きいき


2009. 4. 13
随録(馬齢を重ね・・・)
底沢峠からの下り  09.4.10

 高齢者の仲間入りをして3年目にはいった。 最近は文字列を読むのが面倒になった。
新聞も読むページが徐々に狭められてきた、朝食時に必要とするページのみビリビリと破いてしまう、4、5ページ残るだけである。 できれば全面広告のページの裏側は全面広告にしてほしい、その紙は即回収箱に直行できる。
銀行などから送られてくる書類も、あとで読もうと思っていると時間が経ちすぎ捨ててしまうことが多い。  逆に言えば、しばらく経って捨てても日常の生活に差さわりは生じない。
 ここ1~2ヶ月の間に気にかかったことが二,三あった。 高齢でない方には問題ないのかもしれないが・・・。

(1)
  4年ほど前、この随録ページに「転ばぬ前に・・・」という考え方を持った実践したおばあさんのことを書いた。 自分の介護が必要になる前、家族に迷惑をかけないようにと、自ら老人ホームに入所したということだった。
 その記事を読んだときは、なるほどと感心し自分もいつかういう決断をするだろう、などと思うようになった。 そしてそういう施設に入ろうと考えていた。
2年前だったか義父がサポートを受けながらも一人暮らしを続けている姿を見たとき、少し考えが変わりはじめた。
 つい最近のTV報道で、同様の考えで傘寿を越えた男性が入所した介護付き有料老人ホームの運営母体が経営の悪化で代わったり、サービスを縮小しているという事態を知った。
 3500万円も出して入所した男性にとって見れば”詐欺”同然、まさに踏んだりけったりということである。
 ニコニコとした笑顔が載っているパンフレットを信じてある程度のお金で安心した老後を送るという夢はありえないのかもしれない。 
 歳を重ねてもコツコツと自活し、自分で決するのがベストなのかもしれない。 そう思いはじめた。

(2)
 2月中旬だったと思うが、新聞にあるお偉い学者が現在の社会状況が生まれた背景について 自らの政策提言、推進役に問題があった、という趣旨の反省文が載っていた。
 格差社会を増長させてしまった、暖かさをどう回復していくか・・・と。  今更、反省されて懺悔されても困るんだけど・・・、現在ご当人はどこやらの会社のおエライさん。  痛みがお分かりになるはずはないだろう。
 私も競争のない世界はおかしいと思う。 ぬるま湯に浸かっていては人間はフヤケてしまう。
国鉄、電電など民営化されいい刺激を受けたのではないだろうか。 郵便はどうなるのでしょう。
 人間は動物と違って自己中なイキモノ、適度な競争なんてありえないし、行きつくところまで行ってしまう。
 もう、こういう学者さんの言うことを真に受けないことにしょう。

(3)
 3月下旬の新聞に、これまた別のお偉い現役の学者先生が「年寄りは金を貯めこんでいて使わない、若い世代に渡して使って貰え」という趣旨のことを書いていた。
 同じ日の夕刊に「・・・は贈与税の下限の引き上げ検討・・・」の記事があった。
たしかに、高齢者はあまりお金を使わない・・・消費しないようである。 老後の頼りはお金!ということを身に沁みて分かっているからだろう。 
 私は歳のせいばかりでは無いが、お偉い学者さんのいうこと、新聞、TVの報じることをまじめに信じない方がよさそうだと思うようになってきた。 

(4)
   景気の底割れを防ぐための刺激策が出された、エコ・カー、エコ・家電には補助金が用意されるという、 また地デジにも?。
 車業界、家電業界から特別な働きかけが、つながりがあったのでは・・・ なんて思うのは下司のかんぐりだろうか。 それで雇用が確保されるなら仕方ない・・・のか。  年金も貰えなくなっちゃお終いだもんね。
 新聞、テレビを見なきゃ知らなくていい。 歳を取ってくると、考えがイヤだネェ~。 

(5)
 いつ頃だったか記憶はない、三十年以上昔だったようだが今のような春の暖かい日に小さな旅館に入った。
二階に案内され私は窓の縁にもたれて訪ねてきた中年のおかみさんにお酒を頼む。 おかみさんは階段を降りていった。 まもなく窓の下でバイクの音が聞こえた、やがて娘さんらしい人が乗ったバイクが道路へつながる砂利道を抜け、古い桜の木のかげで見えなくなった。
 私はお酒の買い置きがなかったのかと思った・・・。
その直後に目が覚めた。
そして、傍らの家内に今バイクに乗って行ったのは君だったようだと言った。 
家内は黙ったままだった、私は続けて 「君との歳の差がどんどん開いていくね」と言う。
 写真の家内は”もう少し頑張れば・・・?”と言ったようだ。
 今日4月13日67歳となった。  


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