小説
2002. 1/ 8




Summer Vacation


 七月。夏休みを一週間後に控えた土曜日の午後、
真夏の一番暑い時間帯にもかかわらず学生達が軽い足どりで如月駅を往来している。
熱されたアスファルトから陽炎がたちのぼり、暑さをいっそう強調している。
如月駅の工事現場でアルバイトをしている龍之介にとっては、まさに灼熱地獄といったところである。
 龍之介と唯が八十八学園を卒業して四カ月、付き合いだしてから半年が過ぎた。
 唯は自宅から看護学校に通い、龍之介はというと…相変わらずの生活であったが、
唯の影響を受け、看護士になろうと思いはじめてもいた。
 しかしそれ以上に重大な決意(?)が龍之介にはあった。
「唯を旅行に連れていく」というものである。
 その理由は二つあり、一つはゴールデンウィークにどこにも連れて行ってあげられなかった事、
もう一つの理由は二週間前に遡る…。
「ねぇお兄ちゃん、唯、夏休みになったら海に行きたいな」
「近場で日帰りだったら考えてもいいぞ」
「本当?じゃあ来週、水着買いに行くのつきあってね」
「まだ行くとは、言ってないだろ」
「なーんだ、つまんないの」がっくりする唯。
「そのうち連れてってやるよ」
「そのうちって?」
「来年…かな」
 というのが二つ目の理由である。
 素直に連れて行ってあげると言わないのが、龍之介らしいとこではあるが、
その胸の内には唯を驚かせつつ喜ばそうという考えがあっての答えかたであった。
 こうして龍之介の<夏休みに唯と旅行にいっちゃうぞ>計画が発動したのである。
 冬休みにも何度か働いた事のある工事現場だったので、今回もすんなり雇ってくれた。
 それと学生の時は時給800円であったのを、今回は時給900円で雇ってくれ、
更に一日十時間、二十日連続勤務で五万円のボーナスをくれるという、
おいしい話につられて工事現場でのアルバイトが決まったのである。



 その日の夜。
「お兄ちゃん、明日は唯と遊んでくれるよね?」
 夕食後、リビングでくつろいでいたふたり。龍之介が、ぼーっとTVを見ていた時、
最近ちっともかまってくれない龍之介(昼も夜も)に不満をもっていた唯が、とーとつに聞いてきた。
「悪いな、明日も駄目なんだ」龍之介は、しれっとした顔でそっけなく答える。
「お兄ちゃん、最近ちっとも唯と遊んでくれないね」唯が淋しそうな顔で問いかける。
「あと一週間ぐらいは忙しくてそれどころじゃないな」
「えーっ!あと一週間もー」唯がソファーの上で、ふてくされている。
「ところでお兄ちゃん、明日は何してるの?」
「な、なんだっていいだろ」ついどもってしまう龍之介。
 ここ数日、龍之介の行動が妙におかしいと感じていた唯は、やっとそれを確信したのである。
「お兄ちゃん、唯に何か隠し事してるでしょ?」
「なにいってんだよ、俺が唯にかくしごとなんかするわけないだろ」
 こういう時は、自然に振る舞おうとすればするほど、相手にとっては不自然に見えるものである。
(当然唯にも、龍之介の態度がものすご〜く不自然に見えたのである。)
「お兄ちゃん、他の人はごまかせても唯はごまかされないからね」
 いつになく強い口調の唯。しかし龍之介もゆずらない。
「なんでもないって言ってるだろ!」
 つい、カッとなって、怒鳴ってしまった。
「ひっ、ひっ、ひっく……あーん…お母さーん、お兄ちゃん浮気してるんだよー」
 唯は泣きながら、キッチンで洗い物をしていた美佐子のところへかけていく。
 これにはたまらず、龍之介もキッチンへ向かう。
「唯、なんで俺が浮気してるって話になるんだよ」
「だって、だってお兄ちゃん、なにか隠し事してるんだもん」
「してないっていってるだろ!」
「嘘だよ、絶対なにか隠してるよ」
「唯、俺の事が信じられないのか?」
「だってお兄ちゃん、ちゃんと唯の目を見て話さないんだもん」
 痛いところをつかれて、たじろぐ龍之介。
しかしここで折れたら、今まで隠れてことを進めてきたのが台無しになってしまうので、
 どうにか切り抜けようと知恵を絞る龍之介だったが、打開策が見つからない。
 しかたなく出てきたセリフが
「今はどーしても駄目なんだ。あと一週間したら全てわかるから、それまで我慢してくれ。
…それとこれだけは言っておくけど、絶対に浮気はしてないから安心しろ」
「…うん、わかった」
 結局、龍之介が隠し事を認めた形になったが、唯が納得したのでこの場は丸くおさまったのである。
 そして二人が二階に行った後、「ふたりともまだまだ子供ね」とつぶやく美佐子であった。



