さあ、1998年も今日でお終い!せめて、10月の分だけでも 終わらせるのだ。
10/22 菊地成孔トリオ at 新宿PIT INN
菊地成孔(ss,ts)、南博(p)、水谷浩章(b)
早坂紗知さんのBLACK OUT のお陰もあって、昨今、気になる
サックス奏者としてぐーんと株を上げていた菊地さん。(ミミズとしてはね。)
ようやっと謎の高熱・長期入院から解放されて、復帰!
実は病み上がりでへろへろ状態なのを、かなりきばって一晩もたせてた
感じでしたが、音がゆるがないし、太く妙な艶のある音色もそのままでした。
菊地さんの演奏ってのは、ほんと当たり前に終わらない。スタンダードやっても、
終始しっとりと良い感じに演奏してたと思ったら、
最後の最後にブオォーーグオォーーグエェーー、と凄まじい雄叫びをかまして
いままでの雰囲気をぶち壊しにして終わったり。
My Funny Valentine なんて、愛情に満ちあふれてそれは素敵な演奏だったのに、
その後のMCで、「えーこの曲は、バレンタイン君という彼氏を持った女の子の唄ですね。
バレンタイン君はすっごい醜男で、写真うつりもすっごく悪いんだけどぉ...」だもんね。
(信じないように!苦笑)
「あなたの悪夢に!」と言って始まったRuby My Dear は、前代未聞の乱暴きわまりない
演奏で、tsも凄かったけどbも相当破壊されてましたね。
オリジナルがこれまた...表現できない(^^;) 色々と含みがあるみたいなんだけど、
どこまで本当なのか分からないのよね〜。
1部でやった、ルペス・ペレの葬儀。その心は身の程知らずな幸福っつうことらしいんだけど、
マイケル・ナイマン風のストリングスがバックにあっても面白かろうという、
pの重々しい刻みが印象的な曲。
それから、2部でやったI'm A Lady, Automatic and Free (どーゆう意味だあ?)。
ssを使ってたのだけど、うーん、こりゃまた重くて深い自由だなあ...と思ったら、
一呼吸おいて始まったメロディはえらく軽快で洒脱。前半・後半でautomatic/free
なんだろうか?分かんないなあ。終わってから一言。
「南さんもautomatic and free なピアニストですね。」分かんな〜い!。
やめた。菊地さんの言葉はマジに受け取って考え出すと脳味噌が破壊されそうだから (笑)
ただ、曲間、椅子に座り込んで息を整えながら、ぺらぺらぺらぺら・・・凄い勢いで 喋っていた中でも、闘病生活のことは真に迫ってました。お医者さんや看護婦さんへの 感謝の言葉。「あれ、本当に聖職。人を助けるために学校に行って、 人を助けるために勉強して、人を助ける職業に就く、これは大変なこと!」とか、 入院中にもらったお見舞いの手紙をお守りのように持ち歩いていて、「僕が友だちに 助けられるとは思わなかった」、なんてこととか。(最初に手紙をくれたのが、他ならぬ 南博さんだったそうです。アンコールに入る前に、南さんがBGMで弾いてた Left Alone は凄く美しかったな。菊地さんが照れちゃって、おかしかった。)
演奏もMCも感謝の気持ちに満ちて、で、楽屋に消える瞬間に聞こえた「疲れた〜っ!」 という叫び声にも、歓びや充実感が込められている気がして。 本当に良かったねー、と心から嬉しかった、感動の夜でした。