現在市販されている金属焼付用陶材や陶材焼付用金属は大変多く、氾濫状態にあります。しかもこれらの組み合わせに至っては無数にあるといっても過言ではありません。一昔前とは異なり、金属焼付ポーセレン・システムの材料が著しく改良された現在とは言え、ポーセレンと金属という全く異質な材料の組み合わせによる金属焼付ポーセレンの製作には、元来、微妙なテクニックが必要です。これがなければ、臨床上、種々なトラブルが生じてしまうことになります。
二人のセラミストが全く同じ材料を使ったとしましょう。一人はうまくいったが、もう一人にはトラブルが生じたというケースがよくあります。この場合、単に二人の間に存在する技術的な差が原因だとしてしまいがちですが、これには一つの大きな認識の誤りがあるのです。この二人の間には陶材焼成前の乾燥温度や時間、炉内に入れる操作やバキュームの度合い、その操作のタイミング、焼成温度や昇温レート、係留時間、炉外に取り出すときのタイミング、除冷の有無・・・etc などの手技そのものではない、いわば「経験と勘」による「焼き方」とも言えるようなものにそれぞれの微妙な違いが存在しているのです。いずれにせよ、それによってうまくいくか、いかないかが決まってしまうのですから、「微妙」だといって決しておろそかにしてはならないのです。現実には、うまくいったと言うことは「金属と陶材の組み合わせ」とその人の「経験と勘」による「焼き方」がたまたま合致したときに成功していると言うことなのです。また、これらの間には、ある程度の幅があるのでその適否を判断することが難しくなっています。しかし、考えてみればこれらは機械的にコントロールする事が出来るはずです。多くの材料が氾濫している今、われわれはある条件の中で「金属と陶材との組み合わせ」を決定したなら、この「焼き方」を適正にコントロールする必要があります。そして、結果としてそれが生産効率を高め、ひいては製品価値をも高めることにつながります。
「セラミックコンピューター」 は私と設計、製作者であるマイコンオリジナルシステムの岡本氏との間で、この「焼き方」に於ける複雑で微妙な多くの条件を誰でも簡単に設定・コントロール出来るよう、長期間に渡り臨床でテストを重ねながら、ハードウエアーとプログラムソフトを共同研究・開発したフルアジャスタブル・フルオートマティクの全く新しいタイプのポーセレンファーネスです


 
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