花火の命は☆短くて
“ は〜んぱ〜な夢のひと〜かけ〜らが♪ ふ〜いに〜誰〜かを♪ ”
ピッ
若い世代では殆どの人が持っているのでは?と云う程に普及した携帯電話。
今では職場でも、携帯電話の着メロが鳴る事など珍しくなくなっている。
慣れとは恐ろしい物で、以前は顔をしかめていた 年寄り連中 上司たちさえも、
「それはチョットまずいでしょ」と、違った意味で眉をしかめたくなる様な
着メロを使っていたりする。
「もしもし〜、あ〜マイちゃん? うん仕事中、あ〜でも全然平気。」
この着メロの主はK君。 職場の後輩である。
携帯電話の普及に伴って取り沙汰されて来ているのがマナーの問題。
電車やバスの車内だったり、公共の場所で話すのはいかがな物かと思う。
仕事中も然り。 “今大丈夫?”と聞かれて“全然平気”は無いだろう。
これはマナーの問題であり、断じてK君を
ひがんでの事ではない。
そんな義憤(?)に燃えている私に、電話を終えたK君が話し掛けてきた。
「みずっちさん、今日5時とかで帰って大丈夫ですかね〜?」
『この忙しいのに5時で帰りたい? なんなら今すぐ土に還るか?』
「5時じゃなくても、今日ちょっと用事あって早めに帰りたいんですよ。」
『用事ねぇ? マイちゃんと江ノ島に将棋倒し大会でも見に行くってかい?』
「バレてるすか…。 まぁ江ノ島は歩道橋ないから大丈夫っすよ。」
『いや、むしろ下敷きになってくれた方が面白いんだけど。
あとマイちゃんも倉木麻衣かと思いきや、実は倉本麻衣だったりとか。』
「かと思いきやってのは、ど〜ゆ〜事すか。」
『倉木パパの嫌がらせだよ。 もしくは実は獅子舞とかでも面白いぞい?』
「なんで獅子舞と花火見に行かなきゃいけないんですか。」
『じゃあ ストレプトマイシン配合 とか?』
「…それって人間? ってゆ〜か生き物? ってゆ〜かストレプトマイシン配合って何?」
『K君に5時で帰られると、俺が花火に間に合うように帰れなくなるから駄目。
まじめに仕事してる俺が居残りで、仕事中なのに“全然平気〜♪”
とか言って電話してるK君が帰るんじゃ不公平でしょう?』
「それもあんまり公平な気がしないんですけど。」
結局仕事は手分けして、早く終わらせてなるべく帰ると云うことで決着。
時間の余裕もあまりなく、必死に仕事をこなしていたのだが…。
“ だから〜好〜きだと言って♪ て〜んしになって♪ そ〜してわらっ♪ ”
ピッ
若い世代では殆どの人が持っているのでは?と云う程に普及した携帯電話。
今では職場でも、携帯電話の着メロが鳴る事など珍しくなくなっている。
もちろん私の携帯電話だって鳴ってもおかしくはないだろう。
「もしもし、ま〜くん?あたし、ユウコ。まだ仕事中かな、今電話してて大丈夫?」
携帯電話の普及に伴って取り沙汰されて来ているのがマナーの問題。
電車やバスの車内だったり、公共の場所で話すのはいかがな物かと思う。
仕事中も然り。後輩にも注意した手前、ここで言うべき言葉は決まっている。
この忙しい最中に、私用で電話をしている訳にはいかないのだ。
『ううん、全然平気♪』
偉そうな事を言ったところで、我が身の事となると態度が変わるものなのである。
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