「The Game Theory」





What's Game Theory


ゲームと聞くと、多くの人はコンピューターゲームや、トランプ、将棋、囲碁、
あるいは野球やサッカーなどのスポーツを思い浮かべる事と思います。
じゃあ “ ゲーム理論 ” と言う位だから、「何かのゲームに勝つ為の方法?」
なんて考えるかもしれませんね。

ある意味では確かにそうなのですが、ゲーム理論における “ ゲーム ” は
もっと抽象化された、概念としてのゲームです。
意味合いから「相互関連的意思決定理論」等とも言えるのですが、簡単に
言えば “ 複数の主体の合理的行動とは何か? ” を考える学問です。

ゲーム理論は1944年、数学者のフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンの
共著『ゲームの理論と経済行動』を出発点とする行動決定の理論です。
ただ他の理論と根本的に違ったのは、複数の主体の行動を扱った点でした。
人はそれぞれが目的を持って、行動をします。 そしてその結果は、
自分のとった行動だけでなく、他の人のとった行動にも依存するのです。

したがって、他の人がそれぞれの目的を達成する為にとる行動を常に考慮に
入れながら、自分の行動を決定する必要があり、そこにゲーム理論の難しさと
面白さがあると言えるでしょう。

ゲーム理論はチェスなどに代表されるような、利害関係が完全に対立する
2つの主体の行動分析から始まりました。
野球やサッカーなどの得点を争うゲームはこの範疇に入ります。
このようなゲームは勝者の利得が+1なら敗者の利得は−1であり、
両者の合計が常にゼロになる為、“2人ゼロ和ゲーム”と呼ばれます。
また、利害が完全に対立する為に両者間での協力関係は成立せず、
“非協力ゲーム”と言う事も出来ます。

逆に“非ゼロ和ゲーム”で、プレイヤー間の利害が完全に対立しない場合は、
協力行動の可能性もあり、それを“協力ゲーム”と言います。
例えばドッジボールで、数人が結託して先に特定のプレイヤーを倒そうと
考えるような場合です。

ゲームばかりを例に挙げて来ましたが、このような状況はゲーム上の
話だけではなく、現実の社会に幾らでもあります。
テレビの視聴率競争や、商品のシェアや価格の競争、さらには国家間の
外交政策や、果ては軍拡競争、戦争なども本質的には同じ物です。
そのためゲーム理論はミクロ経済学をはじめとして、政治学、社会学、
生物学などの色々な分野に広がり用いられています。

もちろんゲーム理論は数理的な理論であり、扱うのは「合理的な」主体の為、
常に合理的な行動をとるとは言えない人間にそのまま当てはまらない場合も
多々あるでしょう。 ですが合理性を限定したプレイヤーを想定するなどの、
新しい取り組みも生まれており、成果を上げています。

ここでは可能な限り数式や抽象的な論理を避けて、具体的な例を挙げて
多少本筋から外れても面白く書いて行こうと思っています。




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