大庭議員の一般質問・・・見てね!!
大庭議員は5年9月定例会において一般質問を行いました。
ここに、質問の全文と答弁をお知らせします。
大庭議員の質問は新聞にも取り上げられました。
○20番(大庭通嘉) 皆さん、おはようございます。今日はたくさん傍聴の皆さんにおみえいただきまして、ありがとうございます。 それでは、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。 まず最初に、袋井市における治水の在り方ということで、河川整備についての基本的な考え方についてお伺いします。 さて、御案内のように、本市の特徴は言うまでもなく、西は磐田原、山田原、東には小笠山、北に宇刈の山といった、周りを丘陵地で袋のように囲まれた地域でして、その昔、東海道名所絵図ではこのように言われておりました。土人曰く、昔、この地方四方を丘にして、中に田園ありて袋のごとし、その中に大いなる井泉あり、四方田畑の科とす、故に名となす。このように袋井の地名の由来が紹介されておりました。 また、江戸時代、1616年、元和2年、東海道53次のうちの51番目に袋井宿が置かれましたが、当時、5町15間、572メートル程度の大変小さな宿場でして、周りを原野谷川や沖之川などに囲まれ、ここの宿場を水害から守るために土堤が築かれ、輪中の中に袋井宿がありました。 事ほどさように、本市はいにしえより、太田川や原野谷川など山間部から流れ込んだ川がもたらす肥沃な土壌堆積のおかげで、県内でも屈指の穀倉地帯として米作が盛んに行われてまいりました。しかし、一方、沖積平野であることから地盤は弱く、また、低地で河川の勾配も緩いことから、集中豪雨や震災など災害と共に人々の生活が営まれてまいりました。 このような農業を主体とした袋井地域でしたが、昭和44年、袋井インターチェンジの開設に伴い、工業都市へと大きく変貌してまいりました。例えば袋井地区のまちづくりを見ますと、都市計画による地域指定では用途指定を定め、昭和45年にまず、630ヘクタールの用途指定がされました。また、同48年には山梨市や方丈、高南地区を拡大して1,075ヘクタールに、その後も昭和59年には堀越、広岡を、さらに昭和63年には山梨、愛野、神長を市街化し、平成になっても市域の用途拡大をする中で企業誘致や宅造開発が行われてまいりました。殊に袋井地区では区画整理が政策的に進められ、公共施工が3地区、また、組合施行が18地区など、合わせて383ヘクタール、これは袋井の用途地域1,506ヘクタールの25%にも及んでいまして、今日、人口減少社会にあって、本市が県内でも人口が維持できていますのもこうした区画整理ゆえと申し上げてもよいかと思います。 一方、農業振興地域の指定ですが、旧袋井市では、昭和48年、最初に整備計画を策定し、その後も昭和51年、昭和63年、平成6年などと計画変更をしてまいりました。他方、旧浅羽町の農振の指定でありますが、昭和47年から平成17年までの合併までに6回の計画変更が行われつつ、漸次、都市化を推進してきたわけであります。 要するに、申し上げたいことは、私たちの袋井市は、農地を企業誘致や宅地開発のために都市計画区域に編入し、拡大しながら開発を進めてきたとというのがまちの特徴であり、また、歴史でもありました。実は、この都市開発に併せて進めてきたのが河川整備でした。本市では、前段触れさせていただきましたように、周りを丘陵地で囲まれ、鍋底的地形で、しかも太田川や原野谷川など2級河川をはじめ、中小河川が市内を縦横に流れています。したがって、橋梁の数も多く、市内全部で91カ所、しかも15メートル以上の橋、橋梁が127カ所も架けられていることからも分かりますように、本市のこれまでの発展は、まさに河川整備、治水を政治の中心に据えて都市化をしてきた。こう申し上げても過言ではないかと思います。 さて、このような袋井市が水害対策に本格的に乗り出したのは、昭和42年度に着工した沖之川の袋井機場や、昭和47年度着工の蟹田・松橋川の蟹田排水機場、そして、同じく秋田川の柳原機場、すなわち農業サイドの湛水防除事業をもって治水を進めてきたわけであります。そして、これらが完了する昭和52年、旧袋井市時代でしたが、地域全体の排水路を見直す第1次排水路整備10カ年計画が策定され、その後、昭和62年度から第2次10カ年計画、そして、平成9年からの第3次排水路整備計画の事業化でありました。 他方、旧浅羽町では排水路計画を持たず、個別で河川整備をしてきましたが、袋井市との合併で改めて河川整備の計画を策定し、新市として新たに第1次河川等整備計画を平成23年度に策定し、そして、最も新しい計画が昨年策定されました、令和4年度からの新たな河川等整備10カ年計画、通称かわプログラムに承継されたわけであります。 いずれにせよ、この間、水害はたくさんありました。近年の水害史上最も被害の大きな災害としましては、昭和49年、太田川の横井地区で決壊した七夕豪雨でした。2,436戸に及ぶ家屋の浸水被害がありました。その後も200戸以上が浸水するといった水害は数回発生してきていましたが、近年は徐々に漸減してきています。その背景として、原野谷川や太田川の河川改修、外水面の河川掘削が行われ、特に太田川にダムが建設されたことは大きく水害を減らしてきているものと思います。改めて、積年にわたり、先人諸氏が、国、県に陳情を重ねるなど、そうした取組成果、結果であると思います。先人皆様に感謝を申し上げる次第であります。 しかし、昨今の豪雨災害が過去の水害とは異なり、昨年9月の台風15号のように線状降水帯による豪雨といった自然災害も、気候変動で、市内の常襲浸水地域が現計画では対応し切れなくなっているということも事実であります。 そこで、ただいまるる申し上げました本市の治水対策の歴史を踏まえつつ、何点か質問をさせていただきたいと思います。 まず、1点目、袋井市河川整備計画、通称かわプログラムについてお伺いします。 アですが、昨年策定しました当該計画、令和4年度から令和13年度までの10カ年の事業計画を前期、中期、後期に分けて総額75億9,000万円をもって計上されました。本市の河川整備、排水路整備全体では、本来どれほどの事業費を必要と認識されているのかお伺いしたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 大場市長。 〔市長 大場規之 登壇〕 ○市長(大場規之) おはようございます。 大庭通嘉議員の治水対策についての御質問にお答えを申し上げます。 初めに、袋井市かわプログラムについての御質問のうち、本市の河川整備全体の事業費についてでございますが、袋井市かわプログラムは、令和3年度から令和12年度までの10年間で取り組む河川や雨水貯留施設などの整備方針を定めたものでございます。計画期間内の事業のうち、改修計画が定まっているものといたしましては、柳原雨水ポンプ場の整備のほか、河川、排水路2.5キロメートルの改修などで、10年間の整備費としては、ポンプ場に57億円、河川改修などに19億円、合わせて約76億円の施設整備を予定しているところでございます。河川、排水路などの詳細な全体事業費につきましては算出できる状況にはございませんけれども、毎年度のかわプログラムに従いまして予算確保に努めてまいりたいと存じます。 |
2点目、イの河川整備の全体事業費のうち、本市の実質的負担分、いわゆる裏負担が幾らになるかであります。 前段触れましたように、河川事業費に総額約75億円余が示されましたが、このうち、国、県の補助金や地方交付税等で補塡をしていたいただく以外の袋井市民の皆様の税金で負担する分、この分がどの程度になるかお伺いしたいと思います。 |
