●1/30 一期一会meets山下洋輔 @新宿PitInn

  竹中直(ts,bcl)、小山彰太(ds)  ゲスト:山下洋輔(p)

1部:Date Stamp/円周率/駱駝の船/バカハヤ狂想曲
2部:はにやんの新居物語/直さん作のブルース/My One and Only Love/増減
アンコール:Bemsha Swing

 本当は是安則克(b)さんも一期一会のメンバーですが、病欠でした。 したがって、1曲演奏してからおもむろにゲストの山下さんを呼び入れる 段取りは急遽変更、はなっから山下さんが加わっての演奏となりました。 ははあ、これ、山下さん得意のベースレスのピアノトリオではないですか。

 さて、Date Stamp(日付印)ですが、この日が1月30日だったので キーはCで30拍子でした。って、どういうことかわかるかな? ピアノの鍵盤を数えてみると、1オクターブの間に12の音がありますね。 あれを月にみたてて日にちの方を拍子に置き換えるとこうなるんで。
 ためしにCD「一期一会」(ON-15 制作OFF NOTE、発売META COMPANY)を とりだしてみたところ、収録日が7月26日で、 確かに太鼓のリズムが26拍子です(^^;) 多分キーはF#-minorと思しい。
 結構たるい調子の曲と記憶していたのに、早くもピアノvsドラムのバトルが展開し かなり激しい場面が出現しました。おやおや、という感じ。

 作曲者(彰太さん)自ら「名曲です」といって始まった円周率 も、 格闘技の様相を呈し、ドラムが、おいおいどうしちゃったんだ〜?というくらい 熱っぽい演奏をしてました。うーん、山下トリオの頃はこれが常態だったんだろうか。
 駱駝の船 は、一期一会の3人でやると是安さんのギロギロいう弓弾きのベースが おどろおどろしくて、竹内さんのバスクラとのミスマッチが面白いんですが、 ベースがピアノに置き換わったことで非常にリリカルな演奏になりました。 これはこれで、わたしは好きだったな。
 バカハヤ狂想曲(協奏曲?)は本当に馬鹿みたいに早い曲でした(笑)。 曲紹介で彰太さんが「副題はドント・セイ・シノゴノ、ですか?」などと言って 笑ってましたが、四の五の言うなとにかくやれ!という意味でしょうか(爆笑)。 ドラムソロをたっぷり聞くことが出来てご機嫌でした。彰太さん特有の大地の響に、 跳ねるような切れ味鋭い音が重なって、うーん、かっこいいよー。(うるうる)

 2部、はにやん はピアノ・ドラムのデュオでした。緊張感が凄い。 相手を出し抜こうとしてるわけじゃないんだよなあ。ひっきりなしに音を奏でつつ、 全身で向こうの音を聞いて即応体制で臨んでいるというか。こっちまで緊張してしまう。
 次のブルースは本来の一期一会のペースだった気がします。テナーサックスで ソロをとった後、珍しく直さんが微かな笑みを見せました。会心の出来だったのかな?
 確かにこの辺からサックスの調子が俄然良くなってきて、次のMy One and Only Love もなかなか。テーマを演奏するときも一通りの吹き方はしない。 この曲をあんなヘロヘロした調子で演奏するの初めて聞きました。で、そのヘロヘロしたテーマに ピアノが見事に絡んでました。面白い! (こういうとき下手に出ていかないで、徹底的にやらせておく彰太さんも偉いと思う。)

 増減 は何だか人を喰ったような訳の分からない曲で、(CDにも入ってますけどね。 やっぱり分からんぞ....)、でも、演奏者は3人とも楽しそうだったな。 山下さんは拳固多発、彰太さんも狂ったように叩き続けてました。
 アンコールは嬉しい選曲。一期一会でモンクをやることなんてまず無いだろうし、 山下さんもこの曲はあんまりやらないから。重量級のピアノソロでしたねえ。 (客席でニタニタ笑いが止まらなかったミミズであった。) それに竹内さんのスタンダードは、一筋縄でいかなくてやっぱ面白いです。

 全体的に、山下さんが入ったことで、いつもはのほほんとした雰囲気の一期一会が 非常にスリリングに変身していた、という印象です。是安さんがいて一期一会が フルメンバーで山下さんと対していたら、また違ってただろうなあ、とも。
 と言うわけで、もう一回この企画やってくれませんか?


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