えーもー勢いに任せて書いちゃうのです。(^^;)
と言うわけでYJP、お楽しみはこれからよ、のメインイベント。黒田京子率いる
オルトペラ・アンサンブルの音楽劇なのですが、これがいっかな始まりそうにない。
いったん外に出て、港の見える丘公園で猫と戯れてみたりします。いい天気で公園の
中はアベックだらけ。悪いけどこっちだって夫婦連れだい!(対抗してどうする...)
〜クルト・ワイル生誕100周年記念〜
オルトペラ・アンサンブル「音楽劇 〜 クルト・ワイルの道」
志賀廣太郎(役者,vo)、高橋伸(役者,vo,tb)、森都のり(役者,vo,as)、
酒井俊(vo,役者)、前田祐希(vo)、太田恵資(vl,vo)、深堀瑞穂(tb,vo)、
高良久美子(key,p,vo)、shezoo(key,p,vo)、黒田京子(p,vo,台本,arr)
本職の役者さん3人、歌い手2人、楽器がメインの人5人の総勢10名。 但し、誰も自分の専門の仕事をやっただけでは許してもらえない(笑)。 実際には役者さんたちはかなり歌わなくてはならず、楽器の人たちも 演技は無くとも語りで参加しなくちゃなりません。 出演者にはなかなか挑戦のしがいのある出し物かもしれません。
クルト・ワイルの生涯と音楽の変遷、その背景となる社会状況を、実際に彼の音楽を
聞かせながら辿っていく、という筋立て。
ブレヒトと彼に影響を与えた人々との会話、もしくはブレヒト自身の自問自答
(2人のブレヒトの会話)を中心に、状況を説明するナレーション、
音楽に乗せて全員で交互に読み上げる年代記。
まるで言葉自体がが舞台空間を踊りまわっているかのよう。
そして演奏、圧巻の全23曲!
ナチが台頭するまでのドイツ時代を描いた第1幕、
フランスを経由してアメリカに永住し2度と祖国の土を踏まずに死を迎える第2幕。
構成は実に複雑で、それでいてきちんと整理され観客を置き去りにすることはなく。
すごい台本。そしてやりとげた出演者もエライ。
ここに至るまでの奮闘の有様は、是非、黒田さん自身の日記を読んで下さい。
(ここからどうぞ。)
よく倒れなかったものだと感心します。
敢えて重箱の隅をつついて注文を出すとすれば、もっと照明に凝れば
さらに多角的に面白いかもしれない、くらい。狭い所に10人ものっかているせいも
ありますが、装備ばかりが目についてお芝居の仕掛けに集中しにくい、
という面は否めないと思う。その辺をうまくカモフラージュするのに、ライティングの
使い方があるかも...。あいや、素人の戯れ言です、捨て置いて下さい(^^;) 。
うーん、あと、ワイルのロッテ・レーニャに対する思い、も、もうちょっと
掘り下げて欲しかったかも。結構、あの台本だとレーニャの存在って
大きいと思うんですよね。仕事に没頭すると、妻としてのレーニャの存在を忘れてしまう
ドイツ時代のエピソード。あの状態は晩年まで続いたのか。
愛情はあったのか無かったのか、仕事上のパートナーとして対等だったのか、
レーニャが批判された時に具体的な行動を起こしたのか、etc.etc. 結構気になったりして。
いえ、これだと誤解を招きそうですが、これらのものはすべて23曲も演奏される 音楽の合間に挿入されるエピソードな訳で、メインはとにかく歌なのです。 歌は全員が歌いますが、森都・酒井・前田の3方が中心。 (高橋さんも相当インパクトありです。)この3人が、歌というものがこんなに人によって違うものか という程、全然違う歌い方をする人たちなのです。森都さんは目も口ほどにものを言う 表情豊かな力強い歌い方で圧倒されます。海賊ジェニーの歌 の凄み方には度肝を抜かれました。 前田さんは、ドイツ時代の曲に特に共感を覚えました。 伸びやかな声で情感を込めて歌曲風の歌い上げ方は、やはり前田さんならでは、です。
そして、俊さん。あの存在感!観客全員の魂をぎゅーっとつかんで
持っていってしまう求心力!ああもう、September Song の素晴らしかったこと。
せつせつと強く胸に響く、全身総震いしそうな熱唱。間違いなくあの時、観客の誰一人として
俊さんから目をそらせなかったと思う。ここのところライブでもよくこの曲を取り上げていましたが、
こんなのは初めて。この1曲を聞いただけでも、横浜に出かけていった甲斐があるというものです。
こういう時、同じ歌い手はどんな気持ちで聞いているんだろうなあ、と思わず
前田さんの方を見てしまったら、お客さんと一緒に抜群の笑顔で拍手をしていましたっけ。
これらの歌を盛り上げる楽器側の仕掛け、音の選択、タイミング。台詞と演技。これらが
間断無くテンポ良く重厚に絡んで、実に濃厚な濃密な世界を繰り広げていたのです。
最前列でそれらをつぶさに見ていたミミズ。幸せの極致。
それはきっと、他のお客さんたちだって同じだったはず。
はずだと思うけど、なーんであんなにカチコチになって席に座ってるのかなあ?ふむ。
ミミズはあれ、出来ないのよねー。楽しいと頭が感じる以前に自然に身体が動いてしまう。
にへら笑いがわき出てしまう。
そんなに無理して硬くなってることないんだって!客席がのってれば向こうだって触発されて
のってくるだろうし、そうすればこっちはもっと楽しいんだし。
そうやってこっちと向こうで盛り上げてく共同作業が、ステージってものだと思うんだけど。
お芝居でもスポーツ観戦でもそうでしょう?
ま、とにかく。
大満足の笑顔を引っさげて中華街へと下り、雑貨屋を冷やかしカジュアルな中華料理屋で
美味しい夕食を食べ、お土産に中華菓子なんかも買って...。濃い〜横浜の1日は
更けていったのでした。