次に、かわプログラムで示した事業費約76億円のうち、市の実質負担額についてでございますが、整備に対し交付税措置のある有利な地方債を最大限活用した場合など、現在の地方債制度をもとにそれぞれの事業ごとに試算いたしますと、下水道事業で実施する柳原雨水ポンプ場の概ねの財源割合は、事業費57億円のうち、国の交付金が約4割と起債に対する交付税措置が約1割ございますので、市の負担は残りの約5割に相当する約29億円となります。 また、河川改修事業につきましては、事業費19億円のうち、県費補助金が約3割、交付税措置が約5割でありまして、市の負担は残りの2割、約4億円となりますことから、市の実質負担額は合計で約33億円と見込んでおります。 |
大きな2点目は、蟹田川整備に関する基本的な考え方についてであります。 この蟹田川の質問の1点目、アについてでありますが、御案内のように、蟹田川は、上山梨地区から田原地区まで延長5.1キロメートル、17キロ平方メートルの流域面積を持つ2級河川であります。この蟹田川は、明治時代までは土橋が源流だったんですが、耕地整理で整備され、昭和になってから、当時の農林水産省の事業で行った田原地域湛水防除事業の一環で、農業排水路として整備した河川であります。それを平成15年より、都市局サイドの河川整備として事業着手をし、JR松橋川合流地点まで2.3キロメートルを整備区間と定め、事業を進めてきていますが、これ以北、現在計画されていないJR東海道線より北側の蟹田川の改修を市として県に要望していく必要があると思いますが、その考え方についてお伺いします。 |
次に、2級河川蟹田川の整備に対する基本的な考え方の御質問のうち、松橋川合流地点から北側の河川改修計画についてでありますが、県の河川整備は水系ごとに策定された河川整備計画において工事施工区間を定めております。蟹田川につきましても、平成13年に策定された太田川水系河川整備計画にて、原野谷川の合流地点からJR東海道本線までの延長2.3キロメートルを工事施工区間とし、これまで、原野谷川合流地点から彦島大橋下流までの約1.5キロメートルの整備が完了しております。県に対して、まずは、彦島大橋下流からJR東海道本線までの残りの工事区間の早期完成を強く要望するとともに、現在、県では、河川整備計画の変更に向けて検討している状況でございますので、蟹田川流域の浸水被害軽減に向け、JR東海道本線北側の改修が計画に位置づけられるよう要望してまいります。 |
2点目、イ、この蟹田川の改修ですが、彦島大橋まで河川改修が進みました。しかし、平成22年より、ここ12年間停滞しております。この原因と対策についてお伺いします。 |
次に、改修事業の停滞の原因と対策についてでありますが、一部の地権者の理解が得られていないことや、境界立会に応じていただけないことなどが主な要因と考えております。長い時間を要しておりますが、引き続き、県と共に理解が得られていない方に対し丁寧に説明し、粘り強く交渉を続け、地域の安全・安心に向け取り組んでまいりたいと存じます。 |
3点目、ウ、同じく蟹田川の改修に当たって、JR東海道線までの改修完了の予定時期と彦島大橋架橋の予定時期についてお伺いします。 |
次に、彦島大橋とJR東海道本線までの河川改修の完了時期についてでございますが、先ほど御答弁いたしましたように、地権者との協議に取り組んでいるところであり、完成時期につきましては現時点では見通せない状況でございます。 |
4点目、エですが、蟹田川の支川となります準用河川松橋川の改修計画の考えがあるかお伺いします。 実は、当該河川、平成23年に松橋川整備事業計画ということで策定し、緊急整備で堤防をかさ上げしていただきましたが、上流部においてかさ上げ後も越水が繰り返されており、残念ながら効果が出ておりません。全体2,360メートルを今後どのように改修していくかお伺いします。 |
次に、準用河川松橋川の改修計画についてでありますが、平成16年11月の洪水を受け、蟹田川合流地点からバイパス手前までの延長2,360メートルにて全体計画が策定されております。現在、市では、平成25年度から、暫定計画による改修に着手し、本年度末までに、県費補助事業にて、蟹田川合流点から新池工業団地調整池付近までの約450メートルの暫定整備が完了する予定でございます。 今後の事業計画でございますが、県からの補助金を着実に確保する中で、可能な限り事業を前倒しさせ、鈴与株式会社、袋井物流センター北側の川井西排水ポンプまでの延長約600メートルについて、令和9年度の完成を目指してまいりたいと考えております。 |
5点目、オ、川井地区の当面の水害対策をどのように進めるかお伺いします。 この問題は、以前からも一般質問している内容ですが、昨年の台風15号でも浸水被害が発生しています。こうした松橋川流域の水害常襲地区の対策をどうするか、川井地区等の現状のポンプ排水と今後についてお伺いします。 |
次に、川井地区などの松橋川流域における当面の水害対策についてでありますが、放流河川であります準用河川松橋川の水位が上がりますと自然流下がスムーズにできなくなるため、地区内の排水を補助する役割として川井西排水ポンプが設置されております。台風15号を受け、すぐにできる対策として、この排水ポンプを早く、長く稼働できるよう、現在、ポンプへの流入口について40センチ下げる改修を行っているところでございます。抜本的な対策に向け、下流河川の流下能力の確保が必要でありますので、磐田市、袋井市の流域自治会で組織されております2級河川太田川水系蟹田川整備促進協議会や、来年度、流域市町で設立いたします(仮称)太田川水系治水対策推進期成同盟会において県へ強く要望し、蟹田川流域の治水安全度の向上に努めてまいります。 |
次に、大きな(3)、市の土地利用指導要綱によりまして設置が義務づけられています調整池についてお伺いします。 1点目、ア、開発に伴う河川への影響、要するに調整池を設置したことによる効果、これをどのように評価、認識しているかであります。 本市の開発ですが、例えば区画整理だけでも前段申し上げましたように383ヘクタール行っております。また、農地転用だけ見ましても、毎年平均して200件程度、面積にしましても、田原と合わせて、合併して17年間で実に256ヘクタールが転用されています。しかし、これらの開発のうち、調整池が義務づけられた原則1,000平方メートル以上の開発は、調整池に一旦水がためられますので、河川への影響は限定的であると思います。この調整池の効果、評価と、それに対する市の認識についてお伺いします。 |
