錬心館館長 大庭通嘉(錬士6段)
全剣連社会体育指導員
C級スポーツ指導員
平成13年度、袋井錬心館20周年の節目を迎えるにあたり、これまで道場の運営を支えて戴いた諸先生、学校、後援会、剣友の関係皆様にあらためて心より感謝、御礼申し上げます。
振り返れば、昭和57年4月、袋井市の体育館剣道場にて剣道を愛好する大人だけの稽古会を定例的に開催しておりましたところ、見学された一部のご父兄から、「是非ともうちの子供にも指導して欲しい」との強いご要望があり、これをお受けした事がきっかけとなってスタート致しました袋井体育館剣道教室、(途中名を改め「袋井錬心館」)も人の年に準えて成人式を迎えようとしています。
当初、袋井剣道連盟の事業として、辻本先生と私が中心となって週1回程度の稽古日を前提に、複数の指導者の応援を戴きながら指導にあたるとの申し合わせでスタートしました教室でしたが、仕事上の関係から、支援戴く指導の先生方も減少し、反面、子供達の為に少しでも質の高い教室運営をとの思いから、稽古日を週2回に増やすなど手探り状態の中、ただひたすら道場に通ってくれる子供達の技術の向上と、成長を願っての運営に務めてまいりました。
また、この間、初代館長辻本先生の恩師、市川彦太郎(元静岡市在住範士九段)先生からは道場名として「錬心館」の命名を、そして手拭い用の御揮毫に、稽古を通じ和を重んじるとの意味を込め「交剣知愛」というお言葉も戴きました。さらには、道場訓として「錬心館三つの誓い」として
一、剣道で心身を鍛えしっかり勉強をしよう。
一、親兄弟を大切に友達と仲良くしよう。
一、交通ルールを守り事故をなくそう。
の三っの言葉も戴き、稽古日には文武両道を目指し毎回この「誓い」を子供達に唱和して貰うとともに、一方、指導する私共にとりましても「三つの誓い」は明確な道場の指針として、常に意に体し指導してまいりました。
さて、道場運営の20年を振り返ってみて、子供達と共に歩んできた思い出が今走馬燈のように浮かんでまいります。
当初は体育館剣道教室の道場名の通り市体育館剣道場で行っておりましたが、入門者の増加から当該道場が手狭となり、北小、西小、東小、パイオニア、袋中などいろいろな施設を変えながら稽古をしてまいりました。役員の皆様にはその都度稽古場の確保をして戴き、大変なご苦労を掛けてまいりましたが、これも今ではむしろ良き思い出となっています。また、春野の山の家や天竜での合宿、そして春野の皆さんを招いての同笠海岸での地引き網、東京武道館での全国錬成大会出場、さらには妙日寺や油山寺での合宿等々思い起こしていけば枚挙にいとまがありません。
この過ぎ越しこれまで、本当に多くの皆様の支えを戴いての20年間でした。まさに「感謝」の一語に尽きます。発足当時から共に汗してきた辻本先生は良き先輩、良き剣道の友としてご指導戴きました。
また、多くの先生や剣友皆様にも大変お世話になりました。家族の理解や協力があったことは言うまでもありません。継続は力言いますが、この前提として私自身健康にも恵まれたということです。すべてに「感謝」したい気持ちです。
そして何にもまして有り難かったこと、それは何と言っても子供達と後援会の皆様に恵まれたと申し上げても過言ではありません。初代内藤後援会長をはじめ歴代の後援会役員、そして素晴らしい子供達に恵まれ、そうした皆様の献身的なご支援やご縁が今日の錬心館を育てて戴いたとものと確信しています。
とくに我が道場の誇りは、錬心館で学んだ教え子が指導者として道場に戻ってきてくれていることにあります。これまで私自身常に「大人になったらみんなが錬心館の先生」と言い続けてまいりましたが、今日それが現実のものとなりつつありますことは指導者として至上の喜びです。
いずれにせよ、剣道は我が国古来の伝統と文化に培われた武道であり、この伝承と発展を図り「剣道の理念」に基づき、心身の錬磨による人間形成を通じ、我が国の発展に寄与していくこと、このことが今に生きる剣道人の務めであると考えます。私共にご指導して戴いた市川範士曰わく、
「剣は心なり 心正しからざれば 剣また正しからず
剣を学ばんと欲する者は まず心より学ぶべし」
との島田虎之助先生の言葉を引用して10周年記念講演でお話して戴きましたが、常に勝負に一喜一憂するのではなく生涯剣道といわれるように、一生かけて修行していくものと考えます。錬心館の館旗の文字は「和」ですが、この言葉は人と人の「和」はもとより自らの心を「和」するという意味が込められています。その為にも周りと調和し、礼節をもって「技」を錬り、そして錬心館にふさわしく「心」を錬ることこそ大切だと考えます。
どうか錬心館にご縁を戴く多くの皆さん、「20周年」この節目を契機に一層剣道を愛し、「忠(まごころ)恕(おもいやり)」の精神で剣道を通してこれからも「出会い」「学び」「支え合い」子供達共々に成長させて戴く魅力ある道場にしていこうではありませんか。
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