かなり(←いまどきの娘のように尻上がりで読もう)お久しぶりのライブレポートです。 久しぶりなので、どえりゃー騒ぎだったこないだのこれ!
●8/26 坂田明・ビルラズウェル at 新宿PIT INN
坂田明(as)、ビル・ラズウェル(b)、村上ポンタ秀一(ds)、仙波清彦(prc)
このメンツを見て、最近とみに出不精になっているミミズも珍しく少〜し食指が 動いていたのでしたが、古い友人からお声がかかったので、んじゃあ行ってみるかあ、と。
行ってびっくり玉手箱。そりゃアタシだって、ふらっと当日に行って座れるとは 思ってませんよ。でもさあ、まさか当日券が手にはいるかどうか分からない!ほどの 大盛況だとは思っても見なかった。ご存じとは思いますが、 新宿ピットインは地下1階にありますね。で地下1階のホールは待ち人ですし詰め。 1階への階段も人でぎゅうぎゅう。1階の階段周りも人がとぐろ。それでも 押し寄せる客が文字通り表の道に溢れるという...。ジャズライブ歴の短いミミズゆえ、 こんな経験は初めてです。 紀ノ国屋裏の旧ピットインの頃は、きっとこんなことがしょっちゅうあったんだろうなあ。
新ピってところは、椅子席が100席、それに立ち見を加えること50人、ってのが 通常のキャパシティだと思うんだけど、後でお店のスタッフに聞いたらあなたヾ(^^) 250位は詰め込んでたって。そんなところへ一番最後の方に入場したんで、ハイ、 メモがありません。メモとれる訳がない。つま先立つと何とか坂田さんのハゲ頭が見え、 そのまま右にずれればビル・ラズウェルの髭面、左にずれれば仙波さんののんびりした顔、 ポンタはどこだ?ああ、シンバルが光ってるあの辺りだな、みたいな。
曲は、1曲約40分の2本勝負。以上お終い、MCなし。どうやら坂田さんの
オリジナルをベースに組曲風に構成したと思しく、想像ですが、その辺のプロデュースに
ビル・ラズウェルが深く関わってるんであろうか、と。
入場する前、ステージの搬入口脇に積み上げられてチカチカ点滅してるマシンの山と
コードの束を見て、こりゃどんな音が出て来るんだろうと思ってたのですが。
ビル・ラズウェルって、私、コンピュータ・ミュージックの人っていう
イメージがあったから。
どういう音作りの賜物なのか、実にナチュラルで身体の中心にずしーんと響くような、
適度に体液が波立つような、実に気持ちよく面白い音楽でした。ビル・ラズウェルが
持ってるベースから時折機械臭い音が出ることもあるんですが、基本的には
骨太なビート感のあるベースに徹してました。どちらかというとポンタ&仙波さんの
アコースティックなリズム・音色と坂田さんのちょっと脳天に響く、でも
のびのび、ほよよーんとした音が基調になってて。
それよりも何よりも、4人が4人とも本当に楽しそうなんだもの。
駆け引きとかつばぜり合いとかなしに、各々がやりたいことやったら
こうなっちゃいました、的なハチャメチャさ。でもそれがガチャガチャした騒音状態に
ならない不思議さ。音を取り巻くアジア的な匂いに心安さも感じたり。
(ちなみに坂田さんはピアノも弾いたのだった−−叩いたんじゃなくて。)
1部終了後あまりの面白さに、隣の見知らぬ白人さんと「けけけけ...」「ぎゃははは...」
思わず大笑い。人口密度もさることながら、あの濃度の濃い音に脳味噌がどうかして
しまったとしか思えません!
(外人さん、多かったなー。ノリが無茶苦茶いい人、野次る人、
誰よりも長身の癖に立ち見の1番前に陣取っちゃう困った人...(^^;) )
最後、ビル・ラズウェル方面で機械のトラブルがあった模様で、アンコールはなし。
2曲の演奏の間、4人とも、客席の騒然とした有様には殆ど目もくれてないようでした。
このメンバーで音・時間を共有出来る方がよーっぽど重要なことだ、と言わんばかりに。
ちょっとはこっちも見てよっ、なんて、アイドル歌手の追っかけみたいなこと言いませんよ(笑)。
ミュージシャンがお客さん無視状態で音楽に没頭してる時ってのは、
客は客でただならぬ経験ができるもんです。それを心底実感した2時間半でした。
まあだから、同じメンバーでまた聞きたいと思う反面、あれが聞ければもう満足!
てな気持ちでもあったりして...複雑な気分の一聴衆であります。