次に、市の土地利用指導要綱により設置が義務づけられた調整池についてお答えを申し上げます。 本市では、適切な土地利用の規制誘導を図るため、面積が1,000平方メートル以上の開発を対象として、平成5年6月1日から袋井市土地利用指導要綱を施行しております。 この指導要綱では、農地などが宅地化された場合に発生する雨水の流出量を抑制し、下流河川の水位上昇などの影響を軽減するため、一時的に水をため、オリフィスと言われるおおむね5センチ四方の放流口から時間をかけてゆっくりと放流する調整池の設置を開発者に対し求めております。 一方で、放流先となる太田川水系は、静岡県が示している河川整備計画において、10年に1度程度の確率で起こり得る降雨規模を想定して河川の改修断面を設定しております。この降雨規模は、著しい河川増水をもたらした平成10年9月の集中豪雨における出水が発生しても洪水被害を生じさせないことを目標としております。 これに対しまして、宅地化に伴い設置される調整池の容量は、50年に1度程度の確率で起こり得る降雨規模で計算し、さらに2ヘクタール未満の開発にはそれに1.2倍を乗じて、また、2ヘクタール以上の開発はそれに2倍を乗じて容量を定めております。 ただいま申し上げましたように、調整池の容量は河川の改修規模を上回る大きな雨量で算出するとともに、調整池からの放流につきましては河川の改修規模を下回る放流量となっておりますことから、下流河川への負担軽減に大きな役割を果たしているものと認識しております。 |
次に、2点目、イ、現在、開発に際して、川井西地区では800平方メートル以上、秋田川流域の開発では面積500平方メートル以上の開発に調整池の設置を指導していますが、さらに追加指定をしていく考えがあるかお伺いします。 御案内のように、1,000平方メートル以上の開発行為にあっては、袋井市土地利用事業の適正化に関する指導要綱や都市計画法に基づいて調整池の設置が義務づけられています。しかし、原則1,000平方メートル以下であれば調整池の設置の義務もなく、結果、開発が河川への負荷になります。そうした1,000平方メートル以下の農地転用が、合併後、実に約110ヘクタールもありまして、こうした開発が最も河川への負荷になっているものと思われます。そこで、規制地域の追加見直しをしていく考えがあるかお伺いします。 |
次に、小規模な開発に対し調整池を設置する地域を追加する考えについての御質問でございますが、秋田川流域では、平成16年11月の大雨により、高南地区におきまして、床上浸水4棟、床下浸水77棟の大きな被害が発生したことから、浸水被害の軽減と無秩序な土地利用の抑制を目的として、500平方メートル以上の土地利用の事業に調整池の設置を求めております。また、川井西地区におきましても、利便性の高い地域として無秩序に土地利用が進行したことから、住環境の改善を図るまちづくりのルールを地域独自で策定し、その中で開発面積を800平方メートル以上の土地利用事業に対して調整池の設置を求め、下流河川となる松橋川への流出抑制に努めております。 このように、地域の合意形成とともに、地域特性を踏まえた独自の面積基準を設け、治水対策に取り組んでいただいている事例もございますが、昨今の頻発、激甚化する降雨に対しましては、地域限定での取組には限界があるものと認識しております。現在、広域的な視点での治水対策の推進を図るため、国や県をはじめ、流域市町で構成する遠州流域治水協議会が組織され、太田川流域における流域治水の取組として、河川改修や校庭貯留、水田貯留などの雨水貯留施設、ポンプ場の整備などのプロジェクトを推進しておりますことから、これらの取組を通じて、市全域における治水対策の強化に努めてまいりたいと存じます。 |
次に、(4)袋井市中部豪雨災害対策アクションプランの位置づけについてであります。 当該アクションプランですが、平成20年に策定され、農振地域、農水地域の確保の検討ということで、当時は全ての農振地域が保水地域として色塗りされていましたが、その後、現在のかわプログラムにも、中部総合治水対策にも、その記述や色塗り指定がされていません。加えて、現在の都市計画マスタープランには、土橋工業開発地を都市活力創出地として開発を進めることを前提に、明確に色塗り指定がされています。要するに、中部豪雨アクションプランは県との協議の中で改定され、土橋の開発は治水の上からも、都市計画上からも合法的に進められているという認識でよいか、そのことについてお伺いします。 |
次に、袋井市中部豪雨災害対策アクションプランについてでございますが、このプランは、平成16年11月の洪水を受け、これと同程度の降雨があったとしても床上浸水被害をおおむね解消することを目標に掲げ、被害が大きかった蟹田川、沖之川及び小笠沢川の3流域を対象に、県と市が連携し、相乗効果による浸水被害軽減を図ることを目的に、平成20年3月に策定されました。 この計画では、保水地域の保全として、水田が保つ貯留機能を有効的に活用するという考え方を示しており、対象エリアとしては、農業振興地域内農用地区域、いわゆる青地農地を全て記載しております。その後、平成27年3月には名称を、袋井市中部総合的治水対策計画に変更しておりますが、考え方や施策につきましては継承しており、袋井市中部総合的治水対策推進協議会にて課題や事業の進捗状況を共有し、それぞれの事業を推進しております。 |
次に、(5)土橋の工業開発についてお伺いします。 令和5年度も土橋の開発は市の主要施策の一つとして位置づけられていますが、この開発による河川への影響をどのように捉えられているのかお伺いします。 当該開発に伴い約1万4,000立方メートルの調整池の設置が計画されています。技術基準に基づき、また、河川協議も行われ、調整池が設置され、治水の観点から問題はないと考えますが、雨水時における蟹田川下流域への影響を市としてどのように捉えているのかお伺いします。 |
次に、土橋工業開発についての御質問にお答えを申し上げます。 これまで本市では、上山梨や愛野地区におきまして、地域拠点としての機能強化を図るため、都市計画法や農業振興地域の整備に関する法律に基づく都市計画と農林漁業との調整手続や2級河川の管理者となる静岡県と河川協議を行うなどして、青地農地を除外し、都市計画用途地域の指定を行い、適切に市街地の拡大を図ってまいりました。土橋地区におきましても同様の手続を行い、2級河川の蟹田川への影響についても協議を進め、調整池の整備をはじめ、下流河川への影響についても評価を行っておりますので、着実に事業の推進を図ってまいりたいと存じます。 |
次に、(6)市街地にある農地について、ア、湛水機能を有する用途地内にある農地を減免する考えはないかお伺いします。 市街地で周りが埋立てられた田んぼは大きな調整池の役割を果たしています。これに対する減免の考えがないかお伺いします。 |
次に、湛水機能を有する用途地域内にある農地の固定資産税、都市計画税の減免についてでございますが、固定資産税、都市計画税などの税の減免につきましては、地方税法やその取扱いにより、天災による被災者や税負担が困難な方への減免などに限られておりますことから、用途地域内にある農地に限定した固定資産税、都市計画税の減免は難しいものと考えております。なお、本市におきましては、用途地域内の農地も農業振興地域内の農地も、形状、形質が同等であれば評価額に差は生じておりません。 |
治水の最後になりますが、(7)老朽化した袋井排水機場及び蟹田排水機場の今後の対応策についてお伺いします。 当該施設は老朽化し、しかも、当時、農林水産省の予算で設置されたポンプです。したがって、農作物に影響がない24時間後に30センチ程度の浸水も認められ、しかも真空ポンプ式の排水となっており、都市排水としては十分でありません。見直しもしていかなければと思いますが、当局のお考えをお伺いし、以上、質問とさせていただきます。 |
