『グローカル』766号(2012/01/01)より

抗議の声を上げつつ、人と人とのつながりを紡いで大きな反原発運動へ

橋幸子(未来を孕む女たちのとつきとおかのテントひろば行動)


 三・一一まで、私は原発について無知・無関心・無行動だった。東京で原発反対のデモが行われることは知っていたが、上京後、東京電力福島原発の電気を何も考えずに使っていた自らの加害性を意識し、参加することができないでいた。
 そのうち、福島で友人が我が子を守るために奮闘する様子や、自身の被曝に対する強い不安が漏れ伝わってきた。
 今、福島で何が起こっているのか、これからどうなるのか、私は何をすべきなのか。その手掛かりが欲しくて「チェルノブイリ・ハート」という映画を観た。衝撃だった。因果関係を立証できないとはいえ、チェルノブイリで起きたことは福島でも十分起こりえることである。とにかく何かしなくてはと焦り、八月に生まれて初めてのデモに行った。
 NOと言わないということは、現状に対してYESと言うことだ。私は意思表示の重要性を痛感し、この日を境に、できることはすべてやろうと決めた。福島を何とかしたい、その一心だった。解決の糸口を求めて、知りうる限りのデモや集会に参加した。その中で、原発問題が社会の構造問題であり、他の社会問題とつながっていることを知った。昨年は原発事故によりいかに日本で「人間として生きる権利」が侵害されているかが露呈した年であったといえる。
 単独でかけずり回る中で、私は「避難の権利」を求める悲痛な叫びを聞き、この声を広めなければならないと思った。また、経産省前テントひろばの運営に関わる中で、原発や放射能に関する気持ちを打ち明け、共有することのできる「場」の存在の重要性を認識した。さらに、経産省前での「原発いらない福島の女たち」「原発いらない全国の女たち」のアクションのスタッフとして活動したことで、一人一人が実際に行動することが原発廃止のための大きな力になると確信した。
 今は経産省前テントひろばの運営に関わりつつ、再び始まった福島の女たちの座り込み(「未来を孕む女たちのとつきとおかのテントひろば行動」)の事務局を担当し、関連する様々な団体の集会やデモや会議、院内集会等に可能な限り参加している。
 私の最大の関心事は「避難の権利」である。文科省や東京電力に対し抗議の声を上げつつ、全国規模での支援団体の連携に関わりたいと考えている。また、経産省前で顔が見える交流を続けながら、人と人とのつながりを紡いでいきたい。様々な個人や団体を巻き込んだ大きな反原発運動を展開できればと思う。


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