4月22日(月)

「本当にねえ、もう」というのはこないだ昇進して部下から同僚になった M沢さんの口癖だけど(内輪受け・笑)、 本当に、よりによってカザルスホールが売却されちゃうなんて、 そういうことで良いのでしょうか。もう。

●4/7山下洋輔ソロ・コンサート
 The LAST Concert at CASALS at カザルスホール

さしものいつもはのんびりのジャズファンも今回は焦ったらしく、 いつも通りんびりしていたミミズは出遅れてしまった。 つまり、優先予約しそこなって(電話したらもう優先枠完売)、 で、一般発売日は発売開始時間からぴあだの音協だの電話したけど売り切れで、 JamRiceさんに「かなり後ろの席しかありませんよ?」と念を押されつつ ゲットしたチケットは案の定一番後ろだった...。取れただけラッキーだったんだろう。

そんな次第で迎えた4月7日、今年のカザルスホール「山下洋輔ソロコンサート」は、 「うんうん、カザルスはこうでなくっちゃ」という曲目と演奏で、 嬉しくもあり感慨深くもあり。おなじみの曲目で全体を構成しつつ、最新の オリジナル曲を織り交ぜてというやり方ですね。
スタートは、そうRound' Midnight 。それからBlue Monk 。 おぉ立て続けに久々のT.Monkだぁ。 しかもテンション高い(笑)。足のバタバタ音が最後列までしっかり聞こえてくるのは やっぱり響きの良いこのホールならではかしらん。

で、オリジナル曲のInterlude 。これがもう最初っから最後までおそろしく早い パッセージの連続技!白熱というか気合いの凄さに呆気。続いて、一昨年のお正月に 東京オペラシティで初演のコンチェルトから第2楽章。この曲を書くに当たり山下さんは 「静かな肘打ち」を開発(笑)。冒頭部、左肘でジョォォォンとならした不協和音を サステインしておいて、高音をカリラコリラと乗せていくのです。
間合いがものをいう曲で、熱血ピアニストをやっているように見えて、 実は山下さんの頭の中はとってもクリアなことを窺い知った曲。 最後の音を長く長く響かせるエンディングでは、 聴衆一同、余韻に浸りきりました。ああ、この余韻もカザルスならではだなあ。

1部最後は仙波山 。近々札幌でやるということで「オケ・バージョンを意識して」 やります、との前振り通り、A−B−A形式に仕立ててるのかな? 静かで美しいメロディを挿入した、やや趣の違う仙波山だった。

2部は、お、やったNight in Tunigia 。好きなんだなぁこれが。もうノリノリだぜい。 If You could See Me Now 。うって変わってえらいロマンティック。 一音一音とれば不協和音だらけなんだけど、何でこんなに美しいんだろう。 山下さんのバラードはいつも不思議。
そして次もお馴染みの砂山 なんだけど、 今年初めにやはり東京オペラシティで演奏したときに、 歌詞通りに曲を展開するというやり方をしたようで、その再現。 何かキラキラと輝くようだったり、怒濤のようにうねくるようだったり。 山下さんは海だ、と言ったのは太鼓の林英哲さんだったなあ、などと思う。

それから、わあこれも久しぶり!のEcho of Gray 。フーガ風のそりゃ綺麗な曲。 そう言えば発売直後のカザルスホール・コンサートで、 耳をすますキャンバス 特集やったっけなあ。あれは素敵だった。 (残念ながらこのホームページを立ち上げる前の話で、レポートが無い。)

そして最後は当然、Bolero 。弾き始める前に山下さんは、来年以降も場所を探して 必ず恒例のソロコンサートを続けます、と宣言。来年は6月になりそうだとのこと。 PAなしの生ピアノで、大音響のBolero がさらにパワーアップして響きわたるホール、 本当に是非ぜひ、探して欲しいもので。

アンコールはこれまたいつもの通り、チェリスト、パブロ・カザルスにちなんだ 鳥の歌 。これこそまさにこのホールならではのアンコール曲で、 山下さんの指がこの感情をどう表したら良いか分からない!と言っているように 聞こえた。こちらも思わずおセンチになって、目にじわりと来るものが...。

1曲1曲ごとの観客の拍手が特別に熱く感じられて、1曲1曲終わるごとに あと何曲? 何曲で終わっちゃうの?と気になって...。 どうかこの空間が今後も有効活用されますように、と祈らずにはいられない 文字通り貴重なコンサートでした。

カザルスホールの行方

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