次に、排水機場の今後についての御質問にお答えを申し上げます。 市内に7カ所ある排水機場は、農作物の湛水被害を防ぐことを目的に、昭和40年代から昭和50年代にかけて、県や市が湛水防除事業として、排水ポンプや河川の逆流を防ぐための樋門などの施設を整備してまいりました。近年では、各地域において都市化が進み、農地が減少する中で、排水機場が農地の湛水防除だけではなく、住宅などの浸水対策としても重要な役割を担っております。議員御質問の袋井排水機場は、村松地区、鷲巣地区など約1,380ヘクタールを対象とした流域をカバーしており、この流域において、県では、沖之川の河川改修や久野城址南遊水池などの整備を進めておりますが、治水安全度を高めるため、排水機場の予防保全による長寿命化対策として今年度実施しております、排水ポンプのオーバーホールと併せ、今後、電気設備の更新など、引き続き安全で確実な運転管理に努めてまいります。 また、蟹田排水機場につきましては、袋井西地区や今井地区など約1,500ヘクタールの流域をカバーしておりますが、蟹田川や下流河川であります太田川や原野谷川の河川改修が計画的に行われ、河川の流下能力が向上したことにより、平成16年11月の洪水以降、高潮や台風による河川水の遡上がないことから、排水機場のポンプの稼働や樋門の開閉は行っていない状況です。こうした状況を受け、排水機場の樋門撤去に伴う河川水位や農地の湛水状況を確認するため、令和元年度に、平成16年11月相当の降雨に対する河川水位のシミュレーションや、令和2年度には、湛水防除施設の基準となる雨量に対して湛水深などのシミュレーションを専門のコンサルタントに委託した結果、河川水位の低下や、国が示しております湛水防除施設の設置計画基準を下回る結果となりました。 この結果を踏まえ、本市といたしましては、上流域の治水安全度をより高めるため、排水機場の廃止と樋門を撤去する考えではございますが、撤去に伴い、農地や住宅などにも影響があることから、中遠農林事務所をはじめ、河川管理者である県と慎重に協議を進める必要があると認識しております。 今後につきましては、協議により一定の方針が決定した段階で、地域の皆様をはじめ、関係者に報告してまいりたいと存じます。 以上で私からの御答弁とさせていただきます。 |
一問一答 | |
○議長(戸塚哲夫) 大庭議員にあらかじめ申し上げます。再質問をする際には、初めにどこの部分の質問か番号等を述べてから質問に入っていただくようお願いいたします。 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) それぞれ答弁いただきました。 その中で、(1)アの河川整備の全体予算をどのように考えているかということについて再度お伺いしたいと思います。 先ほどの答弁では、柳原ポンプ場に約57億円、河川に19億円というようなお話でありました。全体的には算出できないというお話でしたけれども、概算で、河川整備に大体どのぐらいかかるかということについて市民も知りたいと思います、そこら辺について分かる範囲で御答弁いただきたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) 大庭議員の再質問にお答えをさせていただきたいと思います。 河川整備の全体の事業費ということですが、令和3年度から10年間の整備方針を示すかわプログラムでは、河川排水路2,520メートルを整備するとうたっております。そして、それに要する概算事業費として15億7,500万円と試算しております。令和13年度以降における河川の未整備延長は約9,370メートルとなりますので、例えば、先ほど申し上げました約65万円を掛けますと、おおむね60億円となると、このような状況でございます。 以上、答弁とさせていただきます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭議員。 ○20番(大庭通嘉) ポンプを除いていたと思いますが、約60億円河川にかかるという話であります。現在、1億5~6千万円から多くて2億円ぐらいでありますので、もう30年だとか、あるいは30数年かかるという、大変な額がかかるということを改めて確認をさせていただきました。少しでも前倒しをしていただきたいと思うわけですが、その延長線上で、(2)の蟹田川の整備に関する関係で、JR東海道線以北の河川改修についての市の考え方をお伺いしたいと思います。 実は、先ほど質問の中で申し上げましたように、昭和52年の第1次排水路整備計画の中では、JR東海から北側、旧国一まで、現状、蟹田川の河床、川底の幅は3メートルなんですが、本来は13メートルにしたい。それから、旧国一、木原から、いわゆるバイパス、そこまでは10メートルにしたいと。こういうように当時の計画では載っていました。市でも川に対する、河川の流量断面、河積ですね、これに対する認識はどの程度持っていらっしゃるのか確認をさせていただきたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) 昭和52年に策定されました第1次排水計画書、こちらは将来的な構想ということで、50年に1度程度の確率で起こり得る降雨規模で改修断面を計画し、それが計画されていると認識をしております。現在県で進めております太田川水系における河川改修でございますが、こちらにつきましては、10年に1度程度の確率で起こり得る降雨規模で改修断面を計画し、整備が進められているという状況でございます。また、太田川に接続する蟹田川においても同様の改修断面で整備が進められておりますので、改修断面は当時の排水計画とは異なっていると、こんな状況になっております。 それから松橋川、こちらについても、現在の蟹田川の流下能力と整合を図る必要がございますので、松橋川につきましては、暫定的に3年に1度程度の確率で起こり得る降雨規模で改修断面を計画して整備を進めている、こんな状況でございます。松橋川につきましては、蟹田川の河川改修が完了した後には川床を掘削しまして、10年に1度程度の確率で起こり得る降雨規模の断面とする。このような計画でございますので、よろしくお願いしたいと思います。 以上、答弁とさせていただきます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 今の御答弁で、市でもそれを認識されていると。ただ、本来、50年に1度でということでありますし、前段質問した総額60億円ぐらいというのも、多分10年に1度、あるいは3年に1度の計算上だと思います。50年に1度というともう莫大な額になって推計もできないというのが実情じゃないかなと思います。そうした中で市の発展を考えたときに、先般、11月、昨年の森町袋井インター通り線の整備促進に向けて、覚書を県、森、袋井で交わしています。この開発は、沿線の企業誘致だとか様々なことを想定しているわけですけれども、全て松橋川、蟹田川に入ってまいりますので、一層これに予算をつけていかなければならないということを改めて今の御答弁の中で確認させていただきました。だもんですから、蟹田川の改修が必要だということになってくるんですが、イの蟹田川の改修が、今12年間停滞していると。これに対する打開策についてお願いしたいと思います。私も、この平成8年からずっと蟹田川の整備促進協議会、これに、いわゆる2級河川太田川水系蟹田川整備促進協議会というのですが、このメンバーに連ねさせていただいて、県知事に陳情し、これが、おかげで彦島大橋まで改修したところです。しかし、これが12年止まっていて、上流部に影響があるということは非常に心苦しいことでありまして、この打開策について見解を伺っておきたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) 蟹田川河川改修、停滞の打開策という御質問かと思います。 