「LOVE論」





Introduction

※ リチャード・ドーキンス氏による「利己的な遺伝子」説は、生物学における
 主流の学説ですが、あくまで「学説」であるという点をご理解ください。

人間が恋愛感情を抱く理由と云う物を、考えてみた事があるでしょうか?
優しいから、格好良いから、あるいはお金や名声を上げるかもしれないけれど、
その条件を満たしているからと言って、同性に恋愛感情を抱く人は少ないはず。

そんな事はあたりまえだって? じゃあそれらの条件を満たした異性で、
例えば父親兄弟に恋愛感情を抱くでしょうか? 逆に同性愛者は
なぜ異性に興味を示さないのか、ちゃんとした説明が出来ますか?

これはもう “そういう風に出来ているから” としか言い様がありません。
これでは全然答えになっていないませんが、人間の設計図とも言うべき
“遺伝子”にその様にプログラムされているからなのです。

ドーキンス氏曰く、遺伝子とは「自己複製」という目的のみを持つ存在で、
生物は遺伝子が自らの目的の為に作った“乗り物”に過ぎません。
つまり生物は遺伝子の複製、〜 子孫を作る事 〜 を目的として作られた
遺伝子の“乗り物”だと言うのです。 本来の目的が遺伝子の複製ですから、
子孫を残せる対象にのみ恋愛感情を抱くように出来ているという事です。

遺伝子の複製を作る役を担った生物は、常に淘汰にさらされて来ました。
長い淘汰のなかで、利己的な振る舞いをする遺伝子が勝ち残ってきた為、
氏はそれを“Selfish Gene”(利己的な遺伝子)と呼びました。

もちろん利己的と言っても、遺伝子自体が意識を持って利己的に行動している
訳ではなく、物理現象の結果として、たまたま利己的な振る舞いをしている
“ かのように見える ”性質を持った遺伝子だけが、生き残って来れました。
そして遺伝子の持つ利己的な性質は、人間の性格や行動にも大きな影響を
与えています。 それが俗に “ 本能 ” と言われている性質です。

本能は言わば“遺伝子の都合で生物に与えている衝動”だと言えるでしょう。
ただ人間は非常に利口で、「自分の行動の意味を考える」珍しい生き物です。
また他の動物の脳が“辺縁系”(主に欲求や感情を司る)の比率が大きい
のに対し、人間は“新皮質”(主に理性や記憶を司る)が大きくなっています。
だから必ずしも本能(現在はあまり本能との呼び方はしませんが)のままには
行動しません。 ですが、無関係と言う訳ではないのです。

例えば暗闇を恐れたり、爆発や閃光に身を竦めるのも、教わったせいではなく、
生まれ持った性質です。 嫌いな物を遠ざけ、好きなものを身近に置こうとする
事も、元をただせば生存の為に遺伝子が身につけた性質と言えるでしょう。

このコーナーではこうした性質や、心理上の陥穽を用いた、ちょっと風代わりな
恋愛論を展開したいと思っています。 もちろんベースとなる学説も
絶対に真実とは言いきれないですから、信じたくない方はそれで結構です。
ただ「今日のラッキーカラーは○色!」なんて占いよりは役立つと思いますよ。


※ 尚、引用している「Selfish Gene」説について等、記載内容に誤りがありましたら、
   お手数ですがメールにてお知らせ頂ければ幸いです。




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