「ボ・・・ボクの服・・・どうするの、一体?」 ミランジャはかなり不安そうにミーナに聞いていた。 「大丈夫よ、一時的にこの服着てもらうだけだから・・・。」 「・・・・・・・ぶぅ・・・」 ミランジャはミーナの一言とさっき聞かされた話とでしぶしぶ承諾をした。 ・・・ただいま着替え中・・・ 「いたいよぉ・・・なにもいきなり髪の毛引っ張らなくても・・・」 「ちょっと・・・この靴何なの?セイバーのよりつくりがややこしいじゃない!」 「なんか・・・ミリエール様すこし成長しましたね。」 「やだ・・・帽子はやだよぉ・・・」 ・・・まぁ、色々あったようだけど無事終わったらしい。 「うん、なかなかいいんじゃない?」 ミーナは満足げにうなずいていた。 「なかなか、かわいいですよ。ミリエール様。」 ミリィは顔に笑みを浮かべながらそう言っていた。 「うぅ・・・なんか・・・ボクじゃないみたい・・・」 ミランジャはミランジャで自分の姿に違和感を感じていたらしい。 「さて、こんなことしてても仕方ないわね。まずは、エスパオール家の方々を探し出すための情報を集めないと・・・。」 「そうですね・・・。お屋敷に行くにしてもこの状態では心細いですからね・・・。」 「でもぉ、見つかったとして、いきなり行ってボク達のこと信じてくれるのかなぁ・・・?」 当然の質問だった。ミーナもこの不安はあったらしく小さくうなずいていた。 「それは大丈夫です。一応私の姿は昔から変わっていないものですから。それに・・・いくら姿が変わったとしても ミリエール様を見間違えるとは思えないですしね・・・。」 「・・・・・・・あのぉ・・・ちょっといいかな・・・」 ミランジャはミリィの意見を聞いて弱々しい声で切り出した。 「あなたのことはちゃんとサポートするし、事が終わるまでは一緒にさせていただきますが・・・・。 ボクとこっちのミーナさんは・・・どれくらいになるかはわからないけど、未来から来たんです・・・。 ボクは・・・ミランジャ=パルス=エスパオールって言います。・・・だから、ミリエールって言う人じゃ・・・ないんです。」 ミランジャが突然事実を話し始めてミーナは唖然としていた。 「なにご冗談を・・・昔からそういう点はかわらないんですね。」 ミリィは遠い昔を思い出すかのような目をしてみせた。 「冗談とかじゃないんだ・・・。本当は、このままミリエールさんを演じてるほうがいいんだけどなんか心苦しいんだ・・・。だから・・・」 ミランジャは半分涙目になりながらミリィに伝えた。 「・・・・・・・・・そうなんですか・・・なんとなくそんな気がしてたんです。着替えのときに私も気がつきました。 あの服は、確かにミリエール様が着ていた物と形は同じだけど微妙な違いがあったので・・・。 でも、今はそんな事どうでもいいじゃないですか。あなたが誰であっても・・・どこから来たとしても・・・。 少なくとも私はあなたはエスパオール家の方ということは間違いないんですから・・・。」 どこか、覚悟を決めていたかのような顔をしてそれでいて笑みをうかべながらミリィはそういった。 「・・・あたしは・・・あたしは・・・帰っちゃうかもしれないんだよ。」 ミランジャは、悲しげな表情をしながらそういった。 そう、今の事象に長くとどまると帰れない可能性もある。 すべては、友希にかかっているというのがさらに不安定な要素になっている・・・。 「・・・・いいんですよ。こちらにいる間だけで。本来いるべき場所があるのですから。ここにとどめておくわけにはいかないですからね。」 ミリィもまた寂しげな顔をして答えていた。 「あぁ、もう。そんな辛気臭い顔しないの!今は、こちらのことを片付けるのが先でしょ。今から帰るときのことを話しないの。」 さすがにたまりかねたのかミーナがいらだたしげに切り出した。 その言葉に、ミランジャもミリィも笑みを浮かべた。 「うん。とりあえず・・・お話・・・聞きに行こうか。」 「そうですね。ちょっと先になりますが、カフェがありますからそこで聞きましょう。」 いつのまにか、女の子3人組みになっていた。
こちらは、友希の研究所。 「ふぅ。何とか間に合いそうだな・・・。ただ、こちらの事象のものをつなぎとめておかないと戻れ無くなるからな・・・」 友希はそういうと、机の上にあった雑誌を半分に破り鞄にいれた上で準備を開始した。 「移動先事象・・・追尾装置測定範囲。・・・ミランジャ・・・いま、行くからな・・・。」 友希は事象を飛び越えようとしていた。 (以下、次回)