今議員からお話がございましたように、日頃は、2級河川太田川水系蟹田川整備促進協議会で要望活動に携わっていただきまして、大変ありがたいと思います。蟹田川の河川改修、こちらにつきましては、御案内のとおり、流域における安心・安全な市民生活を支えることを目的として実施していると認識しております。事業に御理解いただけない方がいらっしゃるというのは、公共の福祉の観点からも大変残念だなと感じているところでございます。 御質問の打開策ということでございますが、これまで同様に、県と共に交渉を行うと、このようになろうかと思いますが、これまでの交渉記録をいま一度細かに整理をさせていただいて、どのようにすれば相手に御理解をいただけるのか、そんな視点で整理をさせていただきたいと思っております。解決に向けましては、あらゆる手段につきまして研究、検討をして、これまで以上、県と共に強く用地交渉を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 以上でございます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 次に、エの松橋川の関係でお伺いしたいと思います。 先ほどの答弁で、川井ポンプ場まで確か令和9年までに整備したいという答弁でありました。この上流、川井、それから木原、土橋、堀越まであるわけですが、この全体の計画をどのようにイメージされているか、それについてお伺いしたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) 松橋川の整備計画というような再質問をいただきましたが、市長から答弁にありましたように、まずは、財源である県費補助を確保した中で、川井西配水ポンプ場までの約600メートルを令和9年度までの5年間で着実に整備をしたいと考えてございます。その上流部となります国道1号バイパス南側までの残りの約1,370メートル、こちらにつきましても財源の確保などの課題もございますが、効率的、効果的な事業執行に努めまして、おおむね令和9年以降、令和10年から令和15年程度で整備を完成させたいと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。 以上、答弁とさせていきます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 次に、(3)のアの関係で、調整池の関係です。 先ほどの答弁で大きな役割を果たしているということでありました。通常10分の1の確率での河川整備、それにまして、50分の1で調整池がつくられているということで、50年に1度の確率の降雨の規模だという、先ほど説明があったと思います。要するに、調整池は十分効果があると認識、承知してよろしいか、再度確認したいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) 調整池の効果というような御質問かと思います。 市長の答弁にございましたように、開発に伴う調整池は雨水の流出量を抑制し、下流河川の水位上昇を軽減させるために設置をするものでございます。答弁にもございましたように、調整池の貯留量は、河川の改修規模を上回る大きな雨で算出し、調整池からの放流につきましては、河川の改修規模を下回る放流量とになってございますので、下流河川への影響は少ないと認識してございます。 以上、答弁とさせていきます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 調整池が効果あるということを確認させていただきました。 次に、(4)と(5)が関連しておりますので、これについて質問をさせていただきます。 答弁の中で、県と の間で土橋の開発については十分協議がされている内容だと。要するに、以前、中部豪雨災害アクションプランがあったから土橋の開発はできないと、そういうことはないですよね、そのことを確認させてください。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) アクションプランの関係と土橋の開発の関係と、このような御質問かと思います。 市長からも答弁させていただきましたが、保水地域の保全の対象となっているエリア、こちら、いわゆる青地農地の区域を示しております。将来にわたって開発ができないものではなく、関係諸法令に基づく必要な手続を行うことで開発が可能であると認識をしてございます。土橋の工業用地造成事業につきましては、都市計画と農林漁業との調整手続、そして、2級河川の管理者であります県と河川協議を行う中で計画を定めておりますので、これまでどおり、事業を推進してまいりたいと考えてございますので、よろしくお願いしたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) もう一点確認させていただきます。 現在、都市計画のマスタープランに土橋工業開発地が都市活力創出地として開発を前提に色塗りをされています。これ、議会でも承認されている内容ですが、これはその理解でよろしいですね。 |
○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 ○都市建設部長(石田和也) 都市計画マスタープランの関係でございますが、この計画は、平成30年3月に策定してございまして、今、大庭議員からお話がございましたように、土橋地区は都市活力創出地というようなことで位置づけてございます。 都市計画マスタープランの策定に当たりましては、平成28年の12月に庁内の検討委員会を設置をして検討に着手したという状況でございます。その後、平成29年1月には学識者を交えました策定懇話会、こういったものも組織して検討してきたと、このような状況でございます。その後、平成29年9月、平成29年11月に市議会建設経済委員会、そして全員協議会で協議を重ねているという状況でございます。その後も庁内検討委員会や策定懇話会、さらに都市計画審議会等での議論を経て、市民の皆様から御意見をいただくパブリックコメントを実施する中で最終案を取りまとめたという状況でございます。こちらの最終案につきましては、平成30年2月の市議会定例会における建設経済委員会、全員協議会で御報告を申し上げておりますので、議員からお話があったとおり、我々も市議会での承認が得られた計画であると認識をしているところでございます。よろしくお願いいたします。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) (4)、(5)の中の特に(5)の土橋の工業開発について確認したいと思います。 下流域に住んでいらっしゃる皆さん方に土橋の工業開発を心配される方がいます。ただいまの説明で問題ないということはほぼ確認できましたけれども、この土橋の開発が下流域へ悪い影響を及ぼさないエビデンス、根拠ですね、もう一度分かりやすく説明していただくとありがたいですが、お願いしたいと思います。 ○議長(戸塚哲夫) 石田都市建設部長。 |