 あっという間に約束の一週間がすぎた。
 この一週間の間、唯も龍之介も先日の一件には全く触れないでいた。
 この日から唯は夏休みに入っていたので、一日中家にいて龍之介の帰りを一日千秋の想いで待っていたが、
九時を過ぎても龍之介は帰ってこなかった。
「お兄ちゃん、遅いなぁ」
「もうする帰ってくるわよ。少し落ち着きなさい」
 リビングと玄関を行ったり来たりしている唯に、いたって冷静に美佐子は言った。
「もう一回見てくるね」そう言って唯が玄関に行き鍵を開けたとたん、タイミングよくドアが開く。
「おかえり、お兄ちゃん!」そう言いながら唯は龍之介に抱きついた。
「な、なんだ、どーした唯?」さすがにこれには驚いたようである。
「あんまり遅いから心配したよ。それとね…」
「なるほどお目当ては別にありか…。まぁ、それは飯食ってからな」
 龍之介はそう言って唯を放すと、リビングに向かう。
 キッチンでは美佐子が食事の用意をしていた。
「龍之介くん、少し時間かかるから、先にお風呂に入っちゃってくれないかしら」
「うん、わかった。汗ベタベタで気持ち悪いから、ちょうどいいや」
「唯も一緒に入るね」
ふたり仲良くお風呂に入ること三十分。
「はぁー、気持ちよかった」
「やだお兄ちゃん、なに言ってんの」
「なにって、そりゃ風呂が気持ちよかったって言ったんだよ」
「ふたりとも、お風呂でなにしてたのかしらねぇ」美佐子がクスッと笑う。
「お兄ちゃんの馬鹿っ!」唯の顔が真っ赤になる。
 龍之介が食事をしている間、唯と美佐子はTVを見ていた。
 食べ始めてから十分後。
「ごちそうさま。あー、うまかった」
「お兄ちゃん、はやーい」いつにもまして早く食べ終わったので、唯が驚いている。
 龍之介が、食後の一服(龍之介はまだ未成年)などしていると、唯がとなりにちょこんと座った。
 龍之介が黙って煙草を吸いつづけると、たまりかねて唯が口を開く。
「ねぇお兄ちゃん、先週の約束覚えてるよね?」
「約束ってなんだっけ?」とぼけた顔をして龍之介が言う。
「もう、お兄ちゃんったら…」唯が頬をぷくーっと膨らます。
「冗談だよ」龍之介はそう言いながら大きめの封筒をテーブルの上においた。
「これなーに?」唯は封筒の中身をだしてみる。
 パンフレットやら切符やらなにやら、いろんなモノがでてきた。
「お兄ちゃん、これ…」
「唯、明後日から海に行くぞ…泊まりで」
「お兄ちゃん…」唯の目に涙が溢れる。
「そーか泣くほど嬉しいか」龍之介は満足そうに言った。
「ありがとう、お兄ちゃん…」唯は龍之介に抱きついた。
「どーしても唯を驚かせたくてな。黙っててごめんな」
「ううん…唯の方こそごめんね。お兄ちゃんのこと疑ったりして」
「いいんだよ…」龍之介は唯の頭を撫でた。
「よかったわね、唯」そういって美佐子は洗い物を始めるのであった。



