視察報告


大庭議員は平成14年4月14日より電機改革フォーラム主催による欧州視察研修でイギ
リスおよびイタリアに視察団の副団長として行ってきました。
イギリスでは行政改革を、またイタリアでは環境行政についての視察をしてまいりました。
環境問題については既に日本の方が進んでいることから今回はイギリスにおけるベストバ
リュー(行政評価)についての概要を報告します。

「キーワード」  challenge、challenge、more challenge

「結論)イギリスにおける行政評価(ベストバリュー)は、イギリス病脱却からはじまったもの
で、手法としては日本のQC手法、ISO導入にも似た(plan-DO-CHECK-ACTION)制度の
導入で、きめ細かに市民ニーズを把握し、あくなきサービスの向上を目指していくものです。
 日本に学んだとの説明がされましたが、徹底したGHALLENGE精神には驚かされると同
時に、日本が欧米に不況の活路を求める以前に、これまで進めてきた手法を評価し、自信を
もって足下の課題をもう一度見直す必要性を感じました。

電機改革フォーラム議員団第3次海外事情調査団報告書
    英国に地方行政政策評価のあり方を学ぶ

                              市議会議員  大庭通嘉


1.視察期間     平成14.4.14〜平成14.4.22  9日間                       

2.視察者(団)    電機改革フォーラム議員団第3次海外事情調査団募集 15名
                                              
3.視察者内訳    市議会議員12名 町会議員2名、随行1名 旅行社3名    計 18名
                                
4.視察目的     全行程9日間
          初日移動
          @1日目
           ロンドン
            ・環境交通地域省訪問  行政の説明と意見交換
            ・監査委員会訪問  システムの説明と意見交換
          A2日目
           ロンドン
            ・政策改善開発協会 担当者によるセミナーと討議
            ・ニューハム・バラ市議会訪問
             ベストバリュー政策のモデル的役割果たしているバラ(行政区)の説明と
             意見交換
            ・政府組織関係者を交えての夕食・研修
          B3日日
           ハンプシャー市庁舎訪問
            ・行政計画の説明を受けて地方議員と意見交換
            ・元ハンプシャー総督夫人と前議長夫妻と交流
          C4日目
           ・ボローニャ市庁舎訪問
            ・都市環境計画の説明を受けて意見交換
          D5日日
           SEABO社訪問
            ・ボローニャ市が委託している民間リサイクル会社
           ARPA本社訪問               
            ・エミリアロマニャ州民間リサイクル組織訪問・意見交換 
          E6日日
           ベニス
            ・州の都市計画と一体化した風景計画都市の視察
           以降 移動

5.結果

  (報告書の一部抜粋)

ハンプシャーを訪問して

 英国視察の3日目、今日はベスト・バリュー政策について仕上げの研修をすべく、地方自治体、とりわけ
県レベルにおける推進状況調査を目的として、ロンドン郊外のハンプシャー・カウンティ(県)・カウンシル
(議会)に向かった。
 朝8時、ホテルを出発。ロンドンに春を告げる桜や緑豊かな牧草地帯に放たれた牛や羊を車窓に見なが
ら一路高速道路をハンプシャーへ。今日は、我々調査団に加え電機本部より労働事情調査の為、英国に
派遣されている研修生、川崎、井上、松尾、3氏らも同行してくれている。
 10時、2時間の行程でハンプシャーに到着。庁舎の会議室に案内された我々一行を、カウンシル(議会)
の県副知事にあたるピーター・ハチソン氏、政策推進担当のペニー・バランダ女史、図書館におけるベスト・
バリュー推進担当の副図書館長のジョーン・ダニー氏ら3氏が出迎えてくれた。
 冒頭ハチソン氏の歓迎の挨拶に続き、早速バランダ女史よりハンプシャーにおけるベスト・バリューの説明
を受けた。
 そもそもベスト・バリューとは、英国の全国の標準値や評価指標を使って、相対的な優劣を判断し、各自治
体が、現状でどのくらいの量と質の行政サービスを手がけているのかを自己評価していくものである。
 英国の監査委員会が行政サービスの種類ごとに細かな評価指標つくって公開しており、自治体間比較が
一目でわかるようになっている。例えば義務教育の水準を見るには「児童数30人以下の学級の割合」を調
べれば少人数教育がどの程度進んでいるかわかる。2000年4月より全自治体で一斉にはじまっており、政
府がベスト・バリューの「パイロット(先導)自治体」を37募集、選定しているが、今回視察先となったハンプシ
ャーも、既に3〜4年前からの取り組みと言うことで、まさにパイロット的ベスト・バリューの先進自治体といえ
る。
 女史の説明によると、このベスト・バリューの為に3人が派遣され、どれだけの仕事を対象としていくか選定
し、項目ごとに5年後の目標値を定め10段階の評価をしていくということであった。10段階のタイトルは@準
備A範囲B計画C賛成同意D再調査E支出協議F進捗報告G再調査H選択評価I終結となっており、そ
れぞれのステップに評価チームを付け5年後にどのような結果になるかも検証している。常に住民の意見を聞
きながら計画を策定し、評価も第3者が実施するなど、厳しいものとなっている。さらには雑誌やインターネット
(www.hants.gov.uk/hcc/)などで住民に情報提供をしている。ベスト・バリューの対象としては警察、救急、医
療は除かれているとのことであった。
 しかし、ベスト・バリュー導入にあたっては情報過多、繁忙感、等評判は決して良いものばかりではなく2年
間の推進の中でさらに12の問題点を整理した。結果、住民に参画して貰う。特に主要メンバーはスタート時点
から参画する。議会の参画や目標設定の明確化などこれらを整理してみてベスト・バリュー、レビュー・サイク
ルの必要性を確認したとのことだった。これは、日本の管理サークル(PLAN−DO−SEE)に類似したもので、
Preparation Stage=準備段階、Consultasion Stage=協議・諮問段階、Implementation Stage=実行段
階の大きく三つに区分けし、このサークルを回転していくというものだった。要するに第一段階で基本計画を立
て、質の高い目標を設定し、議会の承認を得、第二段階ではどのような情報が必要か、ボランティア、エンドユ
ーザー、担当者、議会とも協議していく。さらに第三段階、具体的に実施していくとのことである。尚、女史から
はこの手法は今はじまったばかりだが評判も良く成果を期待しているとのことであった。いずれにせよ、ベスト・
バリューとは何か、なぜやるのか、など繰り返し理解を得ていくきめ細かな推進の必要性も強調されていた。
 女史の説明の後は、実際、図書館で運営にあたっているジョーン・ダニー氏より図書館におけるベスト・バリュ
ーについての説明があった。
 氏によれば、ハンプシャーにおける図書館は54カ所、ブックモービル19台、その他学校図書556カ所、刑務
所2カ所をスタッフ771名(内常駐531名)28億円の予算で運営しているとのことであった。
 年間これらの図書館にて1160万冊の貸し出しをし、100万件の問い合わせ、さらには750万人の利用者が
いるとのことである。これら図書館に3.4億円を予算化し275台のパソコンと人材養成をしていくとのことである
。評価指標の中で一人あたりの蔵書冊数や開館時間が基準を達していない施設もあり、ベスト・バリューにて
2001年アクションプログラムを策定中とのことだった。
 ベスト・バリュー評価範囲は、@アクセス(開館時間、モービル図書館)のあり方、A効率性(図書館内の業務
効率)の検証、BIT(インフォメーション・テクノロジー)の利活用で利用者とのネットワークはうまく行っているかな
ど3点を対象に、スタッフ、議員、市民等ワーキンググループを編成し、情報収集している。これらにより、高齢者
が図書利用できにくい、子供がいて図書館にいけないなど有意義な意見が集約されている。
 ベスト・バリューの結果として、孤立している人たちを対象にしたサービスの平等性向上、効率改善による市民
サービスの向上、IT充実による市民サービス、蔵書範囲と供給のスピード化など行動計画が挙げられた。現在
これに向け推進中とのことであった。
 いずれにせよ、我々が調査した英国のベスト・バリュー、とりわけハンプシャーにおける推進状況の一端を報
告させていただいたが、要するに
@現在のサービス内容の評価
Aサービス向上目標と達成計画の設定
B計画達成度合いの内部、外部監査
C目標を達成できなかった場合の政府の指導・介入
 この繰り返しが手順となっており、5カ所目となった今回のベスト・バリューの研修の締めくくりに相応しい良い視
察となった。ここは豚のハンプシャー種で有名な土地柄でもあり終了後、役所前の豚のモニュメントを囲み、一同
記念撮影をしハンプシャーを後にした。
 この日、昼食には元県知事夫人「アン・スコット婦人」邸にも立ち寄り、英国の家庭の家の造り、レイアウト、飾り
付けなども親しく見学させていただくと共に、婦人とその友人達の手作りの昼食も用意していただき、おいしい食
事に舌鼓をうちながら談笑することが出来た。まさに電機の企画ならでは心の通う視察研修であった。

(ハンプシャー) 英国、イングランド南部、イギリス海峡に臨む州、北部はダウンズと呼ばれる丘陵地帯。
          南部は盆地をなす。羊、豚の飼育が盛ん。州都ウィンチェスター。3777Ku。約160万7千人。




                                   記 袋井市議会 大庭通嘉
 

写真集より

ハンプシャー市庁舎訪問 ハンプシャー豚のモニュメント前
監査委員会視察 ARPAにおいて団を代表し記念品贈呈
シーボ社訪問 ゴミ収集BOX前

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