○都市建設部長(石田和也) 下流域の影響というようなことで改めて御質問をいただきましたが、答弁でも申し上げましたように、都市計画の用途指定行う場合には河川協議を行うという状況になってございまして、その中で定められました交付規模に基づきまして、調整池の設置、土橋の場合は約1万4,000トンの調整池を設置するというようなことで予定をしておりますが、下流河川への影響を評価しているという状況でございます。もう少し詳しく申し上げますと、河川協議の中で、下流河川となる蟹田川では7カ所、そして、松橋川では3カ所で、それぞれの地点における流出の増加について検証を行いまして、いずれの地点におきましても影響は少ない状況となってございまして、その検証結果をもちまして、県との河川協議についても済んでいると、こんな状況でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。 以上でございます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) いずれにいたしましても、土橋の開発は合法的に進められ、治水上も問題はないと、また、今の御説明のとおり、事業が成就した暁に、あの開発がというようなことだけはあってはなりませんし、ないことを願っているわけです。そういう意味で大変参考になりました。いずれにしましても、土橋の工業開発というのは、私ども土橋住民の要望でもなくて、また、議会からの要望でもなく、いわんや私個人からの提案でもありませんでした。市が開発を決めて進めてきたということで、地権者も、それから土橋の住民も市の方針を受け、話合いの上、地元のためになり、また、袋井市のためになると、この大きな視点で全面的に協力してきていると。ぜひとも市も責任を持ってやっていただきたいと思いますが、市長のほうで、今までの経過も含めて、ただいまこの治水上の問題も議論させていただきました。大丈夫だというお話を伺ったところでありますが、市長からの一言、コメントをいただければありがたいです。 |
○議長(戸塚哲夫) 大場市長。 ○市長(大場規之) 大庭議員の御質問に、市長としてコメントをさせていただきます。 大和ハウス工業を想定として、今回の事業計画がされております。昭和38年に大和ハウスが立地をされ、袋井市内での移転候補地ということで、土橋の皆様方に御協力をいただいて、今回の話を進めさせていただいているわけでございますが、大和工業さんのこの袋井市への貢献というものと、この袋井市内で操業を継続したいということに対しまして、私たちもできるだけの対応をということで今日に至っていると理解をしております。そうした中で、土橋の皆様方には、御地元ということで大変御負担、御苦労をおかけする中、今日に至っておりますことを改めて感謝を申し上げる次第でございます。その一方で、今、るる御心配等お話をいただきました。水に対する御心配、本当にごもっともだと思います。先ほどから太田川の設計断面が10年に1度というお話もさせていただいているとおりでございまして、本来であれば、私、例えば個人的なお話を申し上げるとするならば、現在、降雨が激甚化をしているこういう状況の中で、10年に1度の設計断面ではとても安心できないというのが現実なところでございます。できるならば、50年に1度の降雨に対する設計断面であるべきだとも思いますし、そうしたことを下流から整備を進めてくるということが本来であろうと思います。ただ、そのためには、太田川の本当に最下流部からもう一度設計をし直して、全ての対応をしなければならないという現実的な課題もあります。それをするためにはまだまだ途方もない時間がかかるとも思います。先ほど蟹田川の当初の設計断面が13メートルであったという話も聞いています。お話がございました。そして、本来であれば、蟹田川でもそうした河川断面が必要なところ、現在3メートルということでございます。そうしたことを一つ取りましても、本来あるべき河川改修をするとすると莫大な費用がかかって、時間もかかってということでありまして、現在の10年に1度の規模の設計でとどまっているというのが、私としても正直なところ残念なところではございます。ただ、いろいろな制約の中、市全域を見渡したときに、それを取りあえず今は確実に進めていくというのが現実的な対応でございまして、それに向けて準備を対応しているところでございます。土橋の皆様方に関しましては、そういう状況の中で今回のお話、現実的な対応をしていただいておりますこと、本当にありがたく思っておりますし、そこの水への心配ということに関しては、今でき得る限りの最大の対応をさせていただくということで、御理解、御協力を引き続きお願いできればと思っております。 いずれにしましても、洪水に対する土橋の皆様方の御心配に対して、精いっぱい、できるだけの対応をしながら計画どおりの推進をしてまいりたいと思いますので、何とぞ御協力のほどお願いをしたいと思っております。 以上で私からの御答弁とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 市長から、今でき得る最大の対応ということでお話しをいただきました。私も胸に刻んで進めたいと思っています。 |
次に、二つ目の質問としまして、澤野医院記念館についてお伺いしたいと思います。 澤野医院記念館ですが、平成11年、袋井市の有形文化財に指定され、旧澤野医院の建造物群を後世に残すために保存修理を行い、平成13年1月20日、澤野医院記念館として開館し、今日で22年目を迎えています。 御案内のように、澤野医院記念館は、江戸後期から昭和初期に建てられた建築物で、地域医療を担われた澤野家からの御寄附を受け、昭和初期の医療器具が残る診察室、手術室からなる病棟や往時の生活がしのばれる居宅等を展示し、これが、日本観光振興協会や全国見るナビなどSNSでも様々に紹介されています。 この記念館開館に当たりましては、当初、澤野先生が所蔵していた杉田玄白の解体新書や貝原益軒の大和本草など、目玉の資料を中心に、日本一健康文化都市にふさわしい情報発信や、市が所蔵する各種の古文書や発掘物等の歴史文化資料の展示と併せて、歴史や文化の教育的施設にしていくとの説明が当時ありました。 実は、この委託管理業務を川井地区の澤野医院記念館世話人会の皆さんが長きにわたって行っていただいておりまして、今日に至っております。献身的に管理してくださっている皆さんに私からも感謝を申し上げたいと思います。こうした皆さんも高齢化により、記念館の運営の将来について考える時期にきているということも事実であります。と同時に、本来、市が直営で運営すべき澤野医院記念館の今後の在り方について、市の方針を整理すべき時期に来ているとも言えます。 そこで、澤野医院記念館の今後という観点から何点かお伺いします。 1点目、澤野医院記念館の今後の市の運営方針についてまずお伺いします。 |
○議長(戸塚哲夫) 鈴木教育長。 〔教育長 鈴木一吉 登壇〕 ○教育長(鈴木一吉) 文化財の保全に関する御質問にお答え申し上げます。 初めに、澤野医院記念館の今後の運営方針についてでありますが、昨年12月、文化庁長官から認定を受けた袋井市文化財保存活用地域計画では、基本方針に、守り、活かし、そして未来へ伝えるを掲げ、市民一人一人が文化財の価値を改めて認識し、地域総がかりで守り、観光やまちづくり、教育など様々な分野で活用することにより、次代へ継承していくことを目指し、そのための取組等を計画に盛り込んでおります。 澤野医院記念館につきましては、平成11年4月に市の指定文化財に指定されており、開館から昨年度末まで、県内外から約2万9,000人の方が訪れております。年平均にしますと約1,300人が来館されておりますが、令和3年以降はコロナ禍による臨時休館の影響により、年間約500人にまで減少しております。 施設の管理運営につきましては、この文化財の価値や魅力をよく知っておられる地域の方々が世話人会を組織していただき、これまで約20年にわたり大切に守りながら、多くの方に見ていただけいただけるよう、適切に管理運営をしていただいており、まさに文化財保存活用地域計画の基本方針を実践されている事例であると考えております。記念館の管理運営につきましては、この文化財を守り、伝える、その中心的な役割を果たしていただいてきた世話人会の皆様に引き続き担っていただきたいと考えております。 |
