『おらといっしょに ぱらいそさ いくだぁ』 −ああ、自己破産−


征夷大将軍

1830において破産はゲームの終了を意味する。これが銀行の破産で終れば多少の異義のある人もあろうが、ゲームは丸くおさまる。しかし、プレイヤーの破産は、破産したプレイヤー一人は胸にやりきれない思いを抱きながらゲームを終了する。点数計算をする他のプレイヤーを横目に見ながら彼の脳裏には様々な後悔がよぎる。−あの時、無配当にしてでも会社に金を入れていれば列車が買えていたのに、それからあいつを信用して20%以上株を持っていたのが間違いだった。もう2度と信用するものか−。このような思いを巡らせている彼に対して、勝者たちは非情である。彼らはこう言うだろう。『それであなたは何点になりました?』

私見ではあるが破産するプレイヤーには2通りのタイプがあると思う。一方のタイプは1位を目指して大バクチを打って出て、タイトロープを渡るかのようなプレイをしてその結果思わずロープから落ちて破産してしまうギャンブラータイプ。もう一方は他のプレイヤー達が熱いかけ引きをしているのをおろおろ見ている内にいつの間にか自分の前には列車の無い会社があるといったいわゆる『カモ』タイプとに分類できる。ギャンブラータイプは良くも悪くもハデに浮き沈みするので、勝つこともあるし、破産も自業自得といった割り切りをしている人が大半をしめている。ところがカモタイプはほとんどゲームの主導権も握れず、他のプレイヤーに翻弄されながら破産に追い込まれ、破産せずとも持ち株を吐き出させられ、ひどい時にはそうまでして列車を買った会社を乗っ取られる始末すらある。さらに他人を破産させて勝利を目指すタイプのプレイヤー(別に悪い事ではない、確かに堅実な勝利の目指し方の一つである。)に狙われたら、彼の運命やいかにという所だろうか。

カモタイプの大半は初心者であろうから、なかなかこういった地獄から逃れられないだろう。ではどうするか、そんな時は逆に開き直って破産する方へ突き進んでみるべきである。ただし、追い込んだプレイヤーの会社の株を買う、もしくは一番保有数の多い株を買いに走るのである。そしてオペレーションでの注意すべき点は、なるべく会社に金が残らないようにして間違いなく列車が買えないようにするという事に尽きる。こうして彼は破産するが、彼を追い込んだプレイヤーも株を売られて資産は目減りするわけで、たいがいこの手のプレイヤーは資産のわずかな差で勝を目指すためこの行為は彼の順位を変えうるものである。このように破産寸前のプレイヤーがあえて自ら破産するのを「自己破産」と呼び、ゲームをプレイする上での一つの戦法としてひろめたいと思う。つまり、プレイヤーの破産でゲームが終了するのなら、それを逆手に取ってネガティブな意味でのゲームの主導権を握ることが出来るわけである。こういった戦法を取っていけば、相手も破産に追い込むにあたっては慎重にならざるを得ないであろう。こうしてカモタイプのプレイヤーでも、その内に単なるカモではなく「ばくだんいわ」もしくはダイナマイトと思ってもらえれば、簡単に餌食にはされなくなるだろう。マルチプレイにおける一つの重要なファクター「相手になめられない」を手に入れるのだから。

こうして破産について、それすら武器にしてプレイする方法を説明してみたのだが、このようなやり方をしている内は1位にはなりにくいだろう(なれないとは言わない)。やはり経験を重ねて自分に合ったスタイルを見つけるのが一番だと思う。


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