「お兄ちゃん見て、海だよ」
「見えてあたりまえだろ、海の上飛んでるんだから」
 I島に向かう飛行機の中、唯ははしゃぎまくっていた。
「違うよ、I島の海が見えたって言ったんだよ」
「どの辺からI島の海なんだよ」龍之介があきれながら聞く。
「うーん、あのへん」唯はI島のまわりを指さした。
 龍之介と唯は、二泊三日の日程でO県のI島に向かっていた。
 行きの飛行機の中、子供のようにはしゃぐ唯を見て、連れてきてよかったと心底思う龍之介だった。
 空港に着き、そこからタクシーでホテルまで十五分。ビーチのそばのリゾートホテルにチェックインした。
 窓から海が一望できる、なかなか感じのよい部屋であった。
 水着に着替えて、その上にTシャツと短パンを着てから、二人はビーチに向かった。
 ビーチは若者で溢れていた。アベックで来ているのがやはり多いが、
ナンパ目当ての男のグループや女のグループなども結構目立つ。
 ビーチに寝そべって肌を焼いている娘や、波打ち際ではしゃぐ娘、今はやりのボディーボードをやる娘、
いろいろな娘がいたが (唯より可愛い娘はいないな)と心の中でつぶやく龍之介だった。
 そんな中、龍之介と唯は何をしていたかというと…ビーチボールで遊んだり、
ビニールの大きいイルカに乗って少し沖に行ったりetc…そこらの若者となんら変わりはないのである。
 そして三時間近く休む間もなく遊んでいた龍之介と唯は、少し休憩をとることにし、
龍之介が飲み物を買いに行った直後のことである。
「ねぇ彼女かわいいね。一人なの?」ナンパである。
「違うよ。お兄ちゃんと一緒だよ」
 八十八町や如月町で、しょっちゅうナンパされていた唯は、
さすがにこれぐらいのことではまったく反応しない。
「お兄さんのことはほっといて、俺達と遊ぼうぜ」二人組のナンパ野郎の一人が、
唯の腕をグッと掴んだ。
「やめて、放してよ。お兄ちゃんに言いつけちゃうからね!」
「俺達と遊んでくれたら、放してやるよ」唯の腕を掴んでるロン毛の男が、
そのまま強く彼女の腕を引いた。
 と、その時である、「おい、てめーら、唯に何ちょっかいだしてるんだ?」
龍之介が現れ、ロン毛男が振り向いた瞬間、その男の顔に龍之介の足がめり込んでいた。
この一撃で男はノックアウトされ、側に立っていたもう片方の小太りの男は震えた声で
「な、なにするんだよ、お、おぼえておけよ」と言い残しロン毛男を引きずりながら撤退した。
「お兄ちゃん、こわかったよー」唯は半ベソで龍之介に抱きついた。
「安心しろ。唯に近づく虫けらナンパ野郎は、一匹残らず退治してやるからな」
「うん…でもねお兄ちゃん、怪我しないでね」
「あったりめーだろ。俺様は無敵だ!…唯、これからは一人にさせないからな。
……心配だから」
「えっ、お兄ちゃん最後になんて言ったの?」
「なんでもねーよ」
「ずるーい、教えてよお兄ちゃん」
「聞いてなかった唯が悪い。それよりほら、ジュース買ってきたぞ」
「もう、そうやってすぐごまかそうとするんだから…」



 日も沈みかける頃まで遊んでいたふたり、ホテルに着く頃にはへとへとになっていた。
シャワーを浴び、食事を済ませた後、ふたりは浜辺に花火をしに行った。
「見て見てお兄ちゃん、きれいでしょ」
 側に座っている龍之介に、花火を持っている手を振り回しながら言う。
 ふいに龍之介が立ち上がり、唯を抱きしめる。持っていた花火もタイミングよく火が消える。
「唯……」
「お兄ちゃん……」
 ふたりは満天の星に見つめられながら、熱いキスかわすのであった。