2点目、市として、澤野医院記念館の位置づけと川井地区の世話人会に求めることは何なのかお伺いします。 |
次に、市としての澤野医院記念館の位置づけと世話人会に求めることについてでありますが、澤野医院記念館は、袋井市文化財保護条例に基づき、江戸時代末期から昭和初期までに順次建てられてきた建物群を、市の近代化と地域医療の歴史を物語る重要なものと位置づけ、平成11年に、建物全体を市の指定文化財に指定いたしました。 また、袋井市文化財保存活用地域計画では、地域にある様々な文化財を、歴史文化の特徴によって一連のまとまりとして捉える関連文化財群をうたっており、この一つとして、東海道など、道がもたらした人の往来と文化というテーマの中に、街道沿線に立地する文化財とともに澤野医院記念館を位置づけております。 世話人会の皆様には、これまでも澤野医院の開業当時の様子を知る語り部として、実体験に基づいた歴史的な価値や魅力を来館者に紹介いただいただいておりますので、引き続きこうした取組を続けていただきたいと考えております。市といたしましても、世話人会の皆様と協力し、幅広い世代に興味を持ってもらえる機会を提供することなどにより、貴重な文化財を地域総がかりで守り、活かし、伝えていけるよう取り組んでまいります。 |
3点目、澤野医院記念館の敷地内の樹木の剪定や施設の管理など、通常の維持管理や老朽化している施設の予防保全の在り方、考え方についてお伺いします。 |
次に、澤野医院記念館の施設や樹木管理、建物の予防保全の考え方についてでありますが、まず、樹木管理については、世話人会との管理運営に係る委託契約に基づき、日常的な庭木の剪定や草刈りについては世話人会の皆様に行っていただき、高木の剪定や松枯れなど対応に専門的な技術や機材を要する場合は市の施設管理費により対応しており、今後も相互の役割分担により、魅力的な庭園風景を維持してまいりたいと考えております。 また、施設や建物につきましては、記念館として開館するに当たって整備して以降、これまでも外壁の塗り替えや老朽化した部材の交換など、折に触れ、部分的な修繕を実施してまいりました。開館後22年を経てまいりましたことから、建物全体の総点検を実施し、現状を把握した上で、文化財としての建物の魅力が損なわれることがないよう、計画的な修繕を検討し、保全に努めてまいります。 |
4点目、大正5年に建てられた洋館の開放についての考え方をお伺いします。併せて、澤野医院記念館を市景観計画に定める景観重要建造物として指定する考えや、また、旧中村洋裁学院のように国の有形文化財として登録していく考えがあるかお伺いします。 |
次に、洋館の開放と記念館を景観重要建造物として指定する考えについてでありますが、澤野医院記念館の一般公開に当たっては、保存のための措置や建物の安全性を確保した上で、県の建築審査会において、歴史的建築物として、建築基準法の適用除外施設とすることの同意を得ておりますが、この手続の際、洋館と渡り廊下を除いた病棟と居宅部分のみを資料館として一般公開できることとなった経緯があります。世話人会の皆様からも洋館の公開を望む声が寄せられておりますが、かつて公開が病棟と居宅部分のみになった経緯を確認し、建築基準法等の基準に照らす中で、洋館の公開の可能性について関係機関へ打診するとともに、公開する意義、内容などについて世話人会の皆様と検討してまいります。 また、景観重要建造物に指定することについては、袋井市景観計画では、市民に親しまれ、地域のランドマークとなるなど、良好な景観の形成に寄与する重要な建造物及び樹木を景観法に基づく景観重要建造物や景観重要樹木に指定する方針を定めています。この方針に基づき、本市の景観アドバイザー会議において指定候補を検討していただいており、これまでに旧中村洋裁学院を景観重要建造物に、法多山のスギ並木を景観重要樹木にそれぞれ指定してまいりました。澤野医院記念館についても、景観アドバイザー会議において、その価値や意義について高く評価され、指定候補となっておりますことから、旧東海道沿線における景観資源を生かしたまちづくりの展開に向けて、景観重要建造物として早期に指定できるよう調整を進めてまいります。 また、国の登録有形文化財への登録につきましては、文化財保護法に定める登録基準として、地方公共団体が指定しているものを除くとされており、これは、文化財の体系分類上、登録文化財に比べ、指定文化財のほうが保存の意味合いが強く、指定という行政行為により保存していく貴重な物件であるとの位置づけであると考えられ、既に市の指定文化財となっている澤野医院記念館は登録基準に該当しないものであります。 |
5点目、展示品及び展示品以外の澤野家の収蔵物の整理について、現在どの程度までできているのか、その進捗と今後の収蔵物整理の進め方についてお伺いします。 |
次に、収蔵物の整理と今後の進め方についてでありますが、開館20周年を迎えた令和元年に、世話人会の皆様の御協力を得て収蔵されていた資料について、専門書などを丹念にひもときながら用途や名称を調べ、医療器具などの展示を充実させており、来館者からは、開業当時そのままの建物や医療器具、調度品などによって、実物の持つ迫力と歴史の重みが感じられるとの評価をいただいております。 開館当時に作成した収蔵品台帳では、1,488点の資料が整理されており、その後、世話人会の皆様の努力により、令和元年以降、新たに未整理の収蔵品約500点について、写真撮影と名称、番号付けなどを行っていただいたところであります。 今後は、残りの収蔵品の整理方法や集客につながる効果的な活用方法について専門家からのアドバイスをいただきながら、世話人会の皆様と一緒に検討してまいりたいと考えております。 |
最後、6点目ですが、来館者を増やすため、あるいはリピーター客を増やすために、文化財などで考えている施策についてお伺いしたいと思います。 例えばジオラマや巡回博物館の実施、展示、SNS、VRによる紹介、市内の小学生が学ぶ昭和の暮らしなど、さらなる澤野医院記念館での充実した展示をしていく考えはないかお伺いして、以上、質問とさせていただきます。 |
次に、澤野医院記念館の来館者を増やすための施策についてでありますが、来館者からは、開業当時の建物や医療器具、調度品などによって、実物の持つ迫力と歴史の重みが感じられるとの評価をいただいておりますことから、医療や健康にまつわる講座や小学生を対象とした昔の暮らし体験など、教育分野での活用に取り組んでまいります。 また、本市の文化財においては初めての試みでありますが、来月から、民間会社の協力を得て、VR技術を用いて、澤野医院記念館内部の様子を紹介するサービスを開始いいたします。これにより、公開できていない洋館部分を含め、どこにいてもその場にいるかのように、館内の様子を見ることが可能になりますので、記念館の魅力の発信通じた来館者の増加、小学校等での郷土学習の充実にもつなげてまいりたいと考えております。 また、世話人会の皆様からは、地域の子どもたちへの読み聞かせの場としての活用やコンサートの開催、施設にある市内出身の書道家、川村驥山の書などの活用について御提案をいただいておりますことから、意見交換しながら、多くの方に来ていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。 以上であります。 |
一問一答 | |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 澤野医院記念館について、教育長からそれぞれ前向きな答弁をいただいたと思っておりまして、今日も、世話人会の皆さんが傍聴においでいただいておりますが、恐らく心強く感じられたんじゃないかなと思います。 その中で一番、私、これはぜひともと思ったのは、施設を景観重要建造物に早期にしていきたいという答弁でありました。私、ここで確認したいのは、ぜひともそれをしていただくのと同時に、国の登録有形文化財、私ども素人考えだと、旧中村洋裁学院さんが、市の指定と併せて国の登録があるんんですよね。国は登録したものですから、その後、市ということになると、両方、いわゆる名前をもらえる、ネームバリューがつくということですね。今度、川井の澤野医院記念館の場合は、市の指定を平成11年に受けたわけですが、国の登録有形文化財の指定をいただければ、国も登録されているよ、市もということなると、これはまたネームバリュー、価値が上がりますし、まさに、いわゆる景観重要建造物の定義の中で優れたデザインだとか、地域のランドマークになる建造物だとか、そういうようないろいろなものに合致すると思うんですが、国のほうが上だという認識が私どもはあるんですが、そこら辺について、教育長、どのように考えるかお伺いしたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 鈴木教育長。 ○教育長(鈴木一吉) 大庭議員の御質問にお答え申し上げます。 確かに市の指定と国の登録という形になると、一般の受け止め方だと、国のほうがある意味、上位かな、プライオリティが高いのかなというような御認識もあろうかと思いますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、文化財保護法の中で、登録有形文化財につきましては、公共団体が指定しているものを除くということで明文化をされております。これは私ども考えますに、登録と指定という分類が違いまして、指定のほうがある意味プライオリティが高いんだということの位置づけに文化財保護上なっているものと理解をしております。法律上、市の指定になっているものについては登録有形文化財を除くということになっておりますので、これをなかなか覆すのは難しいものが現実かなと思っております。私どもの指定文化財としての位置づけをさせてもらっておりますので、これが、先ほどのランドマークというようになるように、それから、景観法上の重要建造物になるように検討させていただきまして、より多くの方に知ってもらう、そういう形で活動をしていって、澤野医院記念館の価値を高めていきたいと思っております。 以上でございます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 教育長がおっしゃったとおりで、文化財保護法の57条にはそういうように記載してあるんですが、一般国民というか、市民にしてみると、国の冠をつけていただいてネームバリューを上げていただいたほうがいいんじゃないかなと思います。言い換えれば、国の指定以上に価値のある澤野医院記念館だということを、今後、先ほどの答弁の延長線上にさらに肉づけをしていただきたいなというように思いました。 その中で、5点目の進捗状況というところでありますけれども、これから、今まで1,488点が整理されて、500点がその後やられたということであります。私の側聞する範囲ではまだやらなければならない、また、整理しなければならないものがあると聞いていますけれども、そこら辺の進捗状況はどうなのか、再度お伺いしたいと思います。 |
○議長(戸塚哲夫) 城内教育部長。 ○教育部長(城内 優) 1,488点と約500点以外にもあるものをどう整理するかという御質問だったかと思います。 まだ整備するものが存在しているというところはお聞きしておりますので、また、その辺の整理の仕方とか、例えばどのように展示をしていくことができるのかとか、そういうところについても、世話人会の皆様と私ども文化財のほうの担当ともしっかりとお話をする中で、どういう形が一番いいのかというところを考えてまいりたいと思っております。 以上、答弁させていただきます。 |
○議長(戸塚哲夫) 大庭通嘉議員。 ○20番(大庭通嘉) 最後の質問になろうかと思いますけれども、(6)のリピーターを増やす施策ということであります。 私、実は、この記念館の件については、平成13年、あるいは平成23年に質問しているんですが、当時、戸塚教育長の答弁は、いつまでも同じものを展示しておくということのないように、展示の充実、そして動きのある展示、こうしたものをする中でPRを努めていかなければならないという答弁だったです。平成23年2月の答弁では、コバヤシ、当時の教育長が、小学校が総合学習等の利用や幼稚園の子どもたちに本の読み聞かせ、また、歴史文化館、郷土資料館、近藤記念館等々の展示物の巡回展も考えたいということでありました。なかなかそれが実現できていないということで、今回、鈴木教育長の答弁が大きく飛躍、成果を上げていただきますように期待しております。決意を込めて一言、要望だけではいけないと議長から冒頭言われましたので、教育長から、御決意を含めて御答弁をいただきたいと思います。 以上とさせていただきます。 |
○議長(戸塚哲夫) 鈴木教育長。 ○教育長(鈴木一吉) 大庭議員から、決意ということですので御答弁をさせていただきます。 実は、私も、澤野医院記念館横の袋井西小学校の卒業生でございまして、私の在学当時には、まだ澤野先生が診察を行っていたということで、鮮明に記憶をしております。そのような歴史を刻んできた貴重な建物が袋井市にあるということは非常に価値のあることだと思いますし、多くの方に知ってもらうということはやはり必要かなと思います。文化財保存活用地域計画で、守り、活かし、そして伝えるということ、つまり、守っていくためには、やはり伝えて、生かす活用をしないと守っていくことにはつながらないんだろうと思っています。先ほど、歴代の教育長さんがいろいろな御答弁をさせてもらったと思いますけれども、活用方法も恐らく時代によっていろいろ変わっていくことがあろうかなと思っています。来月からVRで中の様子を見られるようなことになりましたし、今もICTを使って様々なPRができることも近代的な取組から現代的な取組だろうと思っています。具体的な策はまだまだこれから検討していかなければいけないと思いますけれども、この貴重な財産をやはり守っていく、そして、新たな担い手がやはりつくられていくというような仕組をつくっていくことこそが、今の私たちに与えられた責務かなと思っていますので、その決意を持って、これからも様々な形で活用、保存に努めていきたいと考えております。 以上でございます。 |
○議長(戸塚哲夫) 以上で、20番 大庭通嘉議員の一般質問を終わります。 |