけど、 何はともあれ山下さんの満面の笑みが嬉しかった、な。と。


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