春たけなわの日曜日。ゆっくりめに起きて花見がてら近くのレストランで ブランチと洒落こむ。道々、桜もきれいだけど色んな草木も芽吹いたり 花を付けたり。タンポポ、イヌノフグリ、スミレ、ペンペングサ、レンギョウ、 ドウダンツツジ...。上を見たり下をみたり花をめでつつ1kmほど歩く。
レストランの一角にピアノが置いてあるので聞けば、夜は生演奏があるとか。
−−へー、じゃあ今度は夜に来なくちゃね。
−−そーだなあ、何やるのかね。クラシック?
−−ムード音楽とか?
腹一杯食べて、ご近所随一の花見ポイントへ。ここは20品種もの桜が
植えられてるとかで、木々の個性が面白い。ソメイヨシノの薄紅に対抗するような
純白のものやら緋色のものやら。色合い、花びらの形、花の付き方、
葉っぱが出てくるタイミング。みーんな違う。
3割くらい散ってしまった桜の園は、それでも花見客(...団子客?)でごったがえし、
出店は出るはお囃子は出るはの大賑わい。その大喧噪と花霞を遠巻きにして
林の中の若草に腰を下ろす。
−−空気がうまい!
−−葉っぱが出てきたから光合成が始まってるんだよ。
実際、風は緑の匂いがして、遠くの桜の木から花びらを運んでくる。
−−ほら!ピンクのグラデーションが凄くきれい!
−−これ、形がいいよ。
−−わあ、ほんとだ。
−−日差しが強くて暑いくらいだ。Tシャツで丁度いいよ。
−−ねえ、ビール!絶対ビールが美味しい!
−−(苦笑)じゃあ、帰りに買っていこうか。
公園の外は花見客で大渋滞。をしり目に、ビールとつまみも買っておうちに帰る。
帰り道も桜並木だ。平行して走っている街道の車はまったく進まない。
自転車も公園めざしてぶんぶん走っていく。みんな花見だ。
その人の波と逆方向に、ビールを提げて帰る。
うららかに日が射すベランダに丸テーブルを持ち出して、風に吹かれながら
ビールを飲む。見渡す限りの家並みのあちこちに割って入るように、
薄緑色をまとい始めた木々や桜の残り花が列をなしたりかたまりになったりしている。
渋滞に巻き込まれた人たちが実に気の毒だ。
−−わーい、花見だ花見。
500ml缶2本、夫は100ml程飲んであとはぜーんぶ妻が飲んでしまった(^^;)
青空を一直線に白い飛行機が行く。見事な二筋のひこうき雲。
−−うひゃあ、極楽極楽!
すっかり出来上がってしまった妻は、気持ちよく畳の上にバタンキュー。 こういうのを「お大名気分」と言うんでしょうか?ああ幸せ...。そのまま前後不覚...。
ちょっとティーブレイクして、しばらく二人とも自分の世界に入る。
妻はPCの前に直行。夫の腹時計が気になってようやく台所に立ったのが
8時過ぎ。(おいおい。)
とにかく夕飯だけは作る。なるべく作る。挫折することも多いけど(苦笑)。
作ると言うと、へー偉いねえ、と言ってくれる人がいるけど、ちっともえらかないのだ。
何となれば、ここんちの妻は食事作る以外は一切家事をやらないから(!)。
さっき、突然夫が掃除を始めたのも、妻がかーかー寝てる間に
洗濯もの干してくれたのも、何も今はじまったことじゃあない。
寝ている私の横にやってきて、いきなりキス攻めにされたのは、
多分、ボク頑張ったんだぞ、という自己主張だったに違いない(笑)。
残りご飯で炒飯を作る。レタスの千切りも入れてシャキシャキに仕上げよう。 この間アサリの酒蒸し作ったときのおつゆを取ってあるからスープにして、 それから...それから...。 夫はケチャップご飯が好きなのだが、私は絶対に醤油味!やつが酸っぱいものが 嫌いなのを承知で長芋とワカメの酢の物も作ってしまう。
炒飯はパラリと上手に出来てた(自画自賛)。
食欲があまり無い妻のかわりに、夫がぜーんぶ平らげてうそぶく。
−−いやあきれいに無くなったねえ、誰がこんなに食べたんだ?
少々腹の出具合が気になるけど、これだけきれいに食べてくれると
冥利に尽きるというもの。
かくして、幸せな日曜の夜は更けていく...。
うちの奥さんは少食だけど喰い道楽。旦那さんは大食漢だけど味には疎い。
奥さんは酒飲みだけど旦那は下戸。ついでに言うと、奥さんはえらい寒がりで
旦那はえらい暑がりだ。それでも夫婦生活に支障はないらしい。
−−だよね?