 翌日、先に目覚めたのは唯だった。そしてベッドから時計を覗く。
「もう十時だ…」
 昨日遅くまで愛しあっていたので、まだ寝たりない唯であったが、
せっかく旅行に来ているので起きて遊びたいという気持ちの方が強かった。
「お兄ちゃん起きて!」
「…うーん、もうちょっと寝かしてくれよ」
「もう十時だよ。早く遊びに行こうよ」龍之介の体をゆすりながら言う。
「昼まで寝かせてくれよ。ただでさえここんとこ寝不足だったんだから…」
「うん、わかった。唯、先にご飯食べてくるね…」
 龍之介の寝不足の理由を知っているので、素直に言うことに従う唯であった。
 そして、唯が着替えて部屋を出ていった直後、昨日のナンパを思いだした龍之介は、
急いで唯のあとを追うのであった。
 唯を追いかけてホテル内のレストランに入ってきた龍之介だったが、
いくら探しても唯の姿が見えないので、ウエイトレスに
「赤と黄色のチェックみたいな柄の大きいリボンをした女の子入ってこなかった?」と聞いてみたが、
「いいえ、そのような格好をしたお客様は、見えておりませんが」と丁寧な返事が返ってきただけであった。
「唯の奴、どこ行ったんだ?」
 およそ見当のつくところは探しつくした龍之介は、いったん部屋に戻ってみたが、
そこにも唯の姿はなかった。
「戻ってきた様子はないな…」
 しばらく考え込んでいた龍之介だったが、何かを想いだしたように部屋をとびだしビーチに向かう。
 そしてビーチにつくなり、人混みに紛れ込んだ犯人を探す刑事のように、ある人物を探し始めるのだった。



「どーする?このまま戻ったらやばいせ」と泰男は言った。
「わかってるよ!」篤が怒鳴り返す。
「俺にあたったってしょうがないだろ」
 このままじゃまずいという事はわかっていた。だがどうしようもないという事もわかっていた。
「邦夫の奴、自分でやればいいのに…」泰男がぼやく。
「自分じゃ無理なのわかってるから、俺達にやらせてるんだろ。
自分は何もしないくせに、注文ばかり付けやがる。まったくやってられないぜ」
 陰では、文句ばかり言っている二人であったが、それでも邦夫には逆らえないのであった。
それほどまでに邦夫の存在は脅威なのである。
「これだけ探してもいないんだから、しょうがないよな」篤に同意を求めるように泰男が言った。
「邦夫が、しょうがないで納得すると思うか?」
「かといって、他にめぼしい女いないもんな…」泰男がうなだれながら言った。
「昨日、あの野郎が現れなかったら、今ごろこんなことしなくて済んだのに」と篤が言ったその時
「どの野郎だって?やっと見つけたぞ、てめーら唯をどこにやったんだ?」
泰男と篤の首ねっこを掴みながら、龍之介は言った。
「し、しらねーよ。俺達だって探してるんだから…」
「ば、馬鹿、泰男…」
「ほー…お前等まだ懲りてなかったみたいだな。俺の唯に手を出したらどうなるか、
もう一度よく教えてやるよ、体にな…」
 龍之介が二人の首を放し、殴りかかろうとした瞬間
「ま、まってくれ、命令されたんだよ。だからしかたなく…」泰男が必至に弁解する。
「誰にだ」龍之介が手を止める。
「く、邦夫ってやつだよ。ここいらじゃ誰も邦夫に逆らえないんだ」篤があわてて言う。
「昨日も、邦夫に命令されたんだ。浜で、もの凄くかわいい娘を見つけたから、
なんとしても連れて来いって…」泰男はすでに半べそである。
「連れてってどうするつもりだったんだ?」龍之介はすでに拳をおろしている。
「邦夫が犯っちゃうんだよ、むりやり…」篤も涙目になっている。
「俺達だって本当はこんな事したくないんだ。
だけど邦夫は自分がブサイクだってわかってるから、俺達にナンパさせて自分だけおいしい思いをしてるんだ」
 篤の必死の説得が龍之介の闘志に火をつける。
「おい、そいつのところに案内しろ。俺がこらしめてやる」
「えっ…、だけど邦夫はほんとに強いぜ」篤がおそるおそる言う。
「俺にまかせとけって。お前等も自分のためにナンパしたいだろ」
 二人は黙って頷いた。
「俺も唯と付き合うまでは、ナンパばっかりしてたからなぁ…ナンパは楽しいぞ」
 龍之介の矛先は完全に変わったのだった。
「ほれ、さっさと案内しろ。俺は気が短いんだ」
「お前、いい奴だな」二人は声を揃えて言ったのだった。



「遅ーぞ、お前等なにやってんだ?」
 浜辺から少し離れたとこにある、ひとけのない小屋の前に邦夫はいた。
「お前が邦夫か?フッ…たしかにブサイクだな」龍之介は鼻で笑った。
「だれだてめえ、ふざけた事言ってっと、ぶっとばすぞ」
「ぶっとばされるのは、おまえだ!」
 勝負は一瞬だった。邦夫が飛びかかってきた瞬間、龍之介の右ストレートが邦夫の顔にめりこんだ。
「なんだ、たいしたことないじゃん。こんなのが相手だっら、十対一でも楽勝だぜ」
 側で見ていた泰男と篤が顔を見合わせて「強えーっ」と言った。
「おい、お前等、ぼけっと見てないで手伝え」
「手伝えってなにを…」篤が尋ねる。
「こいつの恥ずかしい写真でも撮って、二度とお前等に手出しできないようにしてやるんだよ」
 そう言って、龍之介は邦夫の服を脱がし始めた。
「よし、お前写真撮れ」
 龍之介は泰男にカメラを渡すと邦夫の顔を足で踏みつけ、ポーズをとる。
「よし、撮っていいぞ」
パシャッ
「一枚なんてせこいこといわずに、十枚ぐらい撮っとけ」
 泰男が十枚撮る間、一回一回ポーズを変える龍之介。
「もうフィルムがないよ」泰男がカメラを龍之介に返すと、「このフィルムやるよ」
龍之介がフィルムを取り出し渡す。
「お前等、二度とあんなクソ野郎のいいなりになるなよ」そう言い残すと龍之介は、
ホテルに返って行った。



 ホテルに着き、部屋に戻った龍之介だったが、唯の姿は見えなかった。
「唯の奴、ほんとにどこ行ったんだ?」
ガタッ
 背後で物音がしたので振り返ったが、誰もいなかった。
「気のせいか…」
 とその時、何かを思いだしたように、龍之介はクローゼットを開けた。
「唯!何やってんだこんなとこで」
「んー、あっ、お兄ちゃん…」
「お兄ちゃんじゃねぇ!俺がどんな気持ちで捜しまわったかわかってるのか?」
「お兄ちゃん、唯の事探してたの?」
「当たり前だろ。レストラン行ってもいないし、ホテル中捜しまわってもいないから、
外にまで探しに行ったんだぞ」
「ごめん、お兄ちゃん。唯、ご飯食べに行ったときお財布忘れちゃって、
部屋に戻ったらお兄ちゃんがいないから、戻ってくるの待ってて驚かそうと思ってたんだけど、
そのまま寝ちゃったみたい」
「寝ちゃったみたいじゃない!いったいどれだけ心配したかわかってるのか?」
「お兄ちゃん…そんなに唯の事心配してくれたんだ」
 思わず抱きつく唯。
「ごめんねお兄ちゃん、心配かけて…」
「まあ、無事だったからよかったけど…おかげで今日は人助けまでしちまったよ」
「?」
「こっちの話」
「ずるーい、お兄ちゃん教えてよ」
「だーめ、心配かけた罰」
「もう謝ったでしょ」
「じゃあ、することしたら、教えてやるよ」
「することって?」
「こういうこと」
そして二人はベッドに向かうのだった。

FIN


(1996. 9/29 とのさま)

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