夢忘れ物、叡電
 京阪が乗り入れるまで、
 大都会のローカル駅・出町柳は、
 独特の雰囲気がありました。
 1978年、パンタグラフに切り替わるまで、
 日本で最後のポール電車でした。

 元田中、茶山、一乗寺までは、
 家並みかすめる暖かさがあります。
 市原過ぎると、急勾配のモーター音。
 これが「叡電」の魅力です。

 出町柳を出た電車は、
 ほどなく、東大路で市電と交差。
 複線交差特有の、
 ガタガタガタガタの音。

 秋、とりわけ晩秋から初冬のたそがれには、
 もうすぐ師走恒例顔見せの南座に近い、
 四条京阪の京阪と市電の、
 どっか華やいだ複線交差とは違う、
 何かもの悲しい響きがありました。