「1830」をプレイするとき、ゲームをプレイする上での目標というか目指すものは人によっていろいろとあると思います。
ただ勝利のみを目指す人や、
順位を上げることを目標にする人、
または自分の理想とする路線を引こうとする人や、
誰よりも多くの配当を目指す人、
かと思えば他人にダメージを与えることを目指している人などもいます。
そして、出来るだけ多くの会社を経営しようとする人もいるのです。
「1830」の面白さは会社の運営にあるといってもいいでしょう。
もちろん Stock Roundも重要です。(「1830」がこれほど面白いのは Stock Roundがあるからなのは間違いありません。)
しかし、会社の運営の方がより重要であるといえます。
ですから、1社よりは2社、2社よりは3社と、より多くの会社を運営する方が面白く、「1830」をより深く味わうことができるのです。
そして、数多くの会社を運営した経験が1番豊富なこの私が、多社経営の奥技の一端を見せてさしあげようという訳です。
まず、多社経営をするための条件というのがあります。
それは、破産を避けるプレイヤーとゲームをするということです。
(最近では、私達のサークルでこの条件を満たすことは不可能に近くなっておりまして、3社経営も困難な状況です)。
他人に会社を渡すぐらいなら破産してやる…、
というようなプレイヤーが過半数を占めるような環境では、2社が限界になってしまいます。
また、自分が不利な状況で、他人がおいしい事をしているをしているのに耐えられない、それくらいなら破産してやる…、
というようなプレイヤーとゲームをして、多社経営をしようものなら即座にゲームが終わってしまいます。
- そうではなく、
- 自分の順位を少しでも上にするため破産などとんでもない
- というようなプレイヤーとか、
- 危なくなった会社は早めに他人に押し付けて自分はもっと安定した会社に乗り移る
- というようなプレイヤー、
- 他人に魚雷を放つのが大好きなプレイヤー
がほとんどという環境であれば、3社といわず4社、5社も夢ではありません。
破産をしたがる危ない人を避け、自分の順位を上げることを目指す健全な人達だけという理想的な環境でプレイする時、目指すはもちろん3社以上の運営です。
3社以上の運営、それは目にしたことのない人にとってはどういうことが起こるのか判らないかもしれません。
また、それをやったことのない者には、その経営の難しさは判らないと思います。
なにしろ健全な会社が3社も手に入るはずがなく、そのうちの最低1社は息絶える寸前というのが当たり前の状態です。
健全というか「5」、「6」の列車を手に入れられる会社は1社位で、あとは金がないのに「D」になるのを待っているというような状況で運営し、他のプレイヤーには「こんな会社いつやってもいいんだ」というような威しを掛け、何とか破産せずに「D」を会社の数だけ手に入れる、まさに綱渡りの運営です。
しかし、このどん底を抜け「D」を手に入れて、自分の会社の株を全て50%以上保有できた時、全てが逆転します。
それまで無配を続けていた会社が全て配当に転じ、多社経営でなければできないような(プレイヤー全員が同じ目標を持てば別です)夢の様な路線を「D」が走って行くのです。
そして、数字の列車では不可能な額の配当を出し続け、ゲーム終了時には株価の差など問題にしないような現金の差をつけて勝利を掴むのです。
苦労は多いが楽しみはもっと大きい、それが多社経営なのです。
私の経験を言うと、5社経営は2回やった記憶がありますが(3回やったような気もします)、
どちらも破産すれすれを何とか切り抜けて2回とも勝利しています(もっとも最終結果がでるまで勝ったとは思いませんでしたが)。
4社経営は回数の記憶はありませんが、銀行破産で終わったゲームでは全て勝っています。
しかし、3社経営では銀行破産まで行ったとしても、勝てるかどうかは五分五分だと思います。もっとも2回に1回は勝てるという言い方もあります。
成功しさえすれば勝利は手に入るのです。どうです、あなたも多社経営をやってみたくなりませんか。
それでは、どうやって3社以上を手に入れるのでしょう。
その第1段階がプライベートカンパニーです。
私の経験では、B&O($220)とSVN&RR($20)を手にしてはいけません。そして、可能ならばC&Aを$200以下で手に入れたいものです。
これは理論的なものではなく単に私個人の好みに過ぎません。しかし、私ほど多社経営が得意な者はいないのですから、その私の好みということは多社経営の極意の一つといってもいいのです。
次にどの会社を起こすかということですが、
C&Aが手に入っていれば当然PRRです。
しかも$67で起こすのが一般的です。
特に「4」の列車の購入が確実な場合、$67以外の値段を付けてはいけません。
「4」の列車を購入してC&Aを$320で引き取らせトークンを1つ置くと、ほら会社にはもう$10か$35しか無いではありませんか。これで次のストックでは安心して4株売ることが出来るのです。
そうすれば手元には最低でも$631の現金があるはずです。そして、その金で次の会社を起こし、できれば3社目にも手を付けてしまいましょう。$670あれば2社目を$67で起こし、3社目に$67で手を付けることが可能なのですから。
もし、3社目に手を付けるには現金が少なかったり、3社目が無かった場合には、その余った金で経営の破綻しかかった会社の株を20%以上買いましょう。
前にも話した健全なプレイヤーであれば、その会社をすぐにも手放してくれるはずです。
そして、なかなか手放さないようであれば少しだけ説得をしてみましょう。
その会社がどれほど危ない状態であるか、
今、手放さなければ列車が無くなった時にどうなるか…、
を教えてあげるのです。
そうしたら、しつこく説得したりせずに、相手にも考える時間を与えなければいけません。
少し考えればその通りであることが判るはずですから。
それでも駄目な場合は、次のストックに期待をかけるか、他の危ない会社に手を出してみましょう。
そうしていけば3社目も手に入ることと思います。
そして次々と危ない会社の株に手を出していけば、相手の機嫌を損ねない限り会社が手に入るはずです。
しかし、世の中にそんなに危ない会社が転がっているはずも無く、自分のものになる会社にも限りがあります。
しかし、少なくとも1社か2社はそういう会社があるはずです。
また、危ない会社はその危機を回避するために無配を始めたりします。そして、無配をしてある程度資金が出来た会社を手放してくれるような心優しいプレイヤーはなかなかいません。
ですから、そういう会社のプレジデントに安心感を与えるためにも、危機が表面化する前にその会社の株を20%以上持つことです。
こうしてプレジデントにいつでも会社を放り出すことができると思わせておけば、無配することも無く、配当をしてくれた上に会社を手放してくれるという、実に有難い行動に出てくれるのです。
具体的にどういう会社が危ないのか、危機が表面化する時期などは自分で経験すれば自ずと判るはずですので、ここでは触れない事にします。
さて、C&A以外のプライベートの時はどうするかというと、
M&Hであれば、1社目を起こす時期とその会社が異なり、株を40%も手放せなくなるのです。
また、他のプライベートであれば、最初に自分で会社を起こし、その会社を放り出して、次の会社を起こす事になります。
それ以後の展開は、どちらの場合もC&Aの時と似たような展開になります。
つまり、危ない会社の株に手を出していくのです。
こうして、目出度く3社以上を手に入れたなら、こんどは危機的な状態にある会社を運営していかなければなりません。ここからが多社経営の本番であり腕の見せどころなのです。
最低1つは健全な会社にして配当を続け、他の会社は(状況によりますが)無配を続け、「D」を手に入れる資金を作りだすのです。
「D」を手に入れるまでの間、資金を蓄えた会社を他人に取られないようにするため、会社は危機的な状況であり続けなければならなかったりしますし、かといって本当に破産してしまったのではなんにもなりません。
どうやってこの綱渡り的状況を乗り越えていくか、また、乗り越えたときにどれだけの配当が出せるかは、全てあなたの腕次第です。
それについてこの場で話すことは難しく、とても長くなってしまうと思うので止めます。何しろ、その場の状況を巧く掴んで最善の手を打って行かなければならないのですから。
周りのプレイヤーを説得したり、おいしい株を買ってみたり、列車を会社間でタライ回ししたりと状況次第で何をやるかが決まっていくのです。その状況をどう掴むか、それが全てだと思います。
さて、好き勝手なことを、これまた口から出任せに近い状態で話してきましたが、かなりの部分は、私の経験で物を言ったつもりです。
しかし、ここで話したことは全て、2年前までの経験です。
この1年間は3社持つのでさえ許されるかどうか判らなくなっています。つまり、3社持った途端に、それを許したくない者の破産によってゲームが終わってしまうのです。
それと同時に、周りの者が全て「D」に走り始めたため、1人で多くの会社を運営しなくても、「D」に相応しい大通し路線ができあがるようになったので、多社のメリットが少なくなってしまったのです。
しかし、最近、そんな「D」の路線を作るだけの、おとなしいプレイをしていると、心の中で何かが違うという声が聞こえてくるのです。
やはり「1830」をやるからには目指すは5社以上の運営ではないか…、そういった思いが最近、強くなりつつあります。ですから、そのうちきっとまた叫びだすでしょう。
「会社くれ!、金も列車も無くていい。紙でいいから会社くれ!」
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