オーキング
06. 9. 1
ウオーク(夏の高尾山)
フォト(高尾山の野草/06夏)もどうぞ

はじめに
8月はじめ高尾山の野草園にレンゲショウマが咲いていて、見頃は中旬までと地方版に写真とともに紹介されていた。
東京近辺では奥多摩の御岳山が有名だ、高尾山ならいつでも行けると思っていたが、気象と体調の条件があわないのでなかなか出かける気にならないでいるうち8月も終りに近づいてしまっていた。
おびんづる様にお願い
29日この日は最高気温が33度と予想されていたが、意を決して出かけた。
目的地は野草園、とうに時期は過ぎているが来夏レンゲショウマを見に行くために下調べの意味もあった。
高尾山は今年5月5日、会社の先輩達と登って以来である。
高尾山口駅にはパラパラとシニアの人がいるだけである、秋・春に発行されていたコース別のマップが駅には見当たらない、学校は夏休み期間であるが、もう夏期のシーズンは終えたようである。

野草園に行くには1号路<表参道とも言う>が近道だ。脇の不動院を覗いてみる、打ち水をやっているご婦人が声をかけてくる、
「お帰りですか・・」。
<そうか、早く出かけた人は、もう下りて来ているのか>、「いえ、今から登るんです」
「このびんづる様もだいぶ年季が入ってますね、あちこち磨り減ってますが、皆さんがよく摩るからでしょうね」
細身で背が高いそのご婦人は、どこかヴァネッサ・レッドグレーヴに似ている!、そう私は思った。
「昭和のはじめからだそうです。ほらここの袈裟の色も落ちているでしょう」
台座には”痛いところ、具合の悪いところをよく撫でてください”と書かれていた。 私も、それと思う所を撫でてみた。たしか深大寺にもおびんづる様があり、そのときも撫でたのだが・・・。
金毘羅台にて
<嗚呼こんな話をして、私も歳をとったものだ・・・・、まっいいか>
「それじゃ、行ってきます」私はヴァネッサさんに声をかけて表参道に向った。

野草園目指して登る
表参道は、許可を貰った車が登れるように簡易舗装が施してある。まわりには、樹齢百年近くになるであろう檜や杉の木がそびえている。歩道は日陰になり涼しいと言っても上り坂である、かなりのエネルギーが燃えているらしい。急坂をぼっつりぼっつり登っていくうちに汗がにじみ出てくる。昨日までのように曇天ならば多少は涼しいだろう。
舗装道路から外れて金毘羅台の方へ向う、しかし今日はやけにダンプカーなど工事車が上下する。1、2回の切り返しをしなければヘヤピンを抜けられない。あとで分かったが薬王院からケーブル駅辺りまで下水道工事が行われるらしい。そういえば舗装のコンクリートに切れ目がはいっていた。 シーズンが終わったことで山もメンテナンスに入ろうとしているのだろう。
ケーブル駅、リフト駅あたりを過ぎると幼い子供を連れたり、ベビーカーを押した若いお母さんたちがちらほら見えるが参道は人影がまばらである。
小学生の男の子と二人で歩いている若めのおばあさんが「昔はこの道は砂利道だったのよ」とコンクリート道を指差していた。

レンゲショウマに出会う
野草園のレンゲショウマ
まもなく猿園が見えてきた。パンフレットには「サル園」と書かれているがいまさら猿でもない、サル園の前をいつも通り過ぎていた。
ここに野草園も併設されているとはじめて知った。 入り口で係りのご婦人が掃除をしている。「今時分は何が見ごろでしょう」尋ねると写真集のサンプルを指差しながら「キレンゲショウマ、シュウカイドウにXXXX、・・・」いろいろと野草の名前を口にする。名前が頭に入っていかない。
「レンゲショウマは8月中頃までなんでしょう」、中年のご婦人は「入ってそこの上にひとつ咲いていましたよ」いろいろと教えてくれる。
さっそく入園料400円の券を買って教えてもらった場所に行ってみる。レンガで囲ったところに木が植えられている。よく見るとその木に寄り添うように小さな草が白い花びらをうつむきぎみに咲かせている。
これがレンゲショウマだっ。
あまりの小ささに誰も気づいてくれない、そう言っている。
しかしもう今年は見ることはないだろうと思っていたところに見ることができた。錆びついてしまった感動を司る脳がちょっぴり動いたようだ。
カワラナデシコの色鮮やかさに、自然のもつ美力に驚く。

野草の並んでいる小道を順路にしたがって歩いてみる。いろんな名前を書いた札が立っている、しかし<どちらの草がそれなんだ!>知らないもどかしさに腹が立ってくる。ところどころに写真つきの説明標もみえる。
せっかくだから、メモした野草をせめてアイウエオ順で記そう。
カワラナデシコ別名ナデシコ

イチリンソウ、オタカラコウ、カリガネソウ、カワラナデシコ、キツネノカミソリ、キツリフネ、キレンゲショウマ、クリンソウ、ゲンノショウコ、ジャコウソウ、シュウカイドウ、シライトソウ、セントソウ、ツバネオモト、ノカンゾウ、ホウチャクソウ
春夏秋冬、楽しめそうだ。

野草園を出て浄心門まで来た、表参道を上ってきたのは野草園に入るためだった、今日は少ないが車や人の群れはここに集中する。
ここから4号路を通ることにしよう。この山道は自然研究路と名がついてあるように木々のなかの狭い道を通ることになる。気をつけなければ崖下へ滑り落ちそうである。

頂上でひと休みして下る
この山道は草花というより木々が多いようだ、 途中に中高年のご婦人連れが植物のハンドブックを持って傍らに咲いている木を[XXXよ」と指差していた。(残念ながらXXXは忘れてしまった)
途中にある高尾山で唯一のつり橋を渡る、橋には名前がついいていたが、これも忘れてしまった。
4号路を通って
まもなく上り坂が急になる、木の根部分の土が流され、そこが階段の役目を果たしている、そういう山道を登る。
途中に「かやの木」というのがあった、4~5月に花が咲き、果実は翌年の10月に成熟するそうだ。リスやムササビの食料となるそうだが昼行性と夜行性でうまくシェアしているとか。
ムササビといえば、次女が通っていた高校の担任教師がムササビの研究家で、見学会に参加したことがあった。その日は夕方薄暗くなって登山し教師が照らすライトの先をムササビが滑空する姿を見た。そう、あれから10年以上経ってしまったのだ。
4号路から1号路にショートカットするやや急な坂の山道に入る。
上り坂をあえぎあえぎ進んでいるとまもなく山頂下に出た。山頂には(ニュース用語を用いるなら)家族連れや若者達のグループが木陰にシートを敷いて昼食を愉しんでいた。
私は山頂の食堂に入り、あったかい狸うどんとよく冷えた泡般若を注文した。横のテーブルでは中高年のおじさんがやはりひとりで同じようなものを食していた。

さて食後の休息のあと、稲荷山コースを通って下ることにしよう。
このコースは幼児連れは無理である、下りとは言えけっこうしんどい。
若い家族や高校生のグループ、外国のペアも登ってくる。すれ違うたびに「こんにちは」と言葉を交わす。 街中ではとうてい考えられないことだ。いや街中も山と同じように自然の雰囲気にすればいいのかもしれない。